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083. 登城

誤字、脱字、御指摘、感想 等もらえると嬉しいです。


2018/12/09 0:25追記

皆様、誤字報告をありがとうざいます。大変な量の報告が溜まっていて一人ひとりにお礼をいうことができず申し訳ありません。皆様のこの作品を良くしようという想いが伝わってきて感激しています!

これからもどうかよろしくお願いします!



 翌朝、士爵は九時に宿にやってきた。もちろん既にドラゴンの牙を用意してあり、馬車に載せ、念の為二十人程で警護している。

 徒歩できたところを見ると、俺達の馬車に乗っていくつもりなのかな?


「おはようございます。士爵」


「おはようございます、アラン殿」


 話があるとのことだったので、宿の食堂の椅子を勧めた。すぐに用意してあったお茶が出される。


「アラン殿。やはり、そのお召し物で行かれるのですかな?」


「えっと……、おかしいでしょうか?」


 城に行くのだし、恐らく士爵よりも偉い貴族に会うはずだと思っていたので、軍の制服を着ていたんだが不味いのだろうか?


「いえ、最初からお話しましょう。これは言っていなかったのですが、これからお会いになる方は、この国の宰相、ヴィリス・バールケ侯爵様なのです」


「ほう、それは」


 宰相といえば、国王の次に偉い人じゃないか。いきなりそんな大物に会うとは思わなかったな。


「アラン殿が御存知ないのは当然ですが、侯爵様は、…… そのなんというか、平民に対して偏見を持っており、理不尽な事を言うことが多いのです」


 そういうことか。要するに宰相は、いけ好かない奴ということだな。

 この制服はこの星の住人にとっては大層立派な高級な服に見えるらしい。まぁ、生地から作りが違うので無理もないだろう。

 士爵は、平民ごときがこのような身分不相応な良い服を着ていくと余計な軋轢を生むと言いたいんだろう。


「なるほど、そういうことですか。言いにくい事を言って頂きありがとうございます。普通の服も持っているので、後で着替えてから行くことにします」


 幸いなことに俺は昨日、平民にしては立派な服を手に入れていた。買い物に行っていたクレリア達が服飾店で良い服を見かけたから買いに行こうと、わざわざ宿に戻ってきて手を引かれるようにして買いにいった。


 オーダーメイドではない服では上等なもののようで、この星のファッションに詳しいクレリアやエルナが太鼓判を押していたので問題ないだろう。

 あの時は面倒だなぁと思っていたが、クレリア達には感謝しなくちゃいけないな。


「恐らく言いがかりに近いようなことも言われるかもしれませんので、心の準備をしていたほうがよいかと思います」


 ありがたいな。こういう前情報があるだけで心構えが変わってくる。


「侯爵様は、アラン殿がドラゴンを従えたという話も疑っています。いえ、ドラゴンを討伐したという話さえ疑っているような節があります。くれぐれも熱くなられないようにしてください」


「わかりました。ご忠告ありがとうございます」


 俺はそんな簡単にキレるようにみえるのかな?

