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092. 開拓民

誤字、脱字、御指摘、感想 等もらえると嬉しいです。



 ここ最近は目が回るような忙しさだ。

 忙しいのは、もちろん守備隊と合同の犯罪者の取り締まりが主な理由だが、取り締まりのない日にもダルシム達や様々な物資を調達しているカトル達調達班との会議、選別した文官候補や冒険者達の面接、各ギルドとの打ち合わせ、訪問客の対応など、やることが盛り沢山だ。


 行き当たりばったりの怒濤の日々を過ごしている割には、今のところ特に大きな問題はなく順調と言っていいだろう。


 午前中の長い会議を終え、少し空き時間ができたので部屋で、ゴロゴロしていたが、こんな事をしている場合じゃないな。気になっていた事をイーリスに確認してみることにしよう。


「イーリス、ちょっといいかな?」


 部屋に制服姿のイーリスが姿を現した。もちろんナノムが視覚に干渉して見せている幻影だ。

 仮想ウィンドウ上での映像か、ARモード通信かは、最近になってイーリスに任せるようにしたが、イーリスはARモードが好みのようだ。


「何でしょう? 艦長」


「今の王都の状況が気になってね。あぁ、そういえば俺達の噂というのも、具体的な内容を聞きたいな」


 何か問題があればイーリスが知らせてくれるはずなので後回しにしてきたが、詳細は把握しておいたほうがいいだろう。


「分かりました。ではセリーナ達も呼びましょう」


「あぁ、そうだな。そうしてくれ」


 程なくしてセリーナとシャロンが部屋にやってきた。二人に椅子に座ってもらうとイーリスの報告が始まった。


「まず警戒の状況です。現在、王都上空には五機のドローンが常駐して警戒にあたっています。今のところ王城及び軍に怪しい動きはありません」


「結局、先日の脱走の件で怪しまれてはいないということかな?」


「それはどうでしょう? 確かなことは分かりませんが、この宿及びシャイニングスター各隊には諜報機関の者と思われる監視が絶えず付いています」


「…… ほう。では今もこの宿は監視されているのか?」


「はい。現在の監視はこの二名です」


 部屋の壁一面がスクリーンのようになり、宿の出入りが監視できる位置に人影が立っている映像が映し出された。

 距離にして五十メートルほどだろうか。こちらを監視しているようには見えないさりげない仕草で、指摘されなければ気づかないほどだ。

 なるほど、こいつらは諜報のプロフェッショナルと見て間違いない。


 恐らくあの宰相の配下の者達だろう。まぁ、俺達に監視を付けるのは当然のことか。


「この者達に対する警戒レベルは最高に設定しています」


「こいつらが接触する人物も確認しているな?」


「はい。しかし関係者が王城に出入りする様子はありません。どうやら監視している者達は、ある意味独立した組織のようです」


「…… そうか。引き続き警戒を頼む」


 何か仕掛けてくるなら容赦はしないが、こちらに危害を加えない限りは放っておこう。


「じゃ、王都の人達の様子を聞かせてくれないか?」


「はい。我々、というか艦長の知名度は今や大変なものです。文字通り王都で知らぬ者はいないでしょう。やはりグローリアが王都に姿を現したことが大きいようです」


「それほどか……。まぁ、それほど悪い噂じゃないんだろう?」


「もちろんです。悪いどころか英雄視されていると言ってもいいでしょう。城でドラゴンを退けたとの話も衛兵から伝わっていますし、ガンツではドラゴンを従えたという話も既に広まっています」


 英雄視までされているとは……。それだけ人々はドラゴンに畏怖の念を抱いているということだろう。グローリアのおかげだな。


「犯罪者の取り締まりについてはどうなんだ?」


「当初は強引な取り締まりに良くない噂も出ましたが、掲示板を設置してからはそれも立ち消えました。今では王都の大多数の人々は我々の取り締まりを絶賛していると言っても良いでしょう」


 壁のスクリーンに、守備隊の詰所の前に設置された掲示板を群がるように見ている人々の様子が映し出された。

 そう、俺の提案で王都に点在している守備隊の詰所の前に、捕らえた犯罪者達の氏名、罪状と刑罰を貼り出すようにしていた。せっかく手間暇をかけて取り調べたのだからこれを利用しない手はない。

