3話 グリフォン公爵夫人
この小説はPixivに投稿した物です。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19593089
また
「政略結婚に失敗した公爵令嬢が家を追い出されるのでメイドと結婚しました」
と繋がっていますので、読まなくても問題ないですがこちらも読んでいるとわかりやすいです。
https://ncode.syosetu.com/n3316id/
王都に来て2日目、今日はエドと共にグリフォン公爵家の外商に同行する。
グリフォン家はここ3代宰相を続けていて、現在の王国の貴族では最も権力を持っていると言ってもよく
王を選ぶことも退位させる事もでき、逆らえるのは聖教のみ。
そのグリフォン家とあたしは前回繋がりを作ったが、あたしも公爵の爵位を授かっていて同等の身分ではあるけど
政治にかかわりたくないし、ライバルになる必要もないので素直に手を取り合ってると言った感じ。
あたしもまだ貴族ではあるはずど、15年経って無効にされていたら困るから安全策を取った感じ。
「着ていた服では商人らしくないですし、公爵様との取引なのでこちらの服を着てください」
服を渡されて着替えるが、少しサイズが大きいけど魔法で合わせるから問題ない。
もっというならば、着る必要自体ないけど用意してもらったからね。
あと、脱げば元のサイズに戻るので問題なし。
「では、行きましょう」
エド商会の馬車に乗り、貴族地へ。
入口の門でチェックされるが、わたしは地方から最近王都に奉公に来た見習いという事になった。
貴族地は安全のために高い塀で新市街と区切られていて、平民は貴族に料理人やメイドなどに雇われるか
商人でないと入る事が出来ない場所だ。
警備のための兵士があちらこちらにて、常に警戒されている。
並んでいる屋敷もどれも敷地が広く、立派であるが奥に行くほど身分が高くなる。
公爵邸となるとさらに塀で区切られていて、さらに門でチェックされるが衛兵の中にあたしの顔を知っている衛兵が居て説明不要で屋敷に入れた。
そして屋敷の中でも
「エド商会の方ですね、お待ちしておりました。そして、二菜さんまた王国にいらしたのですね」
と言われたが出迎えたのは執事長のフランクさん。
15年前も公爵付きの執事ではあったけど、今は公爵夫人専属執事になったそうで。
「お久しぶりですね。また旅をしていて、立ち寄りました」
「そうですか。しかし、エド商会とご一緒という事は、また何かに巻き込まれたのですか?」
流石、フランクさんだ、わかってる。
「ちょっとバンの村の村長にお使いを頼まれまして」
「そうですか。奥様の準備が出来るまでこちらへ」
奥の部屋に通される。
商談を行う部屋は思ったよりも狭い部屋であった。
広さは大体、10畳ほどの部屋でテーブルとソファーが配されていた。
「なんか狭くな?」
エドさんに聞いてみると
「この部屋は結界が施されていて、外部からの盗聴や覗き防げる部屋なのです。
なので、ここならば色々な話ができるので、ここに通された事は外商以外のお話もあるという事ですよ」
と説明されてどうも何かある様だ。
「おまたせしました。奥様がいらっしゃいました」
扉が空くと、フランクさんと共にグリフォン公爵夫人のジェリアンヌ様が部屋に入る。
「こんにちは、エドさん。本日は珍しいく同行のお方がご一緒なのですね」
「こんにちは、奥様、本日もお願いいたします」
「夫人、お久しぶりです」
「堅苦しい挨拶はこれぐらいにして、何時も通りにやりましょう。お二人ともお座りください」
「はい、わかりますした」
ソファーに座り、外相を始めるが
「エドさん本日のありがとうございます。ただ本日は定期的に購入してるもの以外は特に所望するも
のはありませんわ。ただ、珍しい方がいらっしゃるのでこの方を所望しますわ」
と夫人に言われた。
「そうでが、わかりました。二菜様をご所望ですね」
「ええ、そうですね」
「残念ながら、二菜様は私共の商品でないのでお売りは出来ませんので、ご理解を」
「あらあら、そうですか、それは残念ですね」
「公爵夫人、すみませんが、あの…わたしを買うのは人身売買で公爵家として問題なりませんか?」
「そうですね、買うと犯罪になりますので、メイドとして雇いましょうか。
二菜さんはかわいいですし、わたくしの夜伽のお相手もお願いできますね」
「あ、あのそれは…」
「もちろん冗談です」
「そ、そうですよね」
