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【1話】ダンジョンマスターになりますたー

 目が覚めると、知らない天井があった。


 そこには、王女様や俺を取り囲む兵士達がいて、あなたを勇者として召喚しました。


 なんて言われる事もなく、薄暗い洞窟の中にポツンと、俺一人だけしかいなかった。

 しかも、生まれたままの姿だ。


 まあ、正確には俺一人とよく分からん宙に浮く光る球体も一緒にいる。というか、ある。


「何だこれ、俺さっき死んだばっかだし、普通に考えればここは死後の世界って事だろ? って事は、まさかこいつが噂に名高い閻魔様って奴か?」


 ハハッーと、とりあえず土下座をしてみる。


 …………。


「さすがの俺も、この球体が本当に閻魔様だなんて思っちゃいなかったけどな!」


 冗談に決まってるだろ、本当に……。


 周りを見回してもこの丸っこい物体以外、辺りには何もない。

 というか、何もなさ過ぎて出口すらない。

 どうなってんだここ。


「取り敢えず、やる事も無いしこのボウリングの玉みたいな奴でも調べてみるか」


 俺はその丸っこい物体を持ってみる。


「お、動かせないかと思ったら普通に持てたな」


 一旦手を離してみると、球体はまた同じくらいの高さまで浮き上がった。


「おー、なんかすごいな」


「おりゃ!」


 今度は上に放ってみると、手が離れた途端、すぐに下に降りて来て、さっきと同じくらいの高さで止まった。


「面白いっちゃ面白いけど、これだけあってもなぁ」


 神様がなんか語りかけて来るとかも無いし、しゃあない。

 何とか自力でここを脱出するしか無いか。


 考えたなら即行動と、球体を手に持つ。

 そして、そいつを壁に叩きつけた。


「おりゃ!おりゃ!」


 壁に球体をガンガンとぶつけてみるが、壁はびくともしない。それどころか、若干球体が傷付いたのか削れてる気がする。


「もしかして、詰んだ?」


 疲れたから、地面に座りながら球体を手でぺしっぺしっという音を立てながら叩いてみる。


「本当にここ、何にも無いよなぁ」


 すると、急に頭に何かが流れ込んでくる感覚に襲われる。


「は? 何だこれ? っていうか、めちゃくちゃ頭いてー!」


 その何かが頭に入って来た影響なのか分からないが、頭がめっちゃガンガンして、頭が除夜の鐘にでもなった気分だ。


 この痛みが終わったら、俺の煩悩全部無くなってたりするんだろうか……。


 しばらくすると、ようやく頭痛がおさまった。


 どうやら、頭痛の原因は、俺の頭の中にダンジョンと、ダンジョンマスターに関する情報を詰め込むためだったようだ。


 その情報によると、それらの情報を俺にダウンロードするためにしばらく時間がかかるため、球体に接触し続けていないといけなかったらしい。

 そんでもって、さっきまで投げたりぶつけたり叩いたりしてたこの球体こそがダンジョンコアとの事で、壊れると俺は死ぬらしい。


 つまり、俺はさっきまで自分で自分の事を殺しかけてたのか…………あっぶね!

 投げたり叩いたのはまだしも、危うく壁とのオフ会でランデヴーする所だったぜ。

 ガチ恋距離助かるってか?


 やばいな、混乱してよく分からん事を心の中で考えている。

 もう過ぎた事だ。落ち着け、ビークールだ、ビークール。


 でだ。


 何でダンジョンコアがあるここに俺がいるのかと言うと、どうやら俺は、死んだ後にこのコアに選ばれ、ダンジョンマスターとして転生したらしい。

 それも、ダンジョンマスターは、何でかよく分からないが、飲まず食わずで生きる事が可能で睡眠やを排泄なども必要ないらしい。それも、ダンジョンコアが存在する限り死ぬ事が無いとの事だ。

 その代わり、経験値の全てがダンジョンコアに吸収されるため、ダンジョンマスターは、ダンジョンマスターになった瞬間から強くなる事が出来なくなるらしい。


 死なないと知った時は、俺TUEEEEキター!!!


 って思ったけど、出来ないものはしゃあない。切り替えも大切だ。


 それにしても


 ダ、ン、ジョ、ン、マ、ス、タ、ー


 やっぱ響きがカッコ良いよな。

 なんかこう、厨二心をくすぐられるというか何というか。


 でも、一体、俺の体ってどうなってんだろうな。

 なんか、人造人間にでもなった気分だ。というか、まんまそれなのかもしれない。実際のところは知らんけど。


 他にもなんか色々あるが、そこん所を細かく見てくのは、おいおいで良いだろ。


 それよりもだ。

 ダンジョンマスターになったって事は、ダンジョンを作ったり、モンスターを作れるって事のはず。


 今から期待でワクワクして来るな。

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