 俺はいたって温和な性格だ。大抵のことは我慢できる自信がある。…… まぁ、仲間や部下に関することでなければ問題ない。


 士爵の話というのは、この事だけのようだ。急いで制服から昨日買った服に着替えると俺達の馬車に乗って、さっそく王城に向かうことになった。

 ちなみに御者はダルシムと士爵の従者だ。ドラゴンの牙は一メートル以上もあるため、搬入の人員も必要かと思ったが、城にはそういう係がいるので必要ないようだ。


 二つのサテライトパーティーに警護され王城に向かった。この警護は先日の賊の関係者の勢力を警戒したものだ。

 相手は俺達の行動をよく把握しているようなので、皆と相談して念の為に警護することにした。

 当然、ドラゴンの魔石が置いてある宿も常に四十人態勢で警戒している。上空からドローンにも監視させているが、今のところ何も動きはない。


 馬車の中で士爵は今日行われるであろう事を話してくれた。

 牙を引き渡し契約書にサインする事。恐らく契約書には既に王のサインがしてある事など参考になることばかりだ。

 今後の事などの説明もあるかもしれないと士爵は言っていた。


 二十分ほどで王城の門に到着した。王城は王都の中心に位置し、七メートル程の高さの城壁に囲まれている。城壁の外周は一キロ以上あるだろう。


 サテライトの警護はここまでで、帰りを待たずに宿に戻るように言ってある。

 門には六名の兵がいたが、少し止まった後にまた馬車は走り出したところをみると士爵の従者が紋章でも見せたのだろう。


 門をくぐり、少し走ったところで馬車は止まった。ダルシムがドアを開けてくれ、馬車からおりた。これは表の入り口というわけではなく裏口のようだ。

 揃いの御仕着せを着た男達が十名待機していた。これが侍従と呼ばれる人達だろう。


「お待ちしておりました、士爵。ドラゴンの牙は馬車に積んであるのでしょうか?」


「そうだ、よろしく頼む」


 さっそく馬車の荷台のドアが開けられ、侍従たちが手際よく搬出を始めた。布で梱包された牙を慎重に馬車から下ろし、程なく移動の準備が整った。それほど重くはないと思うが、落とさないように牙一本を五人で抱えて運ぶようだ。

 従者は連れていけないそうなので、ダルシムは士爵の従者と一緒に待っていてもらう。


「では、アラン殿。参りましょう」


 侍従についていく形で、士爵と城の中に入っていった。さすがに城だけあって、街の建造物とは違い重厚な造りで、それなりに古いようだ。いい感じの雰囲気が出ている。


 侯爵の執務室は三階の一番奥にあった。大きな扉を侍従がノックし扉を開けた。だだっ広い部屋の奥にある大きな机の向こうにいるのが侯爵だろう。

 おっと、侯爵ぐらい偉い人には許可もなく目を合わせてはいけないんだった。


 士爵が歩き出したので、俺も目線を伏せて合わせて歩き出す。士爵が跪いたところで俺も片膝をついた。


「おもてを上げよ。ドラゴンを討伐したというのはそなたか?」


「は、冒険者のアランと申します」


「随分若いな。歳は?」


「二十五歳になります」


 侯爵は近くにあった応接セットのソファーに座った。


「では、ドラゴンを倒した時のことを聞こう」


 えー、この体勢のままかよ。結構長い話なんだけど、と思いながら人に説明する時に使う話をしはじめた。


 話の流れは大体事実と同じだ。ドラゴン同士の戦いに遭遇し、片方のドラゴンが負けそうになったところを加勢して倒した。

 助けられたドラゴンは、その事に恩義を感じたのか、ドラゴンの亡骸をガンツまで運んできてくれた。

 まぁ、かなり無理がある話だが、事実からドローンやナノムの事をとり除くと大体こんな感じになる。


「…… 信じられん。本当にそんな事が?」


「はい。私もこの成り行きには驚きました。ドラゴンはかなり賢い魔物のようです。私には人の言葉を理解できるように見えました」


「ほう。 …… どうやってドラゴンに加勢した?」


「ドラゴンの目をフレイムアローで貫きました。思いのほか深く貫いたのか、その一撃でドラゴンは斃れました」


「………… よかろう。ここにお前の言った条件で契約書をつくらせた。確認して署名しろ」


 侯爵はそう言うと侍従たちが設置したドラゴンの牙を見にいってしまった。牙は豪華な台に置かれ、展示物のような感じになっている。


 羊皮紙の契約書に目を通したが問題ないようだ。ちゃんと『魔の大樹海』を開墾・開拓した土地は、無制限に男爵領とすることを認めると記載されているし、特に制限する条件も書いていない。士爵の予想通り、既に王のサインも入っていた。