この方はグリフォン公爵夫人ジェリエンヌ・グリフォンは見た目は20代であるが、実は47歳。
よくある、何故か若い母親ってといった感じ。
あと、よく冗談と言うだけれど、本当に冗談なのかはわからない。
「遅くなりましたが、二菜さんお久しぶりです。15年ぶりですね」
「はい、そうですね」
「二菜さんは全くお変わりなくて羨ましいですわ。わたくしもすっかり年を取りまして」
あたしから言わせてもらえば、普通の人間なのに40代なのに見た目が20代なのがすごいですよ。
「そんな事ありませんよ、以前とお変わりなく」
「二菜さんに言われると嫌味に聞こえますが、お褒め下さってうれしいですわ」
確かに、あたしに言われたら嫌味かも。
「嫌味というのはもちろん、冗談です。しかし、15年間なになさっていましたの?」
「故郷に帰ってましたが、また旅に出てその途中で王国に立ち寄りまして」
「そうですか。フランクから聞きましたが、バンの村に行ったそうですが」
「はい、今回王都に来たのはバンの村の使いでして」
今回王都に来た理由を話すと
「そうですか。つまり、王都の学校に入学できるようにお願いしたいという事ですね」
「はい、急にこん話をしてすみません」
「確かに、急ですが入学試験にはまだ間に合います。ただ、そのアミュレイさんがどんな方かお会いしないと推薦はできせんね」
「確かに、ただ推薦をしてくくださいって言われても駄目ですね。戴冠式の時に王都へ来る事になってますが、流石にお会いするのは無理ですよね」
「戴冠式が終わるまで忙しいく、アディルは時間をおつくり出来ませんが、わたくしの推薦で良ければお会いできますわ」
「本当ですか?」
「ええ、構いません。その時は直接おいでなさっててくださいませ。ただ、今回もエドさんとではなく直接おいでなさればよかったのに。そのために通行証をお渡ししましたのに」
「通行証は持っていますが、15年経っているので使えるかどうかわからなかったので」
わたしがポケットから収納スペースから通行証を出す。
「ちゃんとお持ちになさってますのね。この通行証は期限がありませんので、問題ありませんわ」
「そうですか、わかりました。次からは直接来ますが、事前のお約束なしに大丈夫ですか?」
「ええ、構いません。ただ、わたくしも公爵夫人として忙しい身、必ずしもお会いできませんので
その場合はメイドか執事にお伝えしてくれれば時間を決めて使いの物をだしますので」
「わかりました」
これでこの証明証を仕える事がわかったので、次回からどんどん使っていこう。
「ところでエドさん、二菜さんとお二人にしてもえませんか?エドさんに聞かれて困るお話をするので、別室でお待ちください」
「はい、わかりました」
エドが部屋を出ていくが、あたしだけにしかできない話って何だろう。
「さて、2人だけになりましたが、ここらかは気楽に話す事にしましょ」
「そうだね」
エドが居たため、かしこまって話していたが実は前回時、ジェリエンヌとは気楽に話せるほど仲が良くなっり、
子供の頃からの愛称ジェリスと呼んでと言われたほどである。
「本当に、二菜はまったくかわないわね、うらやましい」
「そういう、ジェリスこそ若々しいよ」
「ありがと、でも、身体はそれなりに年をとっていて、胸なんて以前と比べたらハリがなくて」
そういうと、わたしの手を掴んで胸に当てる。
「ちょ、ちょっと、なんてことをまだ昼間だなのに」
「大丈夫、ここの部屋なら外部には何も聞こえないし、何も見えないわ。あと、夜ならいいの?」
「夜でもダメ、公爵夫人とそう言う事する訳には」
「もう、二菜って15年経って堅くなったね。15年前はあんなこともしたのに…」
「した覚えはないって、キスは…したけど事故みたいものでしょ」
「ベッドの上でしたキスを事故っていうのかな」
前回、何回かジェリスの誕生日祝いパーティーに呼ばれた時あり、パーティーが夜遅くなったので毎回泊まる事になったが
何故か必ずジェリスと同部屋で同じベッドで寝る事になったけど、流れでキスはしたけどそこから先の事は決してしてないよ。
「2人で同じベッドに寝た中な仲のに、つれないわ」
「それはジェニスが部屋を用意してなかったからでしょ」
「だって、別部屋を用意したら一緒いられないじゃない。それに、身分的には一緒でしょ」
「確かに、身分は一緒だけど…って、こんな話しするためにエドにでて行ってもらったんじゃないでしょ?」