 このような掲示板は今までなかったらしく、思いのほか王都の人々には好評で掲示板には連日、人だかりが出来ていた。


 王都の大多数の人達の暮らしは楽ではない。そのような中、犯罪を犯して自分達よりもマシな暮らしをしている犯罪者達が罰せられることが、人々にとって小気味良いのだろうということは容易に想像できた。

 もちろん、掲示板の情報の更新にはそれなりのコストがかかっているが、売却した戦利品の資金のごく一部で賄えるのだから何の問題もない。


「取り締まりにおいて話題となっているのが、我々がどこから情報を得ているかということです。王都に来たばかりの我々が、知るはずもない犯罪組織の情報を知っているのですから驚きは大きいようです」


「ま、そうだろうな」


「いくつかの犯罪組織は情報源を突き止めようと躍起になっていますが、当然のことながら突き止められません。そのため、一時は情報屋狩りのようなものが行われたようです」


 この王都には、マスメディアなんてものはないので、人々がコアな情報を仕入れるには専ら情報屋と呼ばれる情報を売買する人達に頼っていた。

 賊共は自分達の情報が漏れるのを恐れて情報屋を襲っているようだ。


「情報屋か……。意外な人達に迷惑をかけていたんだな。どうしたもんだろう?」


「いえ、王都中のほとんど情報屋は一斉に姿を消しました。王都を離れたのかもしれません。そのせいで犯罪組織は情報を仕入れるのに苦労しているようです」


 なるほど情報屋らしい行動だな。彼らはそういった情報を仕入れるもの速いだろうし、良いコネクションも持っているだろう。姿を消すのもお手のものか。


「それは俺達にとってはプラス材料だな。仕事が一層捗りそうだ」


 既に四百名を超える賊共を捕らえているので、ノルマである五百名は余裕で達成できそうだ。これだけ好評ならば時間の許すかぎり取り締まりをやっていこう。


「領地の事はどういう風に受け取られているんだ?」


「関心は高いですね。我々が馬車や馬、食糧や物資を買い漁っているのは周知のこととなっています。加えて職人ギルドで職人を募集していることも大きな話題となっています」


 スクリーンの酒場の映像が表示され、六人の男達が座る一つのテーブルがズーム表示された。


「お前、工房辞めてシャイニングスターの職人募集に応募したって本当なのか?」


「あぁ、本当だ。一家揃って行くことにした」


「おいおい、大丈夫なのかよ。あの『魔の大樹海』だぞ? 今まで何度も貴族が開拓しようとして失敗した土地なんだぞ?」


「お前達だって知っているだろう? 今までの貴族とは掛けている金の額が違う。噂じゃドラゴンで稼いだ金を全部つぎ込んでるって話だ。やはり平民上がりの貴族っていうのは話を分かっているぜ」


「確かにうちの工房への発注分だけでも半端じゃない金を使っているな。……しかしなぁ」


「今まで失敗した貴族達は樹海を舐めていたからだ。よく知りもしないくせに樹海に行って成功する訳がない。しかし、コリント卿は違う。ガンツの現役のAランク冒険者だぞ? 樹海を誰よりも知っている男が全財産をつぎ込んで開拓するんだ。失敗するわけがない」


「「確かに」」


「ドラゴンを従えたって噂もあるしな。なんだか俺、いけそうな気がしてきた」


「動員されている開拓民は数千人、なんて話もある。職人募集の条件、知ってるか? 職人達は家を造らなくていいそうだ。住む家はコリント卿が全部用意するってさ。俺達数百人の職人が暮らす家を用意するなんてことは、少なくとも数千人はいないと出来ないだろうな」


