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080. 王都への旅1

誤字、脱字、御指摘、感想 等もらえると嬉しいです。



 朝七時ということもあり、百人以上の集団はかなり目立ち怪訝な顔をされるが、俺達がシャイニングスターだと分かると皆、すぐに道を空けてくれる。中には手を振ってくる子供達もいたので、笑顔で手を振り返した。


 ガンツの正門に差し掛る際、守備兵に止められるかと思ったが、やはりシャイニングスターだと分かるとそのまま通れと手を振られた。


 そういえば、街を出ることは冒険者ギルドには連絡したが、守備隊のギード隊長には言ってなかったな。一応、挨拶しておくべきだろう。


「エルナ、ちょっと守備隊に挨拶してくるよ。そのまま進めてくれ。走って追いつくから待たなくていいぞ」


「わかりました」


 馬車の御者台から飛び降りると守備隊の詰め所に向かった。守備兵は近づいてくる俺を見て、奥に走っていく。きっと隊長を呼びにいってくれたのだろう。

 程なくしてギード隊長が出てきた。


「おはようございます。ギード隊長」


「おう、全員で狩りか?」


「いえ、しばらく街を離れることになったので、その御挨拶に。王都に行ってきます」


「ほう……。何をしに?」


「実は叙爵の打診を受けましてね。詳しい話を聞くために行ってきます」


「…… なるほど。次に会った時は、俺は片膝をついているかもしれないな」


「どうなるか分からないですけどね。二、三ヶ月で帰ってくる予定です。では、失礼します」


「おう、またな」


 走って隊列に追いつくと、ダルシム副官の助言なのか隊形を変えつつあった。俺達と士爵の馬車を中心に置き、前後に隊列を組み直している。俺達の馬車の両側には騎兵が付き、万全の守りだ。

 さすがは近衛騎士、警護のプロフェッショナルだな。


 馬車に追いつき、御者台にジャンプして跳びのった。


 イーリスが立てた行動計画では、王都まで二十七日の行程だ。もちろん、休憩や野営場所なども細かく決めてある。

 ガンツの近くには魔物が多いためか、村や街がほとんどない。そのため計画では、前半は野営することが多く、王都に近づくにつれて街から街への移動が多くなっていた。


 出発してから二時間ぐらいたった頃、直掩のドローンがグレイハウンド五頭を探知した。マップ上で暫く様子を窺っていたが、明らかに動きが変わった。こちらに気づいたようだ。

 馬車と並んで騎乗していたダルシム副官に声をかける。


「ダルシム副官」


 ハンドサインで、魔物の種類、数、方向、到達予想時間を伝える。


「我らにお任せください」


 ダルシムは馬上で立ち上がるとハンドサインを出しはじめ、その指示を受けた十騎が先行し駆けていった。

 戦闘自体は何の問題なく次々と放たれる魔法で瞬く間に始末されていた。惜しくも一頭は逃したようだ。


 出発して四時間半、もうすぐ昼休憩の予定の場所に到着する。ダルシムに声をかけた。


「少し早いが、この先二百メートルぐらい先の所で昼食にしようか」


「承知しました。三騎、来い!」


 そう叫びながら馬を駆けさせ休憩場所に向かっていった。その後を三騎の人馬が追いかけていく。下見にいったのだろう。ま、探知魔法で何の問題も無いと判っているんだけどな。


 休憩場所は、そこだけ街道の幅が他より二倍から三倍ほどの広さになっている所だった。なぜこの様になっているのかは判らないが、隊列を崩さずに止められるので好都合だ。


 先行したダルシムが隊列の先頭を誘導すると順次休憩場所に止まっていった。

 俺達も馬車を止め、降りるとフォルカー士爵の馬車に向かった。


「ここで昼食にしたいと思いますが、いかがでしょうか?」


「アラン殿がそうおっしゃるのであれば、そうしましょう。私に許可をとる必要はありませんぞ。これからの旅の行程は、全てアラン殿に一任します」


「わかりました。お任せください」


 昼食のメニューは、料理長のロータルさんを始め従業員の人達に早起きして作ってもらったサンドイッチだ。人数分と士爵達の分も考えて多めに作ってもらっていた。

 これを作るために従業員達には無理をさせたが、臨時手当を弾んでおいたので許してくれるだろう。


 馬車から折りたたみ式の簡易テーブルと椅子を出して組み立てる。

 士爵の従者達が昼食と思われるパンを取り出し始めたので、声を掛けた。


「士爵、よろしければ昼食を用意しているのですが、私達と一緒にいかがですか?」


「おぉ! それはかたじけない。では、御馳走になります」


「こちらにどうぞ。よろしければ従者の方も一緒に」


 士爵をテーブルに誘った。従者と同じテーブルについてもいいのかな?

