第103話「アイスクリームのじけん」
みんなは夏になると何のアイスが食べたくなる? バニラ、チョコ、いちご……いろんな味があるけれど、どれもおいしくて迷っちゃうよね。今日は、ゆうたくんとまいちゃん、それからともきくんがアイスクリームでちょっとした“じけん”にまきこまれるお話です。
ある夏の日の午後。
ゆうたくんとまいちゃんは、ともきくんと一緒に、近所の公園に遊びに行った。
「今日もあついねぇ」
まいちゃんが帽子をあおぎながら言うと、ともきくんはペットボトルの水をぐびぐび飲んだ。
「こんな日はさ、アイス食べたいな」
「さんせい!」
ゆうたくんが元気に手をあげた。
ちょうど公園の近くに、新しくできたアイスクリーム屋さんがあったのだ。
三人はおこづかいをポケットに入れて、わくわくしながらお店へむかった。
店の前には、カラフルなポスターがはってある。
「いちご」「バニラ」「チョコレート」「マンゴー」「ソーダフロート」……。
どれもおいしそうで、見ているだけでよだれが出そうだった。
「ぼくはチョコ!」
ともきくんが一番に言った。
「わたしは、いちごにする!」
まいちゃんも元気にえらぶ。
「うーん、どうしよう……」
ゆうたくんはまよってしまった。
いちごも好きだし、チョコも捨てがたい。でも、ソーダフロートも気になる。
「はやくしないと、とけちゃうよ」
ともきくんが笑う。
「じゃあ、ソーダフロート!」
ゆうたくんは思い切って決めた。
三人はアイスを手に、公園のベンチにすわった。
太陽に照らされたアイスは、きらきら光っていて、それだけで特別な宝物みたいに見えた。
「いただきまーす!」
三人は同時にアイスを口に入れる。
「ひゃー! つめたい! でもうまい!」
「いちご、あまーい!」
「ソーダ、しゅわしゅわしてる!」
三人は夢中で食べた。
ところが——。
「わっ!」
ともきくんの手から、チョコアイスがすべり落ちてしまった。
コロン、と地面に落ちたアイスは、あっという間に土と砂だらけ。
「うわー! せっかくのチョコが……」
ともきくんは今にも泣きそうになった。
「だいじょうぶ? ほら、わたしのいちごちょっとあげるよ」
まいちゃんがアイスをスプーンで分けて差し出した。
「ぼくのソーダもわける!」
ゆうたくんも差し出した。
ともきくんはきょとんとした顔でふたりを見た。
「……いいの?」
「もちろん!」
「だって友だちだもん」
ともきくんはにっこり笑った。
「ありがとう。ふたりとも、やさしいな」
三人はアイスを分け合いながら、笑って食べた。
ひとりのアイスはなくなってしまったけど、三人でわけ合えば、いろんな味を楽しめてかえってラッキー。
「こうやって食べると、もっとおいしいね」
まいちゃんがうれしそうに言った。
「うん。友だちと分け合うと、アイスがもっと甘くなるんだな」
ゆうたくんも笑った。
「次はぜったい、チョコ落とさないぞ!」
ともきくんは決意をこめて言った。
そのあと三人は公園で遊びつづけた。セミの声がにぎやかに響き、夏の空は青く高かった。
アイスクリームの小さなじけんは、三人にとって大切な思い出になった。
今回は、夏にぴったりの「アイスクリーム」をテーマにした日常のお話でした。
ちょっとしたハプニングも、友だちと一緒なら笑い話になっちゃいますよね。みんなももし何か失敗しちゃったときは、分け合ったり助け合ったりしてみてください。きっと心があったかくなると思います。




