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【6話】侵入者

 スケルトン達と戯れていたら、いつの間にかエンギも起きてきたようで、ダンジョンコアを確認すると、56Dポイントになっていた。


 なんか、エンギが起きるタイミングがログボのタイミングと丁度重なるんだよな。

 時計が無い分、1日の行動の基準になるから助かるっちゃ助かるけどな。


 Dポイントは、5Dポイントの通常のスケルトン5体と、10Dポイントのゴブリン3体と交換して合計55Dポイントを使う事にした。


 スケルトンは、万が一ダンジョンにウルフが来た際にスケルトンウォリアーやスケルトンウィザードの3体だと、手数が足りないと思ったため交換する事に決めた。

 ゴブリンに関しては、外への探検の際に一緒に連れて行こうと思っている。


 これで、残りのポイントは1Dポイントだから、ほとんどすっからかんだ。


 エンギがゴブリン達に兄貴面して話しかけに行ったり、スケルトン三人衆が後輩スケルトンズとカタカタとよく分からない大合唱をしていたが、まあ楽しそうで何よりだ。


 それと、新しい仲間にどんな名前を付けようか悩んでいたが、これからどんどん仲間も増えていくんだ。

 悩んでいてもしょうがないと、全員に名前を付ける事に決めた。


 剣術が特技のスケルトンウォリアーは、スケさん。

 盾術が特技のスケルトンウォリアーは、カクさん。

 スケルトンウィザードは、ミトと名付けた。


 他のゴブリンや、スケルトン達にも、名前を付けようとしていると、ダンジョンの入り口から物音がした。


 何事かと思いみんなと警戒していると、一頭のウルフが駆け足で入ってきた。



 種族 ウルフ

 レベル12/15

 特技 統率



 こいつ、12レベルとかだいぶ強いな。


 でも、どうやら何かと戦っていたみたいで傷付いてるし、スケルトン達がどの程度やれるのかを見るのにちょうど良い相手だ。


「スケルトン達はあのウルフの牽制をして動きを封じろ」


「ミトは様子を見て魔法で援護してくれ」


「それと、この台詞、言ってみたかったんだよな。 スケさん、カクさん、やっておしまいなさい」


 弱っていても強敵だからな。


 エンギや、ゴブリン達には様子見をしてもらい、防衛部隊に矢継ぎ早に指示を出す。


 数が多いとはいえこっちは全員レベル1だからな。

 どこまで戦えるか……。


 そんな杞憂とは裏腹に、手負いのため、動きが鈍っているのか、スケルトン達の牽制がしっかり効いている。

 すぐにスケさんとカクさんも追いつき牽制の隙間からウルフへと攻撃を浴びせて行く。


 スケさんとカクさんは盾も持っているし、スピードさえ殺してしまえば、意外と楽勝そうだ。


 それに加えてミトが何やらカタカタと言っている。


 勝利のカタカタを奏でているのかと思ったら、どうやら呪文か何かだったようで、ちょうどスケさんとカクさんが離れたタイミングで、杖の先から火の玉が飛んでいく。


「おぉ! 魔法ってこんな感じなのか!」


 けど、俺もあんな風にカタカタ言わないといけないなら、魔法とか使えそうに無いな……。


 火の玉は、ウルフに着弾すると燃え上がり、身体の大部分に火傷を負わせる。


 その後は、たまにスケルトンがウルフに吹き飛ばされたりしていたが、スケさんやカクさんがフォローに入ったり、ミトが魔法で牽制する事で上手くカバーしながら安定して戦えていた。


 最後はスケさんの剣がウルフの首を貫いたのがとどめになったようで、ウルフは地面へと身を投げる。


「お疲れさま」


 勝利のカタカタを奏でているスケルトン達に声を掛けるとウルフの様子を見に行く。


 やっぱりこいつ、スケさんやカクさんが与えた傷よりも、何かもっと鋭いもので切り裂かれたような傷がある。

 って事は、ウルフよりも強いモンスターにやられたって事か?


 その時、入り口からガヤガヤと声が聞こえて来る。


「なんだこの洞窟、何かの巣穴か?」

「知らないわよそんな事、それよりあんたはちゃんと警戒しなさいよ」

「そうですよ。 何がいるか分かりません。 それに、手負いとは言え万が一という事もありますからね」


 そういう事か……。

 そういえば、さっきのウルフはレベルも高いし特技にも統率とあった。

 つまり、さっきのウルフは今来ている奴等に襲われてここまで逃げて来た、群れのリーダーだったってわけだ。


 だとしたら相当に不味い状況だ。

 こいつら、恐らくウルフの群れを蹴散らして来てやがる。

 それも、大した怪我も見当たらないって事は、今の俺らにとっては相当の実力者だ。

 実はモンスター愛好会の方だったりしないかな……ウルフを攻撃してる時点でないか。


「ん?なんだあいつら?」


 気付けば、ゴリラみたいにムキムキの男がひょいと顔を出し、辺りを見回していた。

 その後ろからは、優男と神経質そうな女が続いて入ってくる。


 先頭のゴリラ男は、2メートルもありそうな筋骨隆々の屈強な体つきで、手には無骨だが頑丈そうな大剣を持っている。

 バリバリの前衛って感じだ。


 その後ろの神経質そうな女は、魔法使いなのか手に杖を構えているが、近接戦闘も出来るのか左の腰には短剣をホルスターに入れてぶら下げている。


 最後に入って来た優男は、剣と盾を手に持ち、油断なく構えている。

 いかにも出来る男って感じだ。


「部屋の奥にダンジョンコアらしきものがあります。 恐らくここは、最近出来たばかりのダンジョンのようですね」


「って事は、あいつらはダンジョンが生み出したモンスターってわけね。 それも、人型のダンジョンマスターまで一緒じゃない」


「ほぉー、運が良いな。 それならさっさとモンスターを倒してダンジョンを潰すとするか」


「そうですね」


「ええ」


 なんだなんだ!?

 万が一モンスター愛好会の方だったらいけないと話を聞いてれば好き勝手言いやがって!


 モンスターを倒す?

 ダンジョンを潰す?


 そう簡単にそんな事、させてたまるかってんだ!


 それに、俺だってただ黙って話を聞いていたわけじゃない。



 種族 人間

 レベル 28

 特技 喧嘩


 種族 人間

 レベル 26

 特技 魔法 


 種族 人間

 レベル 27

 特技 剣術 盾術



 ステータスは、予想通り俺たちからすれば相当の格上だった。


 それなら、出来るだけ戦力を増やそうと、ダンジョンコアまで移動して確認をしたところ、さっき倒したウルフのおかげでDポイントが46に増えていた。


 そのポイントを何と交換するか考えていたが、こいつに決めた!

 来い!



 種族 ゴブリンウィザード

 レベル 1/20

 特技 魔法



 ダンジョンコアの光と共にゴブリンウィザードが現れる。


 これが今の俺が出せる最大戦力だ。

 話を聞いてるだけでも、敵対しないなんて事は不可能そうだしな。

 なら、全力で相手してやる!


「ここに来た事を後悔させてやるぜ!」

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