 士爵は躊躇なく従者と一緒に席に着いた。特に問題はないようだ。


 食料をまとめて運んでいる馬車から、シャロン達が人数分のサンドイッチを受け取ってきて、籠から大皿に盛り付けていく。コップに水を注げば昼食の準備完了だ。パーティーの皆も席についた。


「士爵のお口に合うと良いのですが」


「アラン殿。先日言った通り、私は五年前まで平民だったのです。そのようなお気遣いは無用ですし、アラン殿は男爵となられる御方。私などに敬語を使う必要もありません」


「…… わかりました。では、皆。いただこう」


 サンドイッチは、具沢山のタマゴサンドとポテトサンドで、どちらもマヨネーズたっぷりだ。うん、美味いな。


「これは美味しいですな! アラン殿、この料理は?」


「私の故郷の料理です。お口に合ったようで良かったです」


 従者の人達も結構な勢いで食べ始めた。もちろん俺達だって負けてはいない。みるみるうちに大皿のサンドイッチは少なくなっていった。


「はて。お嬢さん、何処かでお会いしましたかな?」


 士爵がクレリアにそう声を掛けると、クレリアも怪訝そうな感じで士爵を見つめた。


「いえ、お会いしたことはありません」


「そうでしょうな。こんなに可愛らしい方にお会いしていれば覚えているはずなのです。しかし、初めてお会いした気がしないのですが……。いや、変な事を言って申し訳ない」


「いえ」


 王女だったクレリアに他国の士爵が会うわけがない。いや、大使とかの随員だったら会う可能性もあるのか? でも、士爵は随員に選ばれるようには見えないから、きっと士爵の勘違いだろう。

 三十分ほどの食事休憩の後に出発し、また街道を進む。


 午後も五頭と七頭のグレイハウンドに二回遭遇するが、午前中と同様に先行班に始末された。


 午後四時半には、今日の野営場所である、街道脇の休憩場所のような広場に到着した。さすがにこの人数だと少し狭いが、詰めてテントを張れば問題はない。


 三百メートル程先には川が見える。それ故に此処に休憩できる場所を作ったのだろう。

 河原には馬車では降りられないが、徒歩でなら問題なく川に行くことができた。


 皆が広場にテントを張っている間に、街道から少し下った所に土魔法でトイレを三箇所、設置した。男用が二箇所と女用が一箇所だ。

 士爵に手の内を明かすのも不味いような気がしたので、いつもよりクオリティをかなり落とした雑な作りだ。まぁ、一晩持てばいいので問題はないはずだ。


 ちょうど完成した頃に、士爵が従者と共にこちらにやってきた。


「アラン殿、これはいったい!?」


かわやです。私は土魔法が使えるのですよ。なかなか便利な魔法です」


「ほう! 土魔法ですか! この様なことが可能なのですね、素晴らしい!」


 士爵と従者達に簡単にかわやの使用方法を説明すると頻りに感心していた。


「夕食も我らで用意させていただきますので、士爵はゆっくりと休んでいてください」


「かたじけない。ではお言葉に甘えてそうさせていただきます」


 テーブルや椅子の設置は終わっていたので、お茶でも飲んで待っていてもらおう。


 テントを張り、薪を集め終わるとクレリア達、四人がそわそわとしはじめた。その理由はなんとなく判ったが、あえて忙しいふりをしてみる。


 四人が意を決したように近づいてきた。シャロンに背中を押されてセリーナが前に出てきた。


「あの! アラン。今日はあの……、食料とかは、その……。ねぇ、リア?」


「そう、旅はまだ始まったばかりなのだから食料調達をしたほうがよいと思う。そうでしょう? エルナ」


「そうですね、リア様。食料調達できる機会は逃すべきではありません」


「…… わかったよ。釣りにいこう」


 四人は喜びの声を上げると釣り道具の入ったバッグを取りに走っていった。

 皆が働いているのに、遊びにいくようで言い出しにくかったようだ。しかし、だいたい野営準備は終わっているし、まだ明るい。一時間ぐらいは釣りをしてもいいだろう。食料調達は立派な仕事だ。


