007. 義足
義足は完成した。
夜中にクレリアが尿意で目覚めるのではないかと、びくびく怯えながらの作業だった。
正直、馬車のメンテナンス用と思われる工具箱が見つからなければ完成しなかった。いや、この義足のどの材料が欠けても完成しなかったであろう。
会心の自信作であった。設計はナノムで、ナノムにミリ単位で指示されて作ったのだが。
構造は単純で、主な材料は馬車のサスペンション、大きく細長い金属製のジョッキのようなもの、馬の馬具、工具箱にあった小さい万力、これだけだ。
サスペンションはショックを吸収するために、くの字型になっており、そのあと馬車に取り付けるために上に真っ直ぐ伸びていた。この形状でなければ実現しなかったであろう。
また、サスペンションの硬さも絶妙だった。硬すぎず柔らかすぎず正に奇跡だ。
なんの材質でできているのかはナノムにも解らなかったが、木や金属ではなく、生物の体の一部だろうとのことだった。えらく丈夫で、サスペンションに利用するのも納得の強度だった。
次に、大きな金属製のジョッキのようなものはシャンパングラスのような形をしており、下から上に向けて徐々に径が太くなっている。この径がちょうどクレリアのふくらはぎと同じような太さだ。
クレリアのふくらはぎの太さは遠くからズームして確認済だ。
工程はジョッキの取っ手と根本の不要な部分をレーザーガンでカットし、同じくレーザーガンで万力と溶接する。
この溶接する角度がキモだった。ナノムが計算したクレリアの体重+装備の重量を実際にサスペンションに掛けて、その時にサスペンションのステーが垂直になるような角度で溶接した。
サスペンションの接地面の先を丸く加工し、指示された角度になるようにナイフで少しずつ削っていく。
あとは万力でサスペンションを挟んで固定してほぼ完成だ。
馬具のベルトを利用して足がグラスから抜けないように膝下部分と固定すれば完成だ。
クレリアはジョッキの中に足を入れてベルトで足と固定して使うイメージだ。
万力で高さを調整することにより、自由に長さを変えられるのがセールスポイントだ。
さすがにもうヘロヘロだ。もう夜は明けている。クレリアを起こそうかどうしようか悩んでいたら、丁度起きてくれた。
ここからは時間との勝負だ。
◇◇◇◇◇
朝、目が覚めると既にアラン・コリント いや、コリント卿は既に起きていた。直ぐに近づいてくると、なんとも珍妙な物を嬉しそうに見せ始めた。
あれは儀式用の杯の一部のように見えるが他は判らない。なにやら口で説明しているが、勿論、意味は分からない。
しびれを切らしたように、いきなり抱え上げられた。何故か近くに置いてあった積み上げられたトランクケースに座らされた。
事前に用意してあったらしい布を、切断された足に幾重にも巻きつける。意味が分からず、なすがままだ。
その後、先程の珍妙な物の杯に、足を差し入れた。首をかしげブツブツ呟くと布をもう一巻きして同じことをする。納得したようで、今度は膝下にベルトを巻き、珍妙な物を固定し始めた。
固定し終えると今度は右手をとり、立つようにと仕草をする。まさか!
半ば強引に両方の肩を掴まれ引き上げられ立たされる。心臓の鼓動が激しい。そんな、まさかっ!
全身をじっくり観察するように眺めると座らされた。
また、ブツブツ言いながら何か調整している。私は先程から心臓が高鳴りっぱなしだった。まさか、そんなはずはないと思いながら。
また、強引に両肩を掴まれ立たされる。また、観察するように眺める。納得したようだ。
ゆっくりと腕をひかれる。恐る恐る足を踏み出す。感覚が分からず躓いてしまったが、コリント卿が支えてくれた。足は高く上げなければならないようだ。
踏み出す。踏み出す。踏み出す。体重を掛けるとグニャリとしたなんとも妙な感覚だ。
踏み出す。踏み出す。踏み出す。こんなことありえない。夢を見ているようだ。
踏み出す。踏み出す。踏み出す。コリント卿が片手を離し、私の横に並んだ。
踏み出す。踏み出す。踏み出す。まるで、ダンスをしているみたいだ。
踏み出す。踏み出す。踏み出す。コリント卿が完全に手を離した。並んで歩く。
踏み出す。踏み出す。踏み出す。コリント卿が立ち止まった。
コリント卿の周りを自分の足で歩く。
踏み出す。踏み出す。踏み出す。
私は、いつの間にか涙を流していた。
踏み出す。踏み出す。踏み出す。
『あはは、すごいぞ! コリント卿!』泣きながら笑う。
踏み出す。踏み出す。踏み出す。
そのまま、十分間くらい自分の足で歩いた。立ち止まる時に、よろめいたが持ち直した。
『コリント卿! これは素晴らしい! こんなことが実現可能なんて信じられない!』
コリント卿に勿論意味は伝わらなかったが、こちらが喜んでいることは伝わったようで笑顔だ。
このままもっと喜びを伝えたいのだが、実は急に用を足したくなってしまった。そうでなければ、あのまま歩き続けていただろう。
そのことを、どのように伝えたらいいだろうか。昨日まではファルが側にいて全部任せていたので、こういったことを直接周りに伝えたことは無かった。