 応接セットに羽根ペンとインクが置いてあったので、契約書二枚に『アラン』とサインした。家名を名乗るのは、王が立ち会う叙任式の後だ。


 侯爵は牙の見物から戻ってくると二枚の契約書をよく見比べている。同じサインかどうか確認しているようだ。


「よかろう。受け取れ」


 侯爵は契約書の一枚を投げてよこした。かろうじて床に落ちる前に受け取ることができた。


「感謝致します」


 クレリアは、王が関わった品は必ず丁重に扱うようにと言っていたが、王のサインが入ったものに対して失礼にはならないのかな? この国では習慣が違うのかもしれない。


「さがれ」


「「は、失礼いたします」」


 なんと、面会はこれで終わりのようだ。士爵が脅すから色々考えていたんだけどな。

 士爵と失礼のないように退室した。廊下では一人の侍従が俺達を待っていた。


「こちらにどうぞ」


 このまま帰るわけではないようだ。案内されたのは一階の小さな商談室のようなところだった。


「儀典官をしております、ザードと申します。よろしくお願い致します。士爵、アラン様」


 俺をアラン様と呼ぶということは、この人は平民のようだ。


「宰相様よりアラン様に今後の予定の説明をするように、との御指示を受けております」


「では、お願いします」


「まず、アラン様には家名を決めていただきます。今すぐとはいいませんが明日には決めていただきたいと思います」


「わかりました」


「次に紋章の絵柄ですが、これも明日までに決めていただきたいと思っております」


「ザード儀典官。いくらなんでも、アラン殿に明日までに紋章を決めろというのは酷ではないか?」


「いえ、士爵。大丈夫です。大体決まっていますので」


「…… アラン殿がそうおっしゃるのであれば」


 俺の紋章はもう決まっている。あれ以外に選択肢はない。


「それでは、こちらの紙に家名と紋章を記入し、明日中にこちらの工房に持ち込んでください。工房には既に話は通してありますので」


 二枚の紙を渡されながらそう言われた。一枚は名前と紋章を描くスペースが空けてあるもので、もう一枚は工房の名と手書きの地図が書かれた紙だ。


「次に、五日後にアラン様の叙任式と祝賀会が行われます。それまでに御召し物をもっと、その…」


「わかりました」


 貴族っぽい服を用意しろということだろう。五日後か。意外と早く片付きそうだな。


「こちらが当日の予定になります。必ず指定の時間までにいらしてください」


 予定表のようなものを渡された。叙任式は十六時からだというのに十二時から拘束されるようだ。他にも注意事項などが色々と記載されている。これは助かるな。


「何か質問はございますか?」


「いえ、特にありません」


 俺と士爵は、また侍従に案内されて、ダルシムが待つ馬車のところに戻った。

 ダルシムは俺の顔を見て、ほっとした顔をしている。


 士爵と馬車に乗り込み、宿に向かって走り出した。ふぅ、やっぱり少し緊張していたようだ。


「何事もなくて、よかったですな」


「意外なほど、あっさりと終わったという感じです」


「侯爵は、手の者をガンツに送って事実確認をしていると言っていました。恐らく報告を待っているのでしょう。もうすぐガンツから戻るはず、とおっしゃっていました」


「なるほど、そういうことなのですね」


 士爵がこういう情報をくれるのはありがたい。

 侯爵は、きちんと事実確認をしてから行動する主義のようだ。さすがは国の宰相ということか。


 宿に着き、士爵に礼をいうと士爵達は帰っていった。馬車の中で聞いたが士爵の屋敷はここから歩いていけるほど近いそうだ。士爵は式が終わり落ち着いたら招きたいと言ってくれた。


 当然のように宿の食堂には、皆が集まっており城でのことを聞きたがった。

 順を追って城の様子や、侯爵との会話、契約書、紋章の事などを話していく。


「…… というわけさ。とりあえず、叙任式までに服を用意しなければならないし、明日までに家名や紋章も決めることになった」


「そういう事になるのではないかと、評判の良い服飾店の情報を仕入れておきました。上級貴族御用達の店です。五日後となると、かなり割増料金を取られるとは思いますが……」


「カトル、さすがだな。まぁ、割増料金はしかたがないだろう。後でその店に案内してくれ」


「わかりました」


「私達もついていくわ。アランに任せると変な衣装になりかねないもの。それよりも家名はコリントでいいとしても、紋章はどうするの?」


「あぁ、紋章の図柄はもう考えてあるんだ。皆には申し訳ないが、これは俺一人で決めさせてもらいたい」


「コリント家の紋章なんだから、当然アランが決めてかまわないわ」


 もちろん紋章は人類銀河帝国のマークだ。これ以外の選択肢はない。これ以外の紋章、国旗で国を興すと、反乱罪に抵触する可能性があるとイーリスに警告されていた。


 早速、クレリア達と衣装店にいくことにした。おっと、その前に昼食だな。カトルは美味い食事処の情報も仕入れたとのことで、その店にいくことにした。なかなか出来る奴だ。


 案内された服飾店は、かなり高級店らしく店の雰囲気が違った。店員達は俺達を胡散臭い目で見てきたが、五日後に男爵に叙爵される予定だというと手のひらを返したように愛想よくなった。