「確かに、そうね。これからする話は宰相と筆頭秘書官、わたくし、フランクしか知らない話です。ただ、二菜さんにはお話したいと思いまして、お話する事にします」
ジェニスが公爵夫人モードになり、ごく少数の人間しか知らないとなると極秘レベルの話。
少し緊張感が走るが、まずは話を聞くことにする。
「実は戴冠式に陛下をリットンが暗殺するとい情報が入りました」
陛下の暗殺と穏やかじゃないが、国王の暗殺計画はない話でもない。
「ただ、陛下の暗殺は常にあるなの話で、これ自体は驚く事ではありませんし、今陛下が居なくなって得するのはリットン家しかありませんから」
「そうなの?」
「ええ、陛下が暗殺されてた宰相の責任になりますので、リットン家が再び宰相の座に就くという単純な話です」
「確か、単純な話だよね。ただ、証拠はあるの?」
「証拠はありませんが、庭に怪文書として投げ込まれていました。もちろん、真に受ける訳ではありませんが、
暗殺計画ある以上見過ごす訳にはいけませんし、どんな形であれ王が暗殺されたら歴史に汚名が残りますので真偽はともかく対応しないといけません」
確かに、王が暗殺されたらグリフォン家の責任になり宰相の座から降ろす事が出来れば得するのはリットン家になる。
真偽不明の話としても、屋敷の庭に投げ込まれたという事は貴族かその関係者という事になるだろうし。
「庭に投げ込まれたという事は、貴族に関係する人だよね」
「おそらくそうだと思いますが、この怪文書自体がこちらを混乱させるための目的リットン側が仕掛けた可能性もありますが」
「混乱させると言っても、元から暗殺の危険性があるのでそんなに変わらない気もするけどな」
「ええ、その通りです。だからわたくしもこの怪文書の真偽を確かめたいのですが、確かめる手立てがなくて」
国王の暗殺は常に危険性がある為、常に警戒をしているが戴冠式が近いのでさらに強化されている。
ただ、問題なのは貴族が暗殺計画を企てた場合、実行しなくても計画をしただけでお家お取潰しとなる訳だ。
なので、リットンが計画を企てていたら大きな問題になる。
「しかし、リットンもすぐばれる上、家を潰す事になる計画を企てるかな?」
「ええ、そこなんですよね。正直、成功する可能性はほぼなく、リスクばかりですし」
「陛下を暗殺するより、宰相を暗殺し方がまだわかるような」
「そうですよね。ただ、ジョーノという男は激高しやすい性格ですが人を殺す事ができない小さい男なのです。
先代は失敗したものの、何度も暗殺を実行したが。もっとも、状況証拠であってちゃんとした証拠はありませんが」
先代の時代も知ってはいるが、確かに何度か宰相の暗殺未遂があった。
地方視察の道中に賊に襲われたり、毒を盛られたりしたけど今はそんな事を聞かない。
もちろん、いつ何時襲われたり、毒を盛られるかわからないので常に警戒は怠ってはいないそうだけど。
「それじゃ、陛下の暗殺計画は単なる与太話って事でいいかな?」
「それを二菜さんに調べて欲しいのです。流石にグリフォン家の物が動くと、何かあると感づかれますので」
「確かにそうだけど、あたしがうろついてたら怪しくない?」
「身分的に貴族なので、問題ないでしょうし、むしろ王国に戻ってきた喜ばれると思いますよ」
「そうだとしても…面倒だなぁ」
「別に断っても構いませんよ。ただ、リリアーヌさんの件についてちょっと聞きたと思いまして」
リリアーヌというのはリットン家の令嬢であったが、政略結婚に失敗して家を追い出されて今は平民になり結婚相手の故郷で暮らしている。
ちなみに、結婚相手は女性であるが王国は女性同士の同性婚を認めている。
理由は聖教の開祖が女神同士から生まれた女性であるため、女性同士での結婚は認めているとの事。
ただ、同じ聖教圏でも同性の結婚を認めてるのはここアンセリア王国ほか隣国の数各国で
全体で見れば1割程度しか認められていないそうだ。
「え~と、なんでしょうか」
「とぼけても無駄ですよ?リリアーヌさん婦婦を王都から故郷まで護衛した事は知っていますので」
「な、何でそれを知ってるの!?」
「だって、あれはわたくしがアデールに提案しましたから」
リットン公爵夫人から依頼された時おかしいと思ったけど、そう言う事だったのか。
最初はリットン家に関わるのが嫌で、グリフォン家との関係もあるから断ろうと思ったが
跪いて事情を話されて泣きながら「娘の事をお願いします」って言われたら断れなかったしお金ももらちゃったのもあるけど。
念のため言っておくけど、お金の為じゃないよ?情に流されただけだよ?