少し考えて、森を指差し自分を指差し、また森を指差した。わかるだろうか。
コリント卿は頷くと指で円を作った。それから待っていろというような動作をすると、脇においてあった見慣れない槍のような棍棒のような物を掴むと物凄い勢いで駆け出して森に走って行ってしまった。
三、四分後くらいに走って戻ってくると頷き、また指で円を作った。偵察に行ってきてくれたに違いない。コリント卿は座り込み自分はここにいると意思表示をした。
私は真っ赤になりながら小物入れを持って森に向かった。
◇◇◇◇◇
(ナノム、ミッション コンプリートだ)
勿論、A++判定だ。
[了解]
◇◇◇◇◇
用を足して戻ってくるとコリント卿は身振りで、これから寝ると伝えてきた。
やはりそうか、このようなものが早朝の何時間かで作れるはずがないのだ。私のために夜を徹して作ってくれたのだ。まさに頭が下がる思いだ。
そのまま地面で寝ようとしたので、毛布で寝るように促した。元々この毛布はコリント卿のものだ。
まったく、この男は貴族の鑑のような男だ。気遣いができて優しく賢く強い。
そう強い。昨日は混乱していて気づかなかったが、アンテス団長と最後の時、まだ周りには十頭以上のグレイハウンドがいたはずだ。恐らくはそれらを一人で倒している。
昨日は私の不注意から手足を失うことになってしまった。昨日、先程と同じように用を足すために煩わしさから脛当と腕当を外してしまった。手足を失ったのは自業自得だ。
いや、それとも脛当と腕当を着けていたら、皆と同じように喉を食い破られていたのかも知れない。今更考えても仕方のないことだ。
昨夜は横になった後もなかなか眠れなかった。
仲間の死、これまでに払ってきた犠牲、これから成し遂げねばならないことへの不安、手足の喪失、片端者としてのこれからの人生。
私はついに、たった一人になってしまった。片端者で自分では歩くことのできない者へ誰がついてくるというのか。それを考えると中々眠れなかった。
しかし、この足があれば、私はまだ歩ける。片端者ではあるが、私はまだ頑張れる!
昨日は我が人生最悪の日であったが、コリント卿という僥倖に巡り会えた。コリント卿には、また恩を受けてしまった。まだ何一つ返していないというのに。
コリント卿の目が覚めたら直ぐにでも出発せねばならない。
そのための準備をしよう。
コリント卿はついてきてくれるだろうか……
◇◇◇◇◇
ふぁー、まだ正直寝足りないがナノムに昼前に起こしてくれるよう頼んだのは自分だ。諦めて起きよう。
やらなければならないことがたくさんある。
クレリアは荷物の小山の前でなにやら考え込んでいた。どうやら必要なものを選別していたようだ。
できれば安静にしていてほしかったんだけどなぁ。
一緒に眺めてみる。
でかい革の鞄が四つ開けられており、そこから必要なものを選別していたようだ。考え込んでいて、俺が横に立って見ていたのを今、気づいたようで慌てて女物の衣類が入っているケースを閉めた。
いやいや、別に見てなかったよ? 本当に。
クレリアは何かを思い出したように何やらジェスチャーゲームを始めた。伝えたいことがあるようだ。
見つけた自分の剣を鞘から抜かずに振り上げながら少しの間歩き、通ってきた道の先を指差し、その指をゆっくりと動かしクレリアは自分を指差した。
なんと! 追われているのか? もしかしてクレリアは犯罪者!? 盗賊とか? または戦争中という可能性もあるな。
指でOKサインを出す。
何人だ? こんどは俺の番だ。指を一本ずつ増やして立てていって正解で止めてもらおうをしたが、クレリアにすぐに止められた。
まぁそうだよな。十人の団体が逃げていたんだ。どう考えても十人以上だろうと思ったが、判らないという仕草をした。
[この無言で意思疎通を図る習慣をやめてください]
珍しくナノムが文句を言ってきた。わかってる。多分これは俺のせいだ。
クレリアに指でOKサインを出す。
次は時間だな。俺は恒星を指差し、西のほうにゆっくりと動かしていった。
わかってる。いきなり声出し始めたらなんか変じゃないか。
クレリアはそれは判らないという仕草をした。
OKサインを出した。
まぁ、荷物を選別してしているぐらいだ。今すぐ来るとは考えていないのだろう。
誰かに追われているが、どのくらいの規模か、いつ来るかも判らないと。何か訳ありのようだ。
本当は今日一日、安静にしていて明日以降に出発するつもりだったが、予定は変更しなければならないな。クレリアの足のことを考えるとすぐにでも出発したいところだ。
早速、持っていく荷物を選んでしまおう。
何かバッグのようなものはないだろうか。
(バッグ又は袋をハイライト表示してくれ)
見渡すといくつか赤く着色されている。おお、こんなところに。一番最初に焚き火をしていた所からちょっと離れた所に大きい肩掛けのバッグのようなものが置いてあった。
おお、食料用のバッグみたいだ。そういえば、食料の類が見当たらないので不思議に思っていたところだ。
やった! 塩のようなものが入っている。これは胡椒かな!? いきなりのお宝発見だ!
