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086. 救出作戦2

誤字、脱字、御指摘、感想 等もらえると嬉しいです。


「…… という事になります。以上で大体の説明は終了です。お分かりになられたでしょうか?」


「…… まぁ、なんとなく」


「そうでしょうね。貴族領の税制をこの短時間で理解しろというのも無理があるでしょう。今日、私が言った細かな事はこの本にも書かれています。この四冊の本は差し上げますので、参考にされるとよいと思います」


「あぁ、それは助かりますね。どうしようかと思っていましたよ」


「もちろん、本だけで学ぶのは難しいでしょう。よく書かれている本ではありますが、これらの本だけで税制を全て網羅しているわけではありません。やはり税制を学んだ者をお雇いになるがよいと思います」


「なるほど、そうでしょうね。しかし、どこで、どんな人を雇えばよいのか判らないんですが……」


「アラン様の叙勲の噂は王都に広まり始めています。今に王都中から仕官希望者が殺到しますよ。………… 普通の領地であれば、の話ですが」


「そういうものですか。そうなれば嬉しいですね」


「あぁ、そういえば大事な事をお伝えしていませんでした。新規開拓地の場合、三年間は国への税が免除されます」


「ほう、それは朗報ですね! 三年後までになんとかすればよいということであれば、なんとかなりそうです」


 主任主計官のナダルスに一通り、貴族の慣例、規則、税制などを教えてもらったが、正直理解できたか怪しい感じだ。

 例えば税についてはもっと単純なものだと思っていたが、税率は様々なもので細分化されており、かなり複雑だ。なぜ? と思わずにはいられない怪しげなものも多々あった。やはり、ナダルスの言うとおり経験者を雇うのが一番いいだろう。


 ドアがノックされ、侍従が顔を出した。


「そろそろ叙勲式の時間になります。アラン様、こちらにどうぞ」


 いよいよ叙勲式だ。緊張してきた。


 侍従に案内されて城の階段を上がっていく。ザード儀典官の話では拝謁の間は、城の最上階の五階にあり、とても荘厳な造りの広間だという。


 王都に逗留している貴族のほぼ全てと、近隣の貴族も今日のために駆けつけてくるとのことで、王国貴族の五割程が叙勲式に参加するとのことだった。


 侍従は、桁違いに大きな扉の前で止まった。時間がくるまでここで待つようだ。

 十分ほどで十六時を知らせる鐘が鳴り始めた。鐘が鳴り終わる頃、大きな扉がゆっくり開き始めた。


 おぉ、確かに凄い広間だ。広さは幅十五メートル、奥行き三十メートル程だろうか。左右の壁は一面に装飾が施された壁になっており、その壁の前には王国貴族と思われる人達が左右にずらりと並んでいた。広間は静まりかえっている。