「なので、依頼をお受けした事は別に構いませんし、二菜さんの自由なので。ただ、本当にお受けするとは思いませんでしたけど」
「え~と、情に流されてお受けしただけで、グリフォン家に仇名すすつもりはありませんので」
「ふふふ、冗談ですよ。わたくしも二菜さんならお受けしてくれると思い、提案しましたので。
依頼を受けたら二菜さんを何かするぐらいでしたら、最初から提案しませんのでご安心を」
いや、ジェリスがそう言うと、やっぱり冗談に聞こえないから困る。
「わたくしと、アデールは幼馴染で元恋人でしたからね。表向きは距離を取ってますが、時々今も会ってますし夜も共にしてますので。
夜を共にすると言っても、あんな意味ではないですよ、今は」
「今は」って事は以前は…ってそういう意味もあったって事だよね。
深くは追及しないけど。
「そう言う事ならば安心したけど、この話を今する話では無いような?」
「いえ、関係ありますよ。アデールはこの件を借りにして、1つだけ何でもすると言ってました。
ただ、何でもすると言ってもやってほしい事は、ありそうでないので、気づいたら15年も経ってましたが
約束は今も有効なので、やっと機会が出来ました」
「え~と、何をするか聞いてもいいですか?」
「二菜さんに暗殺計画を企てた方のお話していただくという事です」
「え!?」
話の流れからおおよその予想はしてたけど、やはりこう来たか。
「で、でもなんであたしなの?」
「リットン爵夫人がグリフォン家に密告したなんてばれたら、後々困りますので。
別に密告自体は貴族の間では普通な事ですが、わたくし達の関係が何らかの容でばれたら困ります。
女性同士の愛が普通と言っても、既婚者同士は不貞になりますので。
それに、二菜さんは身分的には公爵なので、リットン家に出入りしてもおかしくありませんし。
本日はジョーノも戴冠式の打ち合わせで登城してます、少なくとも今日は帰ってきません。
なので、今日がいい機会なのでこの足でアデールの所へ行ってください。ちゃんと紹介状は書いてありますので」
そういうと、紹介状を差し出されてたがどうやら最初から準備が出来ていたようだけど。
「断るのは無理と思うので、受けるけど…ここまで準備してあるって事は怪文書を誰か書いたか知ってるんじゃないの?」
「どうでしょうね。ただ、幼馴染の筆跡はわかるとだけ言っておきましょう」
ジェレスとアデーレ夫人が幼馴染という事は有名な事だけど・・・そう言う事か。
「ところで、あたしが来る事がわかってたの?」
「いえ、偶然です。実はエドさんに頼もうと思ってまして。
今もブラウン商会はリットン家御用商人ですが、以前ほど強いつながりはなく今はエド商会の方が取引が多いのです。
今日はエド商会とグリフォン家の外商の日ですが、その帰りにリットン家に立ち寄る事もありますので不自然ではありませんのでお頼みするつもりでしたので。なので、エドさんには事情はお伝えしてますのでご安心を」
「だったらエドも同席しても良かったのでは?」
「流石に、エドさんにわたくしとアデールとの関係は話せませんわ。二菜さんだから話せたのです」
流石に夫人同士が不貞を働いてる事はエドには言えないか。
エドなら口外する事はないし、脅迫する事はないとはいえ念の為にって事かな。
「それでは頼みますね。このお礼は推薦状として返しますわ」
「ええと、実際に会ってから推薦するんじゃなかったの?」
「もちろん、お会いしますわ。ただ、ミュレイさんは代理としてバンの村に視察に行った時に
お会いした事がありますが、12歳なのに教養があり、なぜ王都の学校に入ってなかったから不思議なぐらいでした。
お聞きしたら、ご本人が王都で勉強をしたいけど家族や村人から離れるのが寂しくて嫌と言ってました。
その時は代理という事もあり、無理強いはしませんでしたが、年齢も14歳なので推薦で入学できる猶予も少ないですので」
地方の中等学校をでてなくても、貴族の推薦で王都の学院に入れるのは15歳まで。
ただ、ミュレイの誕生日は2週間前なので多少余裕があるのでいいが、推薦受付締め切りまであと2か月しかない。
「最初から推薦するつもりだったなら、すぐ出してくれてもいいのに」
「そうはいきませんよ、推薦は1度本人に会わないといけないと規定がありますますし、証明として本人の拇印必要なので」
「それじゃ仕方がないか。ただ、問題はミュレイが来てくれからだけど」
「それは二菜さんがどうにかしてくださいな」
「うう、そうだけど」
ミュレイはあたしになんか懐いてるけど、意外と寂しがりやみたいだからなぁ。
説得はしてみるけど…。
「それでは、用件は終わりましたので頼みますよ」
「わかりました。いい結果が出なくても責めないで?」
「その時はその時です。ただ、ミュレイさんの推薦はお出しますのでご心配なく」
「それについては素直にお礼をいうよ、ありがとう」
「二菜さんもがんばってくださいね」
用件が終わりフランクさんを呼び、部屋をでてエドの待っている部屋へ行く。
ジェレスの依頼をこなすためエドにもリットン家に来てもらう事になった。
ただ、リットン家は前回のバンの村の事があるから本当は行きたくないけど、依頼を引き受けた以上いかないとらない。
お読みいただきありがとうございます。
続きがなかなか思いつかなかったですが、やっと進みました。
新キャラクターとしてグリフォン公爵夫人ジェリエンヌ・グリフォンが登場します。