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第五話 従姉妹と猫

従姉妹の本領発揮?

 猫カフェから大型スーパーに向かって三十分後。目的地にたどり着いた私と紅愛は服コーナーでいろんな服を見て回った。私が取った服はことごとく紅愛に否定され、「こっちの方があんたに似合う」といろんな服を私の方に持ってきてくれた。紅愛が私のために何かをするのは初めての事だったので、私はそれが嬉しくて紅愛セレクトの服を何着か購入した。私も紅愛の服を選んであげたかったけど、私の選んだ服はお気に召さなかったらしい。結局、紅愛は自分で選んだ服を二着ほど購入した。車に戻り後ろに荷物を載せる。運転席に乗ったところで私はスマホで時間を確認した。現在の時刻は十一時十分だった。あれから一時間くらい服を見ていたらしい。この時間なら猫カフェも開いているだろう。


「じゃあ、服も見たし猫カフェに行こうか」


 後部座席に座っている紅愛に振り返り、次は紅愛の大本命の猫カフェに行くことを知らせる。


「......! うん」


 紅愛は少し目を輝かせながら嬉しそうに返事をした。嬉しそうな紅愛を確認したところで、私は猫カフェの住所を車のカーナビに入力する。住所が分かったところで私は、車をカーナビの指示に従いながら猫カフェ目指して走らせた。




 スーパーから二十分の所に猫カフェはあった。白と黒のシンプルな外装に猫の看板や、猫の絵が壁に描かれていた。車から降りた紅愛は先ほどより目を輝かせていた。


「可愛いお店だね」


 私も車から降りて紅愛の隣に並んで言った。


「早く入るよ」


 私の言葉をばっちり無視して、紅愛は猫カフェの入り口に入っていった。その後を追うように私も猫カフェの入り口に入った。



 中に入ると、先に入った紅愛が若い女性の店員さんと話をしていた。


「......ねえ、メニュー早く決めてよ」


 紅愛は私が入ってきたのを確認すると「早く来い」と言わんばかりに私を呼んだ。


「メニューって何の?」


 私が分からないで首を傾げていると。店員さんが私に説明をしてくれた。


「当店ではまず最初にご利用する時間を選びまして、ドリンクや軽いお食事を選ぶ事が出来るんですよ」


 店員さんの説明に納得した私は渡されたメニュー表を見た。確かにドリンクからデザート、さらには軽いご飯ものまであった。もうすぐでお昼になるしここでお昼ご飯を済ませてしまおう。


「もうすぐでお昼になるし、ここでお昼ご飯食べていこうか。紅愛ちゃんもそれでいい?」


 紅愛に聞いてみると紅愛はすぐに頷いた。


「私はエビピラフとリンゴジュースにする。あんたは?」


 紅愛は即決で決まると「早く選べ」と言わんばかりに私の方を見た。


「......じゃあ、わたしはカルボナーラとウーロン茶で」

「かしこまりました。ご利用時間はどういたしますか?」

「九十分」

「かしこまりました。それでは、ご案内いたしますね」


 私がメニューを決めると、紅愛はすぐに利用時間を決めて、店員さんの後を黙って付いて行った。私も紅愛の後に付いて行く。店員さんに案内され、奥の扉の前まで来た。


「それでは、このドアの向こうが猫ちゃん達がいるお部屋になります。これから九十分猫ちゃん達と楽しい時間を過ごしてくださいね。こちらのタイマーが鳴ったら終了となります。メニューは後ほどお運びいたしますね。それでは楽しんでいって下さいね!」


 店員さんに、猫の可愛いタイマーを貰うと、店員さんはレジの奥に消えていった。


「早く入ろうよ」

 

 紅愛は早く猫に会いたくてしょうがないのか、ドアノブに手をかけている状態で私に話しかける。


「そうだね、入ろうか」


 私が答えると紅愛は早速ドアノブを回して、ドアを開けた。



 中に入ると、まず真っ先に目に入ったのは大きなキャットタワーと、そのタワーでくつろいでいる可愛い猫達が沢山居た。壁には猫達の写真が貼られており、隣には名前も書いてあった。見てみると、この猫カフェには十匹の猫が居るみたいだ。