 陛下のほうを直接見ないように目線を下げながら王の前に進んでいく。ザード儀典官に教えられた印のある位置、王から十五メートルの距離で片膝をつき跪いた。


 ここから小芝居が始まるはずだ。


「陛下、この者が先程お話したドラゴンを討伐せし者。名をアランと申します。王国に多大なる被害をもたらした魔物を滅したこと、報償を与えるに相応しいかと考えます」


 そう言っているのは先日会った宰相、ヴィリス・バールケ侯爵だ。


「ほう、この者か。…… 宰相」


「アラン。陛下はもっと近くに、と仰せである」


「は」


 そろそろと前に進み、小さな印のある五メートルの位置で片膝をついた。


「アランとやら。面を上げよ。直答を許す」


 やっと視線を上げる許可が出たので、国王と視線を合わせる。


 これは!? 思わず驚きを顔に出すところだった。王は、二十一歳の若者で美男子とは聞いていたが、驚いたのはその顔つきだ。

 目と目元から鼻にかけてはクレリアにそっくりだ。


 クレリアの親戚と聞いていたがここまで似ているとは思わなかった。

 これが国王アマド・ベルティー陛下か。


「アラン。そのほう、報償に何を望む? 何を望んでもかまわん」


「もし叶うことならば王国貴族の末席に加えていただきたく。他には何も望みませぬ」


 これらの台詞は決められた通りだ。あくまでも俺のほうから貴族にしてくださいと頼むことが重要なようだ。


「では、余はそなたの功績に王国男爵をもって報いよう。今日からベルタ王国男爵を名乗るがよい」


「ははッ! 有り難き幸せ。我が剣は、陛下のために、国のために在ることを此処に誓います」


 侍従がクッションに乗せたミスリル製の紋章を持ってきたので、教えられた通りに受け取り、胸に掻き抱いた。国王に向かって深く一礼する。


 よし、これで儀式は終了だ。宰相が叙勲式の終了を宣言するはず。


「時にアラン」


 終了のはずだが、国王が話しかけてきた。伏せていた視線を上げ国王と視線を合わせる。


「は」


「そのほう、ドラゴンの他にも賊を捕らえたりもしているそうだな。確か盗賊狩りと呼ばれているとか」


「は、左様に御座います。辺境には不届きな輩も多く、必要に駆られ捕らえておりました」


「この王都近辺においても賊が多く、民が苦しんでいると聞く。どうだ? 其方(そなた)のその手腕を振るってみないか?」


「はッ、陛下の仰せとあらば、その賊を一掃して御覧にいれましょう。 …… しかし」


「しかし? 何だ?」


「一掃するなどと申しましたが、どれほどの賊を捕らえればよいのか、どのようにして一掃したことを証せばよいのかと途方に暮れてしまいました」


「ふふ、面白いやつだ。宰相、どうだ?」


「ふむ。如何に賊が多いとはいえ、五百は超えないかと」


「五百もの賊がこの王都に蔓延っているというのか? 兵は何をしている?」


「いえ、この数は近辺の街の賊共を含めての数です。それに王都に住まう賊は善良な民を装って暮らしており区別がつきません。今の兵の数で、その全てを調べるには厳しいものがあるかと」



(イーリス、どうだ?)


[現在所在の確認できている犯罪者と疑わしい者の人数は九百八十七名になります]



 イーリスには近郊の盗賊のアジトや犯罪組織の拠点を調べさせていたが、千人近くもいるとは思わなかったな。しかし、これなら五百人を捕らえるというのもできないことはなさそうだ。


「そういうことであれば、必ずや私が五百人以上の賊を捕らえて御覧にいれましょう」


「ほう、宰相は五百に満たないと申しているのに、五百以上を捕らえるか」


「陛下。このアラン、いえ、コリント卿は優秀な若者です。この者がこのように申しているのです。きっと成し遂げるでしょう」


 宰相が俺のほうを向いてニッコリと微笑んだ。なんだか気味が悪いな。先日会った時とは別人のようだ。


「これは驚いた! 平民嫌いのそなたが、このアランをそのように申すとは」


「陛下、私は平民嫌いなどではありませんぞ。無能な者を嫌っているだけです。コリント卿は、極めて有能な若者。私はこの者を大いに気に入っているのです。

 おぉ、そうですな。賊を討伐する間、一時的にコリント卿を『護国卿』に任じてはいかがでしょうか?」


 宰相がそう言うと貴族の人達から大きなどよめきが上がった。


「…… 宰相、そなた本気で申しているのか? いくら其方以外の二席が空位とはいえ、男爵を護国卿にするだと?」


「あぁ、これは言葉が足りませんでした。もちろん、その権限は賊討伐に限定すべきでしょう。それに先ほど申した通り、賊を討伐する間だけの一時的なものです」



(イーリス、護国卿ってなんだ?)


[データが少ないので定かではありませんが、かなり強力な司法権を持つ役職のようです]



 ほう、そんな役職があるとはな。護国卿、いいじゃないか。一時的にせよ、そんな地位につけてくれるなら盗賊狩りが大いに捗りそうだ。


「…… おもしろい。宰相がそのように申すのであれば、余に反対する理由はない。護国卿の盾をもて!」


 盾ってなんだろう? と思っていると十人ほどの侍従がどこからともなく現れ、梯子をもってきた。その梯子を使い、拝謁の間の壁に掛かっていた小さめの二つの盾のうちの一つを慎重に下ろし始めた。どうやらかなりの貴重品のようだ。


 その盾を俺の所に持ってくると恭しく差し出してきたので、紋章を受け取る時と同じ要領で受け取った。


「アラン・コリント卿、其方を護国卿に任じる」


「ははッ! この御役目、身命を賭して果たしてみせます!」


 国王に向かって深く一礼する。できるだけ大袈裟に言ってみたが、こんな感じでいいのだろうか?