「本当かよ……。俺も応募しようかな」


「だったら急いだほうがいいな。さっき、職人ギルドを見てきたが応募する職人達でごった返していたぞ」


 男達が一斉に席を立ち、酒場を出ていったところで映像は終わった。



「どうやら職人は問題なく集まりそうだな」


「先日、開拓民は募集していないと発表したことで落胆の声も多く聞かれます。これだけ盛り上がりを見せているだけに惜しいですね」


「そうだな。しかし、クレリアに従うという数千の人々を優先しなきゃいけないからな」


 クレリアに従うという辺境伯軍二千人の家族を、当初五千人と仮定していたがヴァルター達によるとその見積もりは少なすぎることだった。

 平民は子沢山の家庭が多く、ヴァルターはなんと十人兄弟だという。俺の故郷じゃ考えられない数字だ。

 一つ家庭で少なくとも四人は見積もる必要があるとのことだった。辺境伯軍二千人、その一人一人の家族を四人と換算しても八千人という計算になる。


 王都からの開拓民を連れていってもなんとかなるかもしれないが、最初の立ち上げは盤石の体制で行いたい。万が一にでもひもじい思いをさせたくはない。


「ユーミの話では、孤児で良ければいくらでも人数は集まると言っていました」とシャロン。


「ん? あぁ、ユーミというのは保護した孤児か。それは素晴らしい情報だな。では、街の準備が出来たら大々的に開拓民を募集することにしよう」


「そうですね。帝国軍の人員も早く増やさなければなりません」とセリーナ。


「艦長、そろそろ時間です」


「あぁ、もう時間か。では出掛けることにしよう」


 一時間程前に教会の司教の使いが来て、都合が良ければ十三時に教会まで来て欲しいとのことだった。

 いくら司教とはいえ男爵を呼びつけるとは何事だと皆は憤慨していたが、使者は非常に恐縮した態度で是非とも、とのだったのできっと緊急の要件なのだろう。

 恐らく大司教選ともいうべき選挙絡みの話だ。

 セリーナとシャロン、それに数名の護衛と共に用意されていた馬車で教会に向かった。


 教会に到着するとシスターが待ち構えており、すぐに貴族用の応接室のような部屋に通された。なにやら慌ただしい感じでピリピリした雰囲気だ。

 ゲルトナー司教がすぐにやってきた。何やら思い詰めたような顔つきをしている。


「コリント卿、突然お呼び立てして申し訳ありません」


「いえ、構いません。何か急ぎの要件でしょうか?」


「……いえ、急ぎというか、コリント卿に来て頂いてもしかたのないことなのかもしれません。最近、使徒様の夢を御覧になったでしょうか?」


 うーん、夢の話から入るということは使徒絡みの話か。司教の思い詰めたような顔つきからすると、使徒が姿を現さなければならない状況なのかな?

 司教は俺の傍らにいるセリーナとシャロンにも気づいていない様子だ。


「ええ、昨夜見ました」


「本当ですかッ!? それはいつなのでしょう? 教えてください!」


 今にも俺に掴みかからんばかりの慌てようだ。この慌てぶりからすると間違いないな。


「落ち着いてください。訳を聞かせてもらえませんか?」


「あぁ、申し訳ありません。実は先日、私の呼びかけに応じて使徒様が御姿を現したことは教会関係者に大きな衝撃を与えました。それは当然のことなのですが、些か衝撃が強すぎたようで隣国に外遊中だったイーヴォ枢機卿様が、予定を変更してこの地に急遽立ち寄ることとなったのです」


(イーリス、枢機卿というのは?)


[大司教の一つ上の位階です。ルミナス教のナンバースリーですね]


 ほう、それは凄いな。司教にしてみれば二つ上の階級の聖職者ということだ。なるほど慌てている理由がわかってきた。


「もう教会にいらっしゃっているということですか?」


「そうです。今は別室にてお休みになっています。先程まで私とお会いして先日の事を色々と話をしておりました」


「なるほど……」


「…… 枢機卿様は既に近隣の司教を招集していまして、続々と司教が到着しているところなのです。そして、私は全ての司教が到着し次第、使徒様に呼びかけをしてみることになりました」