「へぇ、結構猫ちゃんいっぱい居るね」


 近くに寄ってきた茶色と白の猫を撫でてみる。目を閉じて喉をごろごろと鳴らして、気持ちよさそうだ。


「猫ちゃん可愛いね、ね? 紅愛ちゃん」


 紅愛の様子を見てみると、紅愛の元には猫が三匹集まっていて、三匹を交互に撫でていた。紅愛になでられた猫たちはみんな喉をごろごろと鳴らしていた。


「......紅愛ちゃん、猫の扱い上手いね、昔飼ってたの?」


 あまりにも紅愛の猫の扱いが上手いので聞いてみる。


「......いいや、飼ったことはない。たまに公園で野良猫と遊ぶぐらい」


 野良猫の方が扱いが難しそうだけど...... 紅愛は野良猫と仲良く出来るくらい、猫の扱いが上手いらしい。それにしても私と紅愛で寄ってくる猫の数が違いすぎる。紅愛にはここの猫カフェの半分の猫達が寄って来ている。対して私は、さっき撫でた茶色と白の猫しか寄ってこない。紅愛は猫達からも人気のようだ。

 

「......紅愛ちゃんの猫人気すごい......」

 

 私は店員さんがドリンクと食事を持ってくるまで、沢山の猫達に囲まれた紅愛を呆然と見ていた。


 

 頼んでいたメニューが来たところで紅愛は、猫達から解放された。それでも紅愛の足下には猫達がうろうろしているが......


「......紅愛ちゃん、猫ちゃん達から大人気だね」

「......まぁね」


 でも、猫ちゃん達に囲まれていた紅愛はとても楽しそうに見えた。一緒に過ごす事になって初めて、紅愛の嬉しそうな顔を見れただけでもここに来て良かったと思った。


「私も紅愛ちゃんみたいに、猫ちゃん達と仲良くなれるかな?」

「......さぁ? あんたの頑張り次第かもね」

「良かったら、猫ちゃん達との接し方を教えてくれない?」


 私も少し位は猫ちゃん達と仲良くなりたい。そう思って紅愛に聞いてみる。


「......良いよ、せっかくだから教えてあげる」

「ありがとう!」


 

 

 そうしてお昼を食べ終わった私達は、めいっぱい猫ちゃん達と遊んだ。紅愛にアドバイスを聞きながら抱っこの仕方や、撫でると喜ぶところ等を教わりながらおもちゃで遊んだりもした。紅愛のアドバイスのおかげか、猫達も私の方に寄ってくるようになった。可愛い猫達とふれあえて私と紅愛は幸せな時間を過ごした。




「楽しかったね!」

「うん」


 時間になって、レジで会計を済ませ猫カフェを出る。スマホで時刻を見ると十二時半だ。まだ家に帰るには早すぎる時間だ。


「まだお昼どきだね。どうする? もう帰る?」


 紅愛に帰るかどうか聞いてみる。もし、紅愛が疲れていないならまた別のお店でも見てまわろうと思うんだけど。


「......あんたは? まだ見たい店とかあったりするの?」

「見てまわってもいいの?」

「私は良いよ、猫カフェに連れて来てくれたし、そのお礼に付き合ってあげる」

「ふふっ、ありがとう紅愛ちゃん。じゃあ私の買い物に付き合って貰おうかな」


 紅愛から承諾されたところで私はショッピングモールへ車を走らせた。





 その後も紅愛と色々なお店を見てまわった。可愛い雑貨屋さんを見たり、本屋で雑誌を買ったり、三時にはおやつでカフェで美味しいケーキを食べたり、晩ご飯用の食材を買ったりして、帰る頃には六時になっていた。紅愛は疲れたのか車の中でうとうとしていた。睡魔と格闘している紅愛を「可愛いなぁ」と思いながら帰りの道を車で走る。



