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なんでも知っている

作者: おとうふ

ある日の、ある街の、ある変わり者の発明家のM氏は言った。


「これは、今までにない発明品ができだぞ」


友人に急いで家に来るように電話した。飼っている鶏が卵を産みそうだから出来立ての目玉焼きを食べてからでもいいかだなんてあいつめ、そんなことはどうでもいいんだ世紀の大発明だ、早く来い!!


透明なフラスコの中に、淀んだ朱色の液体が揺れている。


友人が着くまでの1時間、発明家のM氏はその液体の効能を想像しては、部屋の中を行ったり来たりしていた。




「これを飲んだ人は、自分のわからないものが使えなくなるんだ」


友人が首をかしげると、そうだろうと一瞥しM氏は続ける。


「そもそもこの世は、ワシのような一握りの天才たちの発明を、その他の凡夫が特に有り難がりもせず享受しているんだ。おかげで発明ばかりしているわたしは一文無し、それなのに街を歩くやつらは高そうな服を着て美味しそうな料理を食べふかふかの布団で寝ているじゃないか。こんなことが許されてたまるか。

この液体を飲んだ人間は、自分が理解していないものを使えなくなってしまうのだ。」


よくわからないが面白そうだ試してみようと友人は快くその液体を飲むことにした。


「あれれ?スマホが動かないぞ。電波が届かないのかな。それにしては画面も真っ暗だ」


「はっはっは、お前はこのスマートフォンがどうやって動いているか知らないだろう。」


「これは困った不便だな。落ち着くのにお茶を一杯もらうよ」

友人が冷蔵庫を開けてもちっとも冷たくない。


「そんなことも知らないのか。冷蔵庫は気化によって物体の温度が下がる現象を利用し、コンプレッサの圧縮で〜」

M氏が得意げに説明するのをよそに、それなら水を飲もうと蛇口を捻る。しかし水は出てこない。

こんなところに居られないと友人は帰ろうとしたがドアノブを回してもドアは開かず、時計の針はずっと一方向を示したままだ。やっとのことでドアを蹴破り、車のキーを回したがもちろんビクともしない。あらゆるものが一切合切動きをとめた。


「もう観念した。俺はもう原始人のような生活をするしかないのか…」と友人は肩を落とす。


「ほうれみろ、お前は知らないことばかりなのだ。ワシは飲んでも不便なことなんてないぞ」

残りの液体をM氏は一気に飲み干した。


するとさきほどまで止まっていたM氏の部屋が活気を取り戻す。


「ワシは天才だからな。この世の全てを説明できる」


「こんなことなら家で産みたての卵の目玉焼きの焼き方を悩んでいればよかった!それに出かけに奥さんが今日は腕によりをかけたチキンのスープだと言っていたのに!」


(はて、そういえば鶏が先が卵が先か…生物はどうやって誕生したのだろう…いやそもそも地球どうやって…)



地球は回るのをやめた。


ある日突然、「このスマホは実は魔法で動いていました〜」と言われても納得するぐらいわたしたちは不思議なものを使い、不思議なものたちに囲まれているなの思いました。


あと調理方法も食材もわからないけどひたすらに美味しいことだけわかる食べ物は本当に美味しいまのだと思います。

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