4話 少女に襲われる牛
少女のような声
「ひっ!起きた!?」
牛侍
「!?」
別に起きてはいなかったが、久しぶりに聞く人の言葉で私の目が覚醒した。
ガバッとベッドから抜け出すと、私の半分くらいしか背丈のない女の子が、体を震わせながら私を見上げていた。
現在ド深夜。
度重なる驚き展開に疲れた私がベッドで爆睡していると、謎の少女が爪をむきだしに迫ってきていた。
私が起きたと気づいた少女は、足を小さく震わせていた。私を怖がっているのだろうか・・・。
まずはこちらが無害だと伝えなければ・・・。
そう思い、私は思いっきり微笑んだ。
謎の少女
「ひぇえええええ!!??」
エーーーー!?・・・私の笑顔ってそんなに怖いのだろうか。
悲鳴を上げながら、少女は建物の奥へと逃げてしまった。
自分の顔の怖さに心を痛めつつも、説得するために私も建物の奥へと入った。
建物の奥は行き止まりになっていた。
少女は狂ったように壁をひっかいたり、体当たりをして、この場から逃げようとしている。思ったよりヒステリックな状況だ。
私が部屋にいることに気がつくと、
謎の少女
「来るな!おぞましい人間族め!」
そう言い放ち、威嚇するように体を震わせた。
続けて
謎の少女
「我は悪魔だぞ!・・・怖いんだぞ!お前なんか、食って!く・・てぇ!!」
体力が底をついたのか、少女の体がふらふらと揺れはじめる。
牛侍
「ちょっと!」
全速力で少女への接近をはかる。少女の体が前に倒れ始めた。
牛侍
「えいやあああああ!」
必死のヘッドスライディングを実行。
その姿、さながらコロセウムで赤旗を追う闘牛のごとし。
直後、ぽすんっと重みが背中に伝わった。
胸をなでおろした私は体を起こして、少女のようすを確認した。
どうやら、気合をいれすぎて気絶しているようだ。
私は、倒れた少女を藁のベッドにそっと寝かせて建物から走り去るのだった。