 駐車場に車を駐めると、さっきまでうとうとしていた紅愛が、車が止まったのに気がついたのかあくびをしながら眠たい目をこすっていた。


「おはよう、紅愛ちゃん。後ろに乗せた荷物を運ぶのを手伝ってくれない?」

「......うん」


 紅愛はまだ眠たいのか眠たそうに車から降りて、あまり重くない荷物を持った。これは早めにお風呂を沸かして紅愛に入らせた方が良いな。まず家に帰ったらお風呂掃除をやって、お湯を沸かせなければ。少し多い荷物を下ろし車のロックをしてマンションに入る。エレベーターの中でも紅愛はまだ眠そうだった。部屋の鍵をカバンから取り出して、鍵を開ける。紅愛を先に入らせて、玄関の鍵を閉めて、私も靴を脱いでリビングに荷物を置きに行く。食材を冷蔵庫にしまっていると、紅愛は荷物をリビングのダイニングテーブルに置くとソファに顔面からダイブした。今日は散々歩き回ったから相当疲れたのだろう。


「今から、お風呂沸かせるから紅愛ちゃん先に入って良いよ」

「......眠い......」


 紅愛はうつ伏せの状態でソファに横たわっている。このままだと本当に寝てしまいそうだ。


「すぐお風呂沸かせるから! 寝ないで待ってて!」


 私はダッシュでお風呂場に向かい、今の全力のお風呂の掃除を終わらせ、給湯器の自動ボタンを押した。これで二十分くらいでお風呂は沸くだろう。それより次は晩ご飯の準備をしなければ。私はお風呂場を後にしてキッチンに戻る。


 エプロンを着けて、今日買ってきた食材を冷蔵庫から取り出す。今日の晩ご飯は鮭の塩焼きとお味噌汁とご飯にするつもりだ。鮭はささっとキッチンの魚焼きグリルで焼いて、その間に鍋で水を沸騰させる。炊飯器からお釜を取り出して洗剤で洗って米を洗う。炊飯器に戻して、早炊きモードに設定して炊飯ボタンを押した。そろそろ鍋が沸騰してきたので、だしを入れて味噌汁に入れる野菜を一口大に切って鍋の中に入れる。野菜に火がとおったら、一旦火を止め味噌を取り出しておたまの上で溶かす。溶かし終わったら再び火を付けて、最後に豆腐を入れて軽く混ぜたら豆腐の味噌汁の完成だ。鮭を焼いているグリルの様子を見てみると、焦げ目も付いてちょうどいい焼き加減になったのでお皿に盛り付ける。鮭の上に軽く塩をかけて完成だ。あとは、ご飯が炊けるのを待つだけだ。


 ふと、紅愛は今何をしているかが気になりリビングの方を見てみる。紅愛は相変わらずソファにうつ伏せのまま横になったままだった。もしかして寝ているのかもしれない。紅愛が起きているか確かめるためソファに近づいて紅愛の顔を見てみた。紅愛は目を閉じていた。やっぱり近くで見ても可愛いなぁ。紅愛の寝顔を見ながらどうやって起こそうか考えていると。


「......何......」


 いつの間にか目を開けた紅愛が私の方をじっと見ていた。


「お、起きてたの!?」

「うん」

「......い、いつから?」

「......あんたが寄ってきたときから」


 私がバッチリ紅愛の顔を見ていたのがばれてしまった......紅愛は寝てたのではなく、ただ目を閉じていただけだったようだ。


「目を閉じてたから、私てっきり紅愛ちゃんが寝てると思って......」

「確かに眠いけど、もうすぐご飯が出来そうだし寝るわけないでしょ。ただ、目を閉じていたら眠気もどっかにいくと思って閉じてただけ」

「......そ、そうだったんだ」


ちゃんと紅愛は眠たいのを我慢して、ご飯が出来るのを待ってくれてたようだ。


「もうすぐでご飯が炊けると思うから、もう少し待っててくれる?」

「うん、ところでさ......」


 紅愛が突然話を持ち出してきた。


「さっき、何で私の顔をあんなに見てたの?」


 ......やっぱりばれていた。なんとか話をそらしていたけど、ついに紅愛から話を振られてしまった。


「......え、えっと......それは......」


 なんて言ったらいいか分からず、私は上手く言い訳をしようと色々考えるが思いつかない......


「......何で?」


 紅愛はなかなか答えない私の顔をにやにやしながら見ている。


「......えっと......紅愛ちゃんの寝顔が可愛いなぁと思って」

「......ふうん」


 言い訳が思いつかなかったので正直に思っていたことを話した。紅愛はいまだににやにやしていた。早くこの話題が終わって!! 