 ここからズームして見ても、川には水深がありそうな淀みがあり、いかにも釣れそうな雰囲気がある。


「あの、アラン様?」


 ダルシムが四人の喜びようを見て不思議に思ったようだ。


「釣りをしようと思ってね。よかったらダルシムも見に来ないか?」


「つり、ですか? お供させていただきます」


 四人と共に川に向うと、テントを張り終わり手の空いている者が、四十名ほどがついてきた。皆、釣りに興味があるようだ。その中にはカトル達、商人組も混じっていた。


 川に着くまでの間に、釣りを知らないダルシム達に釣りとは何なのかを簡単に説明するが、よく分からないようだった。実際に見てもらったほうが早いだろう。


 おぉ、これは良さそうなポイントだ。川が半ば堰き止められたような形になっており、川幅も広く深い淀みとなっている。試しに感度を上げた探知魔法を放つと無数の反応が帰ってきた。これは期待できそうだぞ。


 さっそく釣りの支度にかかった。竿は三本しか無いので、自ずと前回の釣り対決と同様に、クレリア・エルナ組、シャロン・セリーナ組、そして俺の対決だ。


 いち早く支度の終えたクレリア達が、タックルボックスからルアーを選び始めた。


「リア様。この疑似餌、ルアーにしましょう」


「そうね、大きな魚が釣れそう!」


 エルナはそう言うと十五センチ近くもある魚型のルアーを手にとった。釣りを初めたばかりの初心者が考えそうな発想だ。大きな魚を釣るには大きなルアーがいいと思っているんだろうな。しかし、あれはどう見ても海の魚用のルアーで、川魚には大きすぎる。


「私達はこれにしましょう」


 シャロン達も同じくらいの大きさのルアーを選んでいた。


 釣りはそんなに単純なものじゃない。今日のコンディションを見て選ぶべきだ。

 今日は良い天気で気温も高い。水温も高いだろう。魚の活性も高いはすだから水面近くを積極的に狙えるルアー、ずばりこれだ! 八センチぐらいのキラキラと光るルアーを選んだ。

 今日こそは釣り経験者と素人の違いを見せつけてやろう。


 俺がルアーをつけている間に、エルナが手慣れた感じで第一投目を放った。エルナはリールをゆっくりと巻きながら、竿にアクションを加えて魚を誘っている。

 もはやその動きに素人らしさはない。俺も早くルアーをつけて始めなければ。


 不意に風切り音が聞こえたので振り返ると、エルナがちょうど魚の当たりに対して合わせたところだった。なんて鋭い合わせだ!


「きましたっ!」


「魚が食いついたのか!?」

「「おぉ!」」


 ギャラリーから歓声が上がる。竿は弓なりに大きく曲がっていて、かなりの大物のようだ。あんなに大きなルアーでヒットさせるとはな。


 エルナは落ち着いてリールを巻き取っている。それもタックルの性能に頼った強引な巻き方ではない。

 魚の引きに合わせて一定のテンションが掛かるように、リールを止めたり巻いたりしているのか?

 間違いない! エルナはルアー・フィッシングというものを本質的に理解している。

 これが生まれ持った才能というものなのだろうか。


「きたっ」


 セリーナも掛けたようだ。これも大きな引きだ。よし、俺も始めるとしよう。

 一投、二投するが当たりはない。三投目を投げ、リールを巻き始めた直後に引き込まれるような強い当たりを感じた。すかさず合わせる。


「よし!」


「アラン様、やりましたね!」


 カトルが後ろで見ていたようだ。これもかなりの大物だぞ。クレリアの歓声が聞こえる。エルナと交代して、もうヒットさせたようだ。入れ食い状態だな。


 大物かと思ったが四十五センチぐらいのマスだった。いや、俺の故郷の惑星の感覚だとこれでも十分、大物だ。

 しかし、すぐ横では八十センチクラスのサーモンのような魚を次々と釣り上げている。


 気を取り直して、二、三投した後にまたヒットしたが、やはり同じぐらいの大きさのマスだった。もう一匹、小さいマスを釣り上げた所で、大きなルアーに取り替えることにした。