 視線を上げると王が侯爵に頷きかけるところだった。


「これにて叙勲の儀を終える」


 宰相がそう宣言すると、国王はマントを翻して拝謁の間を去っていく。


 王が拝謁の間を退出すると、途端に貴族たちがガヤガヤと話し始めた。

 侯爵が近づいてきたので慌てて片膝をつく。


「コリント卿、跪くことはありませんぞ。我らは同じ王国貴族。等しく国王陛下の(しもべ)なのだから」


 そうは言っても位が違うだろうと片膝をついたままだ。


「先程は、お力添えを頂き有り難うございました」


「なんの、あれしきの事。卿には期待しておりますぞ」


 侯爵は笑顔でそう言うと立ち去っていった。ふぅ、やはり気持ち悪いぐらい親しげな感じだ。

 侯爵が離れていくと貴族達がわらわらと近づいてきた。


「おぉ、やっとお目にかかることができましたな」

「おめでとうございます。コリント卿」


「ありがとうございます。皆様」


 口々に祝福らしきことを言われながら自己紹介をされる。

 どうやら祝福してくれているのは、男爵や士爵ばかりで遠巻きにこちらを見ている貴族達はそれ以上の位の持ち主なのだろう。

 まぁ、こちらは先程まで平民だったのだから当然のことかもしれない。


 もちろん、紹介された名前などはナノムが記録をしており、紹介される端から貴族達の頭の上に名前タグが仮想表示されていった。


「おめでとうございます。コリント卿」


 そう言ってくれたのはフォルカー・ヘリング士爵だった。士爵は嬉しそうに満面の笑みだ。


「おぉ、士爵。ありがとうございます。やっとお仲間になることができました」


「まさか護国卿におなりになるとは驚きました」


「実は私もです。まだ実感が湧きませんよ」


「士爵、こんな所で立ち話もないでしょう。祝賀会が行われる会場へと行きましょう」


「おぉ、そうでした。さ、参りましょう、コリント卿。御案内いたします」


「よろしくお願いします」


 二人の侍従が近づいてきて盾と紋章を持ってくれるというので、有り難いとばかりに渡した。どうやら持ちながら俺に付き従ってくれるようだ。なかなか気が利く人達だな。


 祝賀会の会場は一つ下の階の四階で、これまた無駄に広い部屋で二十メートルはあろうかというテーブルが三列ならんでいた。

 上座には十人掛けぐらいの一際装飾の派手なテーブルがある。恐らくこのテーブルが王家の人間が座る席なのだろう。


 位によって席が決まっているようだが、俺は主賓らしく上座に近いところに案内され席に着いた。


 全ての貴族が席に着くと同時に王族関係者と思われる五人の人達が入ってきた。貴族が一斉に跪こうと立ち上がった。


「皆の者、新たなる男爵の門出を祝う席だ。今日は無礼講にしよう」


 王のその言葉で皆、席に着く。


 ここで注意しなきゃいけないのが、ここで言っている無礼講が、本当の意味での無礼講じゃないところだ。

 少しだけ礼儀に煩くなくなるというレベルらしい。調子に乗るとひどい目に遭いそうだ。


 皆が席に着くと侍従達が一斉にワインを注いでいく。皆のグラスが満たされた頃、宰相が一人立ち上がり、グラスを掲げた。


「では、新たなる王国男爵、コリント卿に乾杯!」


「「乾杯!」」


 皆に会釈をしながらも、注がれた白ワインを口に含んだ瞬間に、視界が真っ赤に染まる。

 なんだ、これ?


[致死量の毒物を検知しました。飲み込まないでください]


(何だって!? 毒!?)


[はい。有害成分の吸収を防ぐための処理を進めています。あと二十秒]


(大丈夫なのか!?)


[はい]


(…… 視界が全体的に赤いんだけど?)


[非常事態モードです]


 視界が元に戻った。こんなモードがあったんだな。初めて見た。まぁ、毒を飲んだのも初めてだけど。


 毒は間違いなく白ワインに含まれていたものだ。なるほど、毒殺か。何かあると思ってはいたけど、こんなに早く仕掛けてくるとはな。


[もう飲み込んでも問題ありません]


 口に含んでいたワインを飲み込む。特に妙な味はしないし、どちらかというと美味いワインだ。


(ワインはもっと飲んでも大丈夫なのか?)