 ピーッピーッ


 すると、炊飯器からお米が炊けた音が鳴った。


「......ご飯炊けたから早くご飯食べよ」


 紅愛はさっきまでの話が無かったように、いつも通りの紅愛に戻った。


「そ、そうだね......」


 紅愛って結構いじわるだなと思いながら、紅愛と私の分の食器を棚から取り出してご飯と味噌汁をついで、キッチンに置いていた鮭の塩焼きのお皿をダイニングテーブルに置いて、私と紅愛は晩ご飯を一緒に食べた。




「じゃあ、私お風呂入ってくるね」


 晩ご飯を食べ終わって食器を流し台に置くと紅愛は着替えを取りに、部屋に行ってしまった。しばらくしてお風呂場の扉が開く音がして、シャワーの音がしはじめた。私はぼっーとしながらお皿洗いをしていた。まさか年下にいじわるされるとは思ってはいなかった。明るく考えるのならば、いじわるされるほど仲良くなったということだろうか? そうだといいんだけど、まさかこのまま私は紅愛にいじられキャラとして扱われるんだろうか。今度からはうかつに近づきすぎるのはやめよう。また、紅愛にいじられるかもしれない。そういえば、明日から私も仕事があるし、紅愛にも学校があるんだった。お弁当とか必要かなぁ、後で紅愛に聞いておこう。そうなると、私は朝の十時から午後六時まで仕事だから、家には紅愛の方が先に帰って来るだろうし家の鍵はどうしようかな。悶々と私が考えていると、気づいたら紅愛が脱衣所の扉から出てきていた。


「お風呂入って良いよ」

「あ、紅愛ちゃん。紅愛ちゃんに聞いておきたいことがあるんだけど」

「何?」

「紅愛ちゃんは、お昼ご飯はどうしてたの? やっぱり、紗英さんがお弁当とか作ってくれてたの?」


 紅愛にお昼はどうしているのか聞いてみる。


「お弁当だったり、弁当がなかったら購買で買うか、食堂で食べたりする」

「そうなんだ。明日から学校でしょ? 私がお弁当作ろっか?」

「......あんたが良いなら良いよ」


 確か私のお弁当用の冷凍食材がまだ残っていた。私もほとんどお弁当だし、ついでに紅愛のお弁当も一緒に作ってしまおう。


「じゃあ、明日からお弁当作るから楽しみにしててね。紅愛ちゃんの学校って何時から登校するの?」

「八時二十分からホームルームで半から授業が始まる」

「分かった。それまでにはお弁当作っとくね」

「うん」

「ところで紅愛ちゃん、まだ話したいことがあるんだけど......」

「今度は何?」

「私ね、仕事が朝の十時から夜の九時位まであるんだ。だから、紅愛ちゃんの方が先に家に帰って来るから、家の鍵下のポストの中に入れておくね。ポストの鍵の数字は六六九って入れれば開くから」

「......分かった」


 うちのマンションはエントランスにポストがあって、ダイヤルを回して数字を入れるタイプの鍵だ。家から出るときにポストの裏側から鍵を入れるのを忘れないようにしないと。

 

「じゃあ、私もお風呂入ってくるね。紅愛ちゃんも明日学校あるんだから、夜更かししないで早く寝てね」

「......分かってる」


 そう言って、私は着替えを取りに自分の部屋に向かって、お風呂に入った。




 お風呂から出て、リビングに行くと紅愛はいなかった。もう自分の部屋で休んで居るのだろう。私以外誰も居ないリビングの電気を消して自分の部屋に戻る。明日は仕事もあるしお弁当を作るために早めに起きなければ。スマホのアラームをいつもの八時半ではなく、七時にアラームをセットする。スマホを枕元に置いて、部屋の電気を消す。今日は紅愛と一緒に遊んで楽しかった。また、明日からも頑張ろうと思い。私は深い眠りについた。

今回もなんとか早めに更新できました。これからもこのくらいのペースだといいんですが......

次の話もなるべく早く更新できるように頑張ります!!

良ければ、感想コメント、評価、ブックマークで応援よろしくお願いします!!

それではまた次のお話で!

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