 悔しいがどうやら俺の釣りの知識は、この星の魚には通用しないようだ。


 ルアーを取り替えて戻ると、カトルを始め数人が釣りをしたそうな顔をしていることに気づいた。仕方がない、代わってやるか。

 いずれにしろ、釣り上げた魚を捌かないといけない。恐らくこのクランでは、俺が一番の適任者だろう。


「カトル、やってみるか?」


「いいんですか!? やってみたいです!」


 近くにいた者も興味津々の体で近づいてきた。では、簡単に釣り方をレクチャーすることにしよう。


「おーい、釣りをやってみたい奴はこっちに来てくれ!」


 十数人がこちらに駆けてきた。みんなやってみたかったようだ。

 実演を交えながら投げ方を説明していく。難しくはないので、後は実践あるのみだ。まずはカトルにやらせてみた。


 一投目は全然飛ばなかったが、二投目にはそれなりに飛んだ。巻き始めてすぐに糸が引き込まれる。


「アラン様! これは!?」


「竿を立ててリールを巻くんだ! 落ち着いてな」


「はっ、はい!」


「釣り上げたら次の人に交代するんだぞ」


「わかりました!」


 さて、まな板と捌いた魚を入れる容れ物を取りにいこう。野営場所まで戻るとすっかり野営の準備が出来ていた。


「アラン様、川ではみんな、何をしているのですか?」


 物資調達班のニルスに声をかけられた。このクランでは数少ない料理経験者で、なかなかの料理の腕前らしい。調達班のみんなでスープを作っていたようだ。


「あぁ、皆で魚をとっているんだよ。夕食は焼き魚にしよう。悪いけど、あの大きな鉄板で料理できるように準備してくれないか?」


「了解しました」


 今日のメニューはサーモンの切り身の塩焼きで決定だな。


「あとで魚の切り身を届けさせるから順次、焼き始めてくれ。味付けは塩でいいだろう。軽く胡椒やハーブで風味をつけてもいいかもな」


「わかりました。川のそばで育ったので魚を焼くのは得意です」


 まな板と大きな鍋を二つ持って川に戻った。クレリア達は既にサーモンを十匹以上釣り上げていた。これだけあれば少なくとも全員に行き渡るぐらいの切り身がとれそうだ。


 手の空いている者に魚を運んでもらうと、釣りをしている下流で魚を捌き始めた。


「アラン様、お手伝いします」


 ヴァルター他、数名が手伝いを申し出てくれた。釣れた魚が次々と運ばれてきており、とてもじゃないが俺一人では捌ききれない。


「そうだな。じゃあ、頼むよ」


 しかし、話を聞くとちゃんと三枚に下ろすことは出来ないらしいので分業制にした。

 鱗をとる係、腹を裂き内臓をとる係、それを洗う係、三枚におろす係、切り身にしていく係に分けた。俺は三枚におろす係だ。

 流れ作業のように魚を捌いていく。切り身で一杯になった鍋は、野営地のニルスに届けさせた。


 もう薄暗くなってきている。そろそろ頃合いだな。


「リア達に釣りをやめるよう言ってきてくれ」


「わかりました」


 それから十五分ほどで最後のサーモンを捌き終わった。ふぅ、こんな大量の魚を捌いたのは初めてだ。

 正に大漁だ。俺が数えたところでは、俺の釣ったマスも含めて二十五匹の釣果だ。百八人で分けても、切り身で三つか四つにはなるだろう。夕食のおかずとしては十分だ。


 クレリア達と一緒に野営場所まで戻った。クレリア達は大いに釣りが堪能できて大満足の様子で、興奮気味に釣り上げた魚の事を教えてくれる。やはり一番の大物を釣り上げたのはエルナだったらしい。

 クレリア達も楽しめたし、食料調達も出来て言うことなしだな。


 野営場所に戻ると鉄板で魚を焼く良い匂いがしていた。既に暗くなってきたが、各自、ホームの部屋に置いてあった光の魔道具を持ってきており、木に吊るしたりしていたので野営地は昼間のように明るかった。