 司教が青い顔をしている理由はこれか。

 神の使いなのだから姿を現さなくても、司教が罰せられることはないだろうけど、非常に不味い立場に司教は置かれることになるに違いない。


「コリント卿、夢はどのようなものだったのでしょうか?」


「…… 残念ながら夢の内容からは、いつ御姿を現すかは判りませんでした」


「あぁ……」


「安心してください。私が見た夢は、司教様が先日のように両腕を空に掲げ、空を見上げると使徒様が姿を現す夢です」


「………… 本当ですか」


 司教が呆然としながらそう訊いてきた。

 こういう内容にしておけば、鐘の音に合わせて司教がポージングする必要がないし都合がいい。


「本当です」


「あぁ…… 神よ」


 司教は跪くと何やら複雑な仕草をしながらブツブツと祈りを始めた。正に救われた気分なのだろう。

 はぁ……。何だか司教の敬虔な心をもてあそんでいるようで心が痛む。

 司教の祈りは程なく終わった。


「コリント卿、失礼しました。あまりのことに我を忘れてしまいました」


 司教はセリーナ達にも気づいたようで気恥ずかしそうにしている。


「構いませんとも。お気持ちよくは分かります」


 ノックがあり、シスターが顔を覗かせる。


「司教様、皆様がお揃いになりました」


「あぁ、正に神の思し召しだ」


 司教がそう呟くのが聞こえる。

 本当にこれ以上ないというタイミングだ。きっと司教には神の加護があるに違いない。


 司教は忙しいだろうからと失礼しようとすると、司教に是非残ってくれと引き留められた。何か用があるのだろうか? まぁ、特に用事はないから問題はない。


 いよいよ儀式が行われるようだ。先日と同じように教会前には、説教用の台が用意され、その後ろには貴賓席のようなテーブルと椅子がずらりと並べられている。

 貴賓席の中央に座っている高そうな祭服を着ている白髪の老人が、きっと枢機卿なのだろう。俺とセリーナ達も、その末席に案内され席についた。 

 

 教会前の広場は、司教達の共の者なのか教会関係者と思われる人達で一杯だ。何事かと集まってきた王都の人達も集まってきている。


 司教が姿を現し、説教用の台へ上がり跪くと祈り始めた。それを見た教会関係者も同じように祈り始める。

 既にドローンは教会上空で旋回を始めており、こちらの準備は万端だ。


 三分ぐらい経った頃だろうか、司教はいきなり空を見上げ両腕を空に掲げた。


「おぉ、主よ! 我らに慈しみをいただけるのであらば、どうかその恩寵をお示しください!」


 教会前の広場にいた全員が空を見上げた。


(ディー・ワン、今だ)


[了解]


 ディー・ワンがステルスモードを解除して姿を現すと一斉に歓声が上がった。


「「おぉ」」

「使徒様!」


 皆は跪きながら一心不乱に空を見上げている。少しぐらいサービスしたほうがいいのだろうか?


(ディー・ワン、ゆっくりとスピンだ)


 ディー・ワンがゆっくりときりもみ飛行を始める。


「「おぉ」」

「おぉ、なんて楽しげに! 喜んでいらっしゃるのだ」


 なかなか評判はいいようだ。


(ゆっくりと旋回しながら上昇し、前回と同様に姿を消せ)


[了解です]