その隣のバッグには調理器具が入っている。フライパン、鍋、ナイフ、フォーク、皿などいろいろだ。これもお宝だな!
そのバッグの近くに、やたらとでかい袋があった。中身は…これは毛布かな? うーむこれは要らないかな。俺の毛布のほうがよっぽど上等だ。
とりあえずキープだ。
他には倒れた馬車の近くに結構立派な肩掛けバッグのようなものがあった。おっ、これはなにかな? 中身はあまり入っていない。見ると、どう見ても女性用の下着のようなものや、なにやら細々とした物が詰まっていた。
忙しい振りをして通り過ぎる際にさり気なくクレリアに渡した。クレリアは中身を見ると睨みつけてきた。いやいや、俺、全然悪くないよね。
おっと、馬の鞍にも両サイドにバッグのようなものが付いているな。なるほど、個人の私物はこの中に入れていたのだろう。一応、中身を検めさせてもらおう。
一時間後、やっと全ての物資を把握することができた。昨日見つけた薬品っぽい物も触ってナノムに確認してもらっている。
集まった物資を前に一応クレリアに確認をとる。バッグに物を入れる仕草をして、いいか? と訊いた。
クレリアは頷く。
(運べる量、バッグ、必要と思われる物資を考慮して指示してくれ。クレリアにはバッグ1つか2つしか持たせたくない)
バッグの1つが青く光り、入れる物資が赤くハイライト表示している。サクサク入れていく。よし次だ。
結局、バックパック、バッグ3つの大荷物になってしまった。どれもパンパンで目一杯入っている。
俺が持てるのはバックパック、バッグ2つ、毛布2巻、ライフルで目一杯だろう。ライフルを構える時は即座にバッグを投げ捨てて構えるみたいな感じかな。
さっき気づいたが、昨日バックパックに引っ掛けて乾かしていたもう一着のツナギは無くなっていた。走っている時に落としてしまったのだろう。
さすがにもう拾いに行く気はない。
クレリアには一番小さい肩掛けバッグを持ってもらう。クレリアはこのバッグのほかに自分の衣類等の例の肩掛けバッグをキープしていた。
◇◇◇◇◇
私はコリント卿に自分が追われている身だと身振り手振りで説明した。説明しないわけにはいかない。
おそらく、この道も捜索してくる者はいるだろう。私たちが逃げられる道は、そう多くはなかった。
本当はコリント卿に、この説明をするのは怖かった。縁もゆかりもないコリント卿が、私を追ってくる者などに関わる理由は全くない。コリント卿が袂を分かつと決めたとして誰がそれを責められよう。
だが、コリント卿は説明しても驚いていたが特に慌てた様子はなかった。ちゃんと伝わらなかったのだろうか。いや伝わったはずだ。
それからすぐにコリント卿は行動を開始した。物資を確認しているようだ。あちこち歩き回り物資を広場の中央に集めていく。
納得したようで、バッグに物資を入れていいかと聞いてきた。頷くと、てきぱきと迷わずバッグに入れていく。予め考えていたようだ。
コリント卿の選択は、なるほどと思える品ばかりだった。私も考えていたが、どれもこれも必要に思え全然決まらなかった。
やがてコリント卿の私物である行商人が使うようなバッグと、3つのバッグにまとまった。
コリント卿は私物のバッグと大きめの2つのバッグを指差した後に自分を指差し、一番小さいバッグを指差し私を指差した。
この時に初めてコリント卿が自分と同行してくれるつもりだということを確信した。
そうだ、コリント卿は本物の貴族だった。少しでもそれを疑った自分が猛烈に恥ずかしくなった。
荷物を整理する過程でコリント卿が自分の剣を持っていないことに気づいた。