第26話 王子悶絶する
短いです。そして王子がキモいですwスルーしても話の流れに問題ありません!
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「はぁ、今日もエリィは可愛かった……。」
あの後、多少のトラブルはあったが舞踏会はなんとか無事終わり、レイモンドは自室のソファで両手を組んで感慨深げに呟いていた。
「そうですか、それはようございました。」
その近くでは、お茶の用意をしているケビンが相槌を打っている。
「はぁぁぁぁ、もう!エリィの可愛さに、我慢できなくなりそう!!」
暫く黙っていたと思っていたレイモンドは、いきなり大声で絶叫してきた。
ケビンはその声に、思わずポットを取り落としそうになる。
「いきなり大声出さないでください……。」
ケビンは苦情を言いながら、レイモンドが蹲るテーブルに淹れ立ての紅茶を置くと、主人の姿に溜息を吐いてきた。
ソファに蹲る主人は何故か針と糸を持ち、超高速でエリィ人形を作っていたのだった。
「エリィ可愛過ぎ!もう耐えられそうにないのよ、どうしようぅぅぅ!!ねえケビン、どうしたらいいと思う?」
――知らんがな……。
叫びながら、ちくちくと器用に手だけを動かす主人の異様な光景を見ながら、話を振られたケビンは引き攣った笑顔を作り冷や汗を流していた。
「どうしたら良いと言われましても……卒業したら、すぐご結婚できるのですから、今は耐えてください。」
としか言えなかった。
「それよりも……。」
と、話を切り替えてきた。
だくだくと涙を流しながら、こちらを恨めしそうに見てくる主人は、とりあえず無視をしておく。
「ご命令の令嬢たちですが、また動きがあったようです。」
「え、本当?」
ケビンの報告に、レイモンドは、いつものキリッとした顔に戻ると顔を上げてきた。
「はい、こちらが報告書になります。」
そう言って差し出してきた密偵からの報告書に、目を通したレイモンドは目を見張る。
そして――
「はあ?どういうことよこれ!?」
と、またしても絶叫するのであった。