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神無月、午前五時

作者: 白岡ハル

初投稿です

早朝に散歩をした時のことを書きました

ちょっと嫌なことがあった昨日


朝一番に思い出した、モヤモヤ


アラームの前に覚めてしまった目をぼんやり擦りながら


恋人のように柔らかで親密な布団から這い出ていく


少しの温もりと名残惜しさをシーツに残して


頭は意外と冴えていて


だけど目の奥はまだ、睡眠中


ぼんやり朧げな視界のまま、手軽なワンピースに着替える


大きなポケットがついたそれに、スマホと鍵だけを放り込む


そして軽いサンダルに履き替えて、ちょっと旅にでてみる


冷えて澄んだ風が足元を撫で、思わず身震いがひとつ


心地よい風に目は完全に視界を取り戻し、ぼぅっ、と空を見上げる


日はまだ山向こうに隠れている


だけど山向こうから溶けだしたオレンジが、濃紺の空を淡い水色に薄めていて、爽やかな朝を彩っていく


眩しくないけど明るい。目に染みるけど、視界はくらまない


そんな、ちょうど良い朝焼け


コンクリートでととのえられた河川敷に、足を向ける


この時期の河川敷は寒すぎず、だけどひやりと心地よくて


すぅっ、とひとつ深呼吸


朝露に湿った空気が、肺を満たす


昨日のモヤモヤが吐いた空気混ざって消え、清々しい気持ちが新鮮な空気とともに取り込まれていく


やがて山向こうから、太陽が顔を出す


その眩さに思わず目を瞑るが、その輝きはダイヤモンドよりも強く美しくて


きっと、なんとかなる


そう思わせてくれるのだ


そして、くぅ、と空気を読まず鳴るお腹


それに苦笑いをひとつ


私が、私の身体は、生きようとしてる


それを感じ取れたのなら、もう大丈夫


家へと踵を返した


今日もまた、一日が始まる

日常のささやかな美しさを感じ取りたい

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