 主にクレリア、エルナが店員と話し、シャロンとセリーナもそれに加わっていく。

 一着の打ち合わせだけで二時間以上も掛かった。予備があったほうがいいという話になり、さらに打ち合わせは続く。


 しかし、時間を掛けただけのことはあり、この星のファッションに帝国テイストが加わった良いものが出来そうだった。

 結局、五着も作ることになり、なんと一着当たりの価格は一万二千ギニーだ。まぁ、オーダーメイドだし、特急料が加わっている。必要な物なんだから仕方がない。


 宿に戻る頃には、もう薄暗くなっていた。さすがにクレリア達も疲れたようだ。俺一人だったら、店員のいいなりだったはずだから助かったな。


 すぐに夕食の時間で、食後は紋章を書くために一人部屋に引き上げた。


 紋章を書く作業も、魔法陣のときと同じく簡単な作業だ。用紙に赤く仮想表示されたラインをペンでなぞっていく。


 人類銀河帝国のマークは、星と星の繋がりを表したもので、沢山の小さなペンタグラムを線で繋ぎ、中央に大きなペンタグラムを配置してある。周りには派手な装飾がしてあってなかなか格好いいマークだ。

 士爵の話では、紋章は動物とか植物などを象ることが多いらしいから、少し浮くかもしれないな。


 イーリスから通信が入った。


[艦長、報告があります]


(なんだ?)


[まずは映像を見てもらったほうが、話が早いでしょう。こちらは百五十五日前の映像です]


 随分前の映像のようだ。仮想ウィンドウ上に酒場の映像が表示された。酒場に設置されたビットの映像だろう。騒がしい酒場の中で二人の男が飲んでいる映像がズームされた。


「しかし、あいつらも強情だよな。さっさと喋っちまえばいいのに」


「本当だよなー。早く楽になったほうが賢いのに」


「精々あと二週間ってとこだな」


「賭けるか? 俺は、一ヶ月は持つと思うね」


「百ギニーでどうだ?」


 映像が消えた。


[次は三十八日前の映像です]


 映し出された映像は別の酒場だが、先程の映像と同じ男達のようだ。


「あいつら、大丈夫かな。なんだか心配になってきちゃったよ」


「あぁ……、お前もか? 実は俺もだ。実はこっそりメシの量を増やしたりしてるんだよ。…… おい! この事、誰にもしゃべるんじゃないぞ! 首になっちまうからな」


「ははは、安心しろよ。実は俺もやっているんだよ。しかし、大した奴らだぜ」


「ほんとだな。そういえば、……」


 映像が消えた。


[次は四分前の映像です]


 さっきと同じ酒場の映像で、同じ男達だ。二人とも結構、酔っ払っているようだ。


「すげーよ! 本当にあの人達、尊敬するね! 特にあのハインツって人! 俺はあんな人が隊長だったら、どこまででもついてくぜ」


「お前はハインツ派か? 俺はブルーノさんだな。あの人、男だぜ」


「やっぱり貴族っていうのは俺達と違うんだなって思ったよ。何ヶ月もあんな環境で正気を保っているんだもんな。俺には絶対出来ないぜ」


「貴族っていっても、城の貴族じゃああはいかないと思うぜ」


「それは同感だな。すると国が違うせいなのか? あの人たち、スターヴェイク王国の近衛騎士やってたんだろ? そうか、騎士だからって可能性もあるな」


「いやいや、城にいる騎士なんか、威張りくさった嫌なやつばかりじゃないか」


「すると、やっぱりこの国の貴族や騎士が、程度が低いってことになるぞ」


「おい! 声を抑えろ!」


 映像が終わった。


 なるほど……。「スターヴェイク王国の近衛騎士」というキーワードを捉えてから、人物を確認し、過去のデータを全てサーチして時系列に並べた三つの映像だったのか。


(この二人の位置は把握しているな?)


