優しいおばあさん
もうどれくらい歩いただろうか・・・歩き出したときはまだ出ていなかったはずの太陽はすでに頭の真上くらいまで昇っていた。
流石に歩き疲れたウィルは近くの木の根元に腰を置いて少し休むことにした。
人と出会うどころか道すら出てこない・・この近くには人が住んでいないのだろうか
そんなことを考えていると、フッとどこからか美味しい食べ物の匂いが流れてきた。
「食べ物の匂いだ!きっと人が居る」
そう呟きながら匂いを辿っていくと森の中から小さな開けた丘の先に小屋が姿を現した。
小屋の前までたどり着いた時、丁度小屋の扉が開き中から白髪で、ふっくらとした顔つきのニコニコとした小柄で優しそうなおばあさんが現れた。
「おや、まぁ・・・どちら様かしら?」
気が付いてから初めての人との会話に不安で体がこわばる。
「すいません、気が付いたら森の中に居てて・・彷徨ってるうちに美味しそうな匂いに釣られてここにたどり着きました・・」
「あら、まぁ、それは大変だったわね~」
おばあさんはそう言って少し考えるような格好をした後に
「ちょうど今からお昼ごはんだったのよ、良かったら召し上がっておいきなさい」
そう言いながらウィルをテーブルまで案内した。