第105話 かさのなかのひみつ
ふつうのかさも、ちょっと目をこらしてみると……ふしぎな世界の入り口になるかもしれません。今日は、ゆうたくんとまいちゃんが雨の日に体験した“かさのひみつ”のお話です。
雨のふる午後。
まいちゃんは学校から帰ると、げた箱にかさをたてかけようとして首をかしげた。
「あれ? 私のかさ、こんな模様だったっけ?」
赤いかさには、見たことのない白い星のような模様が、ぽつぽつと浮かんでいた。
「へんなの……雨で模様が出てきたのかな?」
そう思っていると、ちょうどゆうたくんも帰ってきた。
「おかえりー。どうしたの?」
「これ見て。私のかさ、星が出てきたんだよ」
ゆうたくんは目を丸くした。
「ほんとだ! でも光ってる……?」
よく見ると、白い星の模様はほんのり光をはなっていた。
ふたりでかさをひろげると、その内側に星空のようなきらめきがひろがった。
「わぁ……ここだけ夜みたい!」
「すごい! かさの中が宇宙だ!」
ふたりはかさを持って、あめの中を歩きはじめた。
外は昼間なのに、かさの中だけは夜空。
歩くたびに星がきらめき、時々小さな流れ星がすっと走った。
「ねえ、お願いごとしてみようよ!」
まいちゃんは流れ星を見つけて、目をとじた。
「明日も楽しく過ごせますように!」
ゆうたくんも負けじと願った。
「テストでいい点がとれますように!」
ふたりは顔を見合わせて、思わず笑った。
やがて家に帰りつくころ、かさの星の光は少しずつ薄れていった。
「もう終わりなのかな……」
まいちゃんがさみしそうに言った。
けれどゆうたくんはにっこり笑った。
「いいんだよ。きっとまた、ふしぎなときに光るんだ」
そう言ってかさをたたむと、ふたりの目の前に最後の流れ星がひとすじ、すっと走った。
毎日つかっているものでも、ふとしたときに不思議な表情を見せるかもしれません。
今度雨の日にかさをさすとき、内側をのぞいてみてください。そこに星空がひろがっているかもしれませんよ。




