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第48話 侯爵令嬢と男爵令嬢の密会
「王子様からお誘いが?」
口に運ぼうとしていたカップを既の所で止めて、クリスティーナは怪訝な顔で聞き返してきた。
「はい、この前お茶に誘われた時に、はっきりと言われましたわ。」
「そう……それは良かったですわね。」
嬉しそうにはしゃぎながら説明するエミリアに、クリスティーナは一瞬だけ眉間を顰めた後、爽やかに微笑んできた。
エミリアは、またクリスティーナに誘われ、ハウゼン邸のサロンで優雅にお茶を飲んでいた。
そして、先日のレイモンドとのお茶会で、三か月後に行われる学園恒例『卒業式前夜祭』のパーティーに、パートナーとして誘われたのだった。
その誘いを受けたエミリアは、内心でガッツポーズと万歳三唱を同時にやってのけた。
ここまで来ればこっちのもの!と、エミリアは畳みかけるように、クリスティーナに当日の打ち合わせをしていたのである。
「それでは、あの計画はその時に?」
「もちろんですわ。」
二人はにんまりと笑いながら頷き合う。
計画は順調。
あとは婚約者である、あの女を引きずり下ろすだけであった。