 ドローンが上昇していき姿を消した。広場は人で一杯だというのに静まりかえっている。皆、一様に感動しているようで涙を流している者もいる。

 枢機卿も涙を流している一人で、何度も頷くような仕草をしている。どうやら上手くいったようだ。

 枢機卿を始め司教達が教会の中に入っていき、最後に俺達もシスターに案内されて貴族用の応接室に戻った。


 すぐにシスターがお茶を入れてくれ、美味そうなお菓子を色々と持ってきてくれた。

 大変申し訳ないが司教がくるまで待っていてほしいとのことだ。あの様子じゃ結構待つことになりそうだな。菓子でも食べて待っていよう。


「これは美味しいお菓子ですね!」


 シャロンが食べているのはナッツを溶かした砂糖で固めたような菓子で、しっとりとしていて柔らかいナッツのような実の食感が絶妙だ。


「本当に美味いな。こんな実は市場でも見たことがない。どこに売っているんだろう」


「このクッキーも美味しいですよ」


 教会には似つかわしくない高級な菓子を食べながら、三人で食べ比べをして待つ。

 一時間程経った頃、お茶のお替わりを注ぎにきたシスターにお菓子の事を訊いていると司教が応接室にやってきた。先程とは違い満面の笑みだ。


「コリント卿、長らくお待たせしました」


「いえ、構いませんよ」


「私は大司教に指名されました」


「おぉ!? 大司教を決める会議はまだ先なのでは?」


「先程の奇跡のおかげです。枢機卿を含め満場一致で私が選ばれました」


「おぉ、それはおめでとうございます!」


「ありがとうございます。これもコリント卿のおかげです」


「いえ、きっと司教様には神の御加護があるのでしょう」


「これで先日の神官の件も御協力できるかと思います。」


 良かった。司教は領地に派遣する神官の件を忘れていないようだ。協力した甲斐があるな。


「ありがとうございます。これで私も安心しました」


 これでほぼ障害なくなったといっていい。大きな成果だ。


「あぁ! そういえばコリント卿は領地に向かってしまうのですね。今日と同様のことがあったら、私はどうしたら……」


「あぁ、それなら暫くは大丈夫なはずですよ」


 城や軍の状況を監視するためにドローンを一機、王都上空に残していく予定だ。ずっと残すかは未定だが、しばらくは大丈夫だ。


「…… それはどういうことでしょうか?」


 やばい! 調子にのってよく考えずに答えてしまった。使徒の出現は夢を見るという設定だったのに。


「えー……、今日みた夢では、司教様がお祈りしているいくつかの場面が見えたのです。きっとそれは今後も今日と同様に、という意味だろうと考えています」


「……コリント卿。貴方はひょっとして………… いえ、何でもありません」


 司教はとても賢い人だ。今の失言は致命的だが、なんとか追求しないでいていれるようだ。


「コリント卿の領地には司祭を一人、シスターを五人、派遣することにします」


「おぉ、ありがとうございます!」


「当然、この者達の衣食住は保証していただきます」


「もちろんです。私自身が責任を持ちましょう」


「それにコリント卿は、孤児院に孤児を希望されたとか? 年齢が御希望に合わなかったようですが」


 セリーナとシャロンがこの言葉に反応してピクリとした。確か十二歳以下の者しかいなかったんだよな。

 司教は孤児院の経営者らしく、情報を把握しているようだ。


「えぇ、そうです。もう少し年齢の高い子がいれば良かったのですが……」


「私に言って頂ければ良かったのに。何歳でも何名でも御用意しましょう。御希望はありますか?」


「いえ、それが少し状況が変わってしまって…… 資金に余裕がなくなってしまったのです」


「コリント卿。彼らは孤児という生まれから、まともな職には就けないのです。彼らの大多数は、犯罪者か娼婦になるしか選択肢がないのですよ。是非、連れていっていただきたい。少しくらいひもじい思い、つらい思いをさせても構いません。この王都にいるよりも辺境に行ったほうが、ずっとマシな人生を送れるでしょう」


 ……確かにそうかもしれない。どうしたもんかな。


「では、男女は問いませんが十四歳から二十歳くらいまでの孤児を百名くらいであればなんとか……」


「おぉ、年齢に幅があるのは助かります。しかし…… たったの百名、ですか? 確か職人を三百人、その家族も連れていくと聞いていますが?」


 司教の情報網は侮れないようだな。当然、開拓民を募集していないことも把握しているんだろう。


「……五百名。今はそれが精一杯です。それも自分の面倒を見ることのできる子供だけです。それに子供達を管理する人材を付ける事が条件です」


「おぉ! それで、子供たちはどのような暮らしを?」


「暫くは職人達の下働きをすることになるかと思います。職人の子供達と同様の暮らしを保証しましょう」


 あぁ、言ってしまった。しかし、五百名くらいならなんとかなるはずだ。


「素晴らしい! では、孤児院と教会の総力を挙げて準備させましょう」


 司教は大満足の様子で満面の笑みだ。

 きっとなんとかなる。いやなんとかするしかない。



更新が遅くなりまして大変申し訳ありません。

遅くなったのは書籍化作業のせいでは? というコメントを頂くことが多いのですが、そうではなく体調不良と仕事の繁忙期で更新が止まってしまいました。

完全に言い訳ですが、時間を空けると不思議なものでなかなか書く時間がとれなくなっていくのです。本当にごめんなさい。

今後はなるべく時間を空けずに更新していきたいと考えています。内容が荒くなったらすみません。修正していきたいと思います。


このたび書籍第3巻が発売されました。続巻することができたのは皆様の応援のおかげです。

本当にありがとうございます!

 また、活動報告にも書かせていただきましたが、「新作ラノベ総選挙2019」というもので新文芸・ブックス部門で『六位』に入ることができました。

投票していただいた皆様、ありがとうございました。

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