[問題ありません。大抵の毒物は無効化できる準備が整いました。隔離保管し体外に排出します]


 なんだ、中和できるわけじゃないのか。致死量の毒が体内にあるというだけで寒気がするな。


(毒は即効性のものか?)


[遅効性です。三十分後には死亡していたはずです]


 なるほど。恐らく毒が含まれているのは、この乾杯のワインだけだな。あからさまに毒殺したという事実は避けたいだろう。


 歓談していると突然、俺が苦しみだして死ぬ。

 食事や飲み物を調べるが異常なし。

 病気か何かで死んだのだろう、という筋書きか。

 なかなかよく考えている。


 続けてワインを飲んでいると、宰相と目が合った。機嫌の良さそうな笑顔で頷かれた。

 こちらも笑顔で会釈する。


 やっぱりこいつだろうな。さっきセリーナ達がアップした報告に簡単に目を通したが、こいつは前宰相を罠にはめ、牢獄に幽閉していたらしい。

 だからという訳ではないが、先日の態度と違い過ぎる。少なくとも一番の容疑者だと断言できた。


 あぁ、そういうことか。さっき、護国卿に推薦したのも毒殺の容疑者から外れるためということか。俺を気に入っているふりをしたかったんだろう。


 暗殺の可能性はイーリスから警告されていたが、まさか王城にいる間に暗殺されるとは思ってもみなかった。

 余程、グローリアを味方につけたという事実を憂慮しているのだろう。


「コリント卿、皆は其方がドラゴンを討伐した時のことを聞きたいようだ。良かったら皆に話してやってはどうかな?」


「おぉ! それはよい」

「コリント卿、お願いします」


 宰相、バールケ侯爵が俺に話を振ってきた。あぁ、またあの話をするのか。


「判りました。皆様がそう望むのであれば、お話しましょう」


 広間が静まり返る中、先日宰相にも話したドラゴンを倒した時の事を話し始めた。



「…… というわけで、私は一度ガンツに戻ることにしたのです」


「おぉ……」

「本当にそのようなことが?」

「コリント卿。その後、ドラゴンは本当にガンツにやってきたというのですか?」


「はい。三時間程後にガンツにドラゴンの亡骸を運んできてくれました」


「「おぉ」」

「信じられん」


「信じられないかもしれないが、この男は間違いなくやってのけたのだ。全く大したものだ」


 何故か宰相がドヤ顔でそう言ってきた。どういうつもりだ?

 乾杯の白ワインを飲んでから三十分が過ぎている事に気づいていないのだろうか?


「では、もう一度コリント卿に乾杯しよう」


 宰相がそう言うと侍従が一斉に皆のグラスにワインを注ぎ始めた。やはり気づいていたようだ。宰相はもう一度俺に毒ワインを飲ませたいみたいだな。

 悪いが俺にもう毒は効かない。


「では、コリント卿に!」


「「コリント卿に!」」


 皆に会釈をしながら、俺もワインを一気に呷った。宰相がワインを飲む様を見届けている。精々不思議に思っているがいい。


(どうだ?)


[別の種類の毒物で、これも十分な致死量です]


 やはりか、予想通りだ。誰に指示して毒を盛っているのかは判らないが、咄嗟に毒を変えてくるとは、なかなかの連携プレーだな。


「コリント卿、其方なぜ、樹海を領地に望んだ?」


 王族が座るテーブルから、王がそう話しかけてきた。


「私はあの樹海という場所に途方もない可能性を感じました。樹海の奥地はどのような所だろうかと、今からとても楽しみにしているほどです」


「しかし、開拓できなければ意味はあるまい」


「必ずや開拓して御覧にいれます。私はそのことに残りの人生を賭けるつもりです」


「ほう……。ならば見事、開拓した暁には辺境伯の位でも授けてやろう」


「…… 真にございますか?」


 途端にどよめきが上がる。あぁ、言葉を間違えた。


「男爵! 陛下のお言葉を聞き返すなど身分をわきまえろ!」


「よい。無礼講でもあることだしな。よかろう、皆が証人だ。コリント卿が樹海を開拓した暁には、コリント卿に辺境伯の位を与える」


「はッ、ありがたき幸せに存じます」


 願ってもない話だ。まぁ、開拓されることはないと考えているからこんなことを言っているんだろうけど、国王としては少し迂闊じゃないだろうか。

 いや、皆の前で気前のいいところを見せたいのかもしれないな。


 一言に開拓といっても村レベルから都市レベルまでいろいろあるし、どのレベルで開拓達成となるのかな? まぁ、位が上がったからといって、どうということもないし、どうでもいいか。


 さて、そんな先の事を考えても仕方がない。なんとか無事に帰ることを考えなきゃな。



 ◇◇◇◇◇



 一時間も経つ頃には、みんな立ち上がり、普通に歩くことができるようになった。それから更に三十分程で軽く剣を振れるくらいにまで回復した。


「ノリアン卿、さすがは万能薬だな。まさかこれほど体が動かせるようになるとは思わなかった。時間が経つ程に力が湧いてくるようだ」


 班長は衛兵の剣を軽く振りながらそう言っている。いずれにしても班長が剣を使う事態にはならないはず。そろそろ頃合いかもしれない。


「エルナ、そろそろ行きましょうか」


「私もそう思っていたところよ。では、班長。準備をしてください。馬車に向かいましょう」


「判った。極力足手まといにはならないようにする。よろしく頼む」


 簡単な話し合いで、衛兵達の六本の剣は班長達が持つことになった。

 さすがに女官が剣を持つわけにはいかないので、私達は忍ばせたブレードナイフだけだ。


「セリーナとシャロンが先導します。二人が止まったら止まり、二人が走ったら走ってください」


「了解した」


 地下牢の扉を開け、階段を上がっていく。前をいく二人に迷いはなかった。

 数百メートルの距離を何事もなく進んでいく。この調子なら何とかなりそうだ。


「あぁ、もう!」

「なんてついてない!」


 セリーナとシャロンが同時に悪態をついた。探知魔法で何かを見つけたのだろう。嫌な予感がしてきた。


「どうしたの?」


「挟まれたわ。もう避けようがない。一応準備をして。後ろから来るのが侍従四人、前から来るのが衛兵六人。出会うのは前からくる方が先よ」


 衛兵六人。セリーナ達がいれば簡単に倒せる人数ではあるが、騒ぎになることは間違いない。

 倒した後、馬車に行き乗り込むことはできるかもしれないが、アランが来るまで馬車に隠れていることは難しいだろう。

 しかも衛兵達は恐らく城門を閉めてしまうに違いない。最悪の事態だ。


「班長、衛兵は私達だけで片づけますが、準備をしてください」


「…… 判った。足手まといにはならない。セリーナ殿、シャロン殿、ノリアン卿。俺達のために申し訳ない」


 班長にも私達の未来が見えたようだ。しかし、救出に来たのは自分達の意思だ。班長に謝罪されることではない。


 こうなったらセリーナ達の爆裂魔法で城門を破壊して強行突破するしかない。今回は仲間を助けてみせる。


「大丈夫。助けが来るわ」


 シャロンが笑顔を見せながらそう言ってきた。

 アランが助けに? しかしアランが来たところで状況が変わるとは思えない。


 遠くで鐘の()が聞こえてきた。この音は警鐘だ!

 どういう事!? 私達の事がばれたの?


 一つだった鐘の音が、二つ、三つとなり、どんどん増えていく。今では城中の警鐘が鳴っているようだった。


 どこの国でも警鐘を叩く速さは、その緊急性を意味している。今、鳴らされている鐘はどれも尋常ではない速さで叩かれていた。何か只事ではないことが起きているようだ。


 いったい何が起きているというの?



更新が遅くなり申し訳ありません。


活動報告にも書かせていただきましたが、再度重版(第三版)をかけていただけることになりました。

また、書籍の第二巻がAmazonで予約開始しました。発売日は3月30日です。

よろしければお願い致します!


書籍を買っていただいた皆様、ブックマークと評価を入れてくださった皆様、誤字報告をしてくださった皆様、本当にありがとうざいます!

これからもよろしくお願いいたします。


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― 新着の感想 ―
[一言] コミックの方で少し要素が付け足されましたね この先の展開を変えるつもりなのかどうなのか・・・
[気になる点] 重版しててweb版が未完って? 出版社が見切りつけた、パターンか? 書籍だけで連載してるパターンか?
2022/11/14 05:20 退会済み
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