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5話 朝ごはんを食べよう

朝日が顔を出し始めた頃。


牛侍

「少し時間がかかったなー」


私は昨日見つけた建物に帰り着いた。

昨晩から何をしていたかというと、食材探しだ。

最初は牧場跡地をうろうろとしていたのだが、食べ物の気配が一向になかったので牧場横の森林を捜索して、なんとか果物を手に入れることが出来た。

ナシとリンゴとブドウを合わせたようなもの・・・。

私はナンドウと名付けた。異論は認めない。


見たことがない食べ物だけど、たぶん大丈夫だと思う。

とりあえず、このナンドウを倒れた少女に食べさせないと・・・。


牛侍

「もう起きてるかー」


私がそう言いながら建物に入ると。


少女

「なっ!?」


少女は藁ベッドでくつろぎながら、驚愕の表情を浮かべていた。

起きていてもここにいたのは、私の藁ベッドが気に入ったからかな?

ふっふっふ。こやつ通販に引っかかるタイプと見た。

そう思いつつ


牛侍

「朝ごはんとってきたから、一緒に食おう?」


ぽーん、とおいしそうなナンドウを少女に放り投げる。

少女は「な、なにをする!」と言いながらあわただしくナンドウをつかんでいた。


牛侍

「お腹すいてんでしょー。まだ若いんだから、栄養つけなきゃ」


そう言いながら、私はナンドウをかじった。

ナンドウはシャリッといい歯ごたえで、味は・・・普通だった。

毒もなさそうだが・・・味がとても普通。美味しくはない。


さて・・・どうしたものか。このまま私が


「美味しくない、おえ」


など言おうものなら、彼女の食欲を下げてしまうかもしれない。

よし、ならば一芝居うつとしよう。


牛侍

「う~ん!!美味しーい!」


私は、ナンドウがさも超美味な食材かのようなリアクションを少女に見せつけた。

少女は、私のリアクションをまじまじと、興味深そうに観察している。

その後も私の長ーいリアクションとナンドウを交互に見つめる少女だったが。

遂に根負けしたようだ。ナンドウにかぶりついたのだ。


どうしよう。美味しくないって吐き出されたら。

私はいそいで

「ごめん!美味しくなくて!」

と謝罪しようとした。しかし少女は


少女

「・・・うん!美味しい!!」


そうやって笑みをこぼすのだった。


「え?美味しいの?」逆に驚かされた私だったが、少女の笑顔が見れたので


牛侍

「そうか、ならよかった!」


とナンドウをもう一度頬張った。

シャリシャリと、さわやかな音が牧場に響き渡ったが、ナンドウはやっぱり美味しくなかった。

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