[はい、まだ酒場で飲んでいます]


(帰るところを突き止めろ。だいたい身元は判ったけどな)


 この街や城の建造物ではドローンのマルチスキャナーから逃れる術はないので見失うことはない。


 十中八九、エルナと行動を共にしていた近衛騎士だろう。あとは別口で捕らえられた騎士という可能性もあるが可能性は低いだろう。


 エルナの話ではアロイス王国に送られたのでは、ということだったがエルナも護送される仲間達を追ったわけじゃない。アロイス王国ではなく王都に送られていたようだ。


[二人が帰る所が城の兵舎だとすれば、恐らくこの人達でしょう]


 仮想ウィンドウ上に城の透過図が表示され、地下牢と思われる場所がズームされる。

 九つのアバターが一つの牢の中に入れられており、全員が横になっていた。


 他の地下牢にも、一人ずつが入れられている牢が二つあった。恐らくこの地下牢に収監されているのは、公にはにできない人物達なのだろう。


(助けるぞ)


[『宙兵の流儀』、ですか?]


(そうだ。俺たち宙兵は絶対に仲間を置き去りにはしない)


 そう、宙兵隊の長い歴史の中で一度たりとも敵地に仲間を置き去りにしたことはない。


 一個中隊を救出するために一個大隊が全滅したこともあるし、隊員は自分がもう脱出できないと悟ると、自分を救出しにくる仲間達のことを考えて、敵に突撃し自らのアイコンを消す。


 愚かな行為だとわかっているが、それが宙兵の流儀、誇りだ。


[賢明なことでしょうか? あの厳重な警備の城から救出するとなると、かなり荒っぽい事をすることになりそうです]


(城の警備状況を調べておいてくれ。人員の配置、交代時間、人の動き、兵の装備、部屋の備品など全てだ)


[了解しました]


(勿論、可能であれば穏便に済ませたい。やはり叙任式の日が狙い目だな。人の出入りも多いだろうし、バタバタするだろう。

 理想を言えば、俺が叙任式、祝賀会と出席している間に、どうにかして牢から助けだし馬車に隠す。行事が終わった俺と一緒に城を出るという作戦だな。貴族の馬車は検査されないからな。

 脱走が発覚した時には、新参の俺が疑われるかもしれないが貴族となった以上、証拠さえ残さなければ、きっとどうにかなる)


[わかりました。その方向で作戦を検討します]


(よろしく頼む)


 とりあえず、いま出来ることはなさそうだ。あの二人が本当に城の地下牢の番人なのか確認する必要があるだろう。


 近衛の人達にはあと五日ほど待っていてもらう必要がある。何ヶ月も耐えてくれたのだから、きっと大丈夫だ。



[ちなみに艦長は、もう宙兵ではありませんよ]


(なんだって!?)


 慌ててステータスを表示して確認してみるが、確かに所属の項目には宙兵隊の文字はない。この星にきてからステータスなんて見ることがなくなったから全然気づかなかった。


[艦長に昇進した時に自動的に宙兵隊は除隊し、航宙艦隊に移籍しています]


 くそ! 勝手に除隊させるなんてあんまりだ。艦隊士官になったのは知っていたが、宙兵隊と兼任だと思っていた。


 気分的にもずっと宙兵のつもりでいたし、第一、俺は艦隊のことなんか何も知らない。どちらかというと艦長という肩書のほうが借り物のような気分だ。


 ならば、また宙兵になるまでだ。


(イーリス、俺は自らを、赤色艦隊 宙兵隊総軍 第一二遠征軍 第五二旅団 第八四連隊 第一五大隊 第二五中隊 隊長に任命する)


 これがイーリス・コンラート所属 宙兵隊の正式名称のはずだ。


[了解しました]


 表示していたステータスの所属の項目に宙兵隊の所属部隊が追加され、肩書の項目に、新たにイーリス・コンラート宙兵隊隊長の文字が加わった。


 よし、これでいい。


 さっそく、酔っぱらい二人が映像で挙げていた二人の人物の名前をエルナに確認しにいこう。



活動報告にも書かせてもらいましたが、『航宙軍士官、冒険者になる』の第1巻重版、第2巻刊行が決定されました!

書籍を買っていただいた皆様、ブックマークと評価を入れてくださった皆様、本当にありがとうざいます!


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― 新着の感想 ―
[一言] ドローンを使って宗教改革 なるほど。この手は現代では使えませんからね 中世を舞台にした理由かわかりました 
2021/04/23 05:28 退会済み
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