 全ての切り身が焼き上がれば夕食の時間だ。メニューはパンと野菜スープ、それに焼き魚で、焼いた切り身は大皿に山盛りになっていた。

 ちなみに俺達のテーブルには士爵達もついていた。貴族でお客様なのだから当然のことだろう。


 調理した調達班を労うと、さっそく食事にした。まずは切り身からだ。

 うん、美味いな。脂がのっていて塩加減も絶妙だ。ほのかにハーブの香りをつけてある。


「美味しいわ! やはりお魚は釣りたてが一番ね!」


「本当に! 街で食べる魚は干物ばかりですから、贅沢な感じがしますね」


 周りからも美味い美味いとの声が聞こえてくる。

 確かに干物じゃない焼き魚は、こういう機会じゃないと食べられない。氷を用意して輸送という選択肢もあるが、コスト的にかなり高いものになるだろう。

 そういう意味では贅沢品といえるかもしれないな。


「これだけの魚を捕まえるとは、さすがはシャイニングスターの皆さんですな」と士爵。


 それを聞いてみんな嬉しそうにしていた。和気藹々とした雰囲気のうちに食事は終わった。


「アラン様、交代で五名の歩哨を立てます」


 有無を言わせない感じでダルシム副官が進言してきた。


「わかった、任せよう。よろしく頼む」


 何かあればアラームで気づくから必要ないんだけどな。しかし、警備はしすぎるということもない。任せよう。


 あとはもう寝るだけだ。警備上の理由からか、俺や、クレリア達、士爵のテントは野営地の真ん中に用意されていた。

 光の魔道具の光量を落とすと皆、各自のテントに潜り込んだ。


 お、イーリスから通信だ。


[艦長、面白い情報を仕入れました]


(なんだ?)


[ルミナス教の最大教派であるアトラス教会が、使徒をルミナスの使いとして正式に認定しました。発表は十日前のことです]


(………… 使徒って、ドローンの事だよな?)


[そうです]


 ルミナス教は女神ルミナスを唯一神と崇める宗教で、この星の人類のほぼ全てが信仰している宗教といっていい。その教義は穏やかなものなので、宗教嫌いの俺もあまり抵抗はない。

 当然様々な分派があるが、その中でも最大の宗派がドローンを使徒として認めたのか。


(そのアトラス教会というのは、全体のシェアでいうと、どの位なんだ?)


[推定で六割ほどでしょうか]


(かなりのシェアだな。ちなみにこの国の国教は?)


[アトラス教会です]


(それにしても、あっさりと認定しちゃうもんだな。それだけ民衆の間で使徒の話が広まっているということかな?)


[そのようです。ちなみに、四十五日前にアトラス教会の旗を掲げた馬車をオークの群れが襲い、それをドローンが助けたということがありました。ひょっとしたら、そのことも関係しているのかもしれません]


 なるほど。助けられた高位の聖職者が認定に動いたという可能性もありそうだな。

 しかし、仕方のないことかもしれないが随分と適当なんだなぁ。


[艦長、宗教は早い段階でなんとかしなければなりません]


(あぁ、分かっている。王都に着いたら少し動いてみよう。……もう寝るよ。以上(サインアウト)


 宗教か……、面倒だなぁ。

 そうか、苦手意識と宗教というものが今一理解できないこともあり、今まで無意識のうちに避けていたのかもしれないな。

 しかし、この惑星の文化水準を考えれば、避けては通れない問題だ。今回の使徒認定は何かに使えるかもな。


 さて、明日も早いし、もう眠ることにしよう。


(ディー・ワン、この野営地に感づいた魔物は全て始末しろ)


[了解しました]



書籍表紙、ついに完成です!

活動報告に画像を載せました。とても気に入っています!


また、下記の五つの書店様では、購入特典を用意しています。

TSUTAYA様

アニメイト様

とらのあな様

ゲーマーズ様

メロンブックス様


詳しくは活動報告を見てください!

よろしくお願いします!


ブックマークと評価を入れてくださった方、ありがとうございます!

これからも宜しくお願いします!


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― 新着の感想 ―
[良い点] 未来を題材にした、SF作品の多くには宗教を捨てさる事で人類が一つになれた的なお話しも多くある。 しかし、宇宙生活の困難さなどを題材にする作品では、すがる存在として古い宗教の神が出てくるお…
2022/11/14 02:29 退会済み
管理
[気になる点] クレリアやエルナだけならともかく他の誰も釣りを知らないのに魚をどうやって捕っているのか?
[気になる点] 物語の都合だろうけど、王都に元王女連れて行くとか明らかに失策では? 顔見知り見られたらどうするのって思う なろうってとりあえず無理やり女の子出して連れ回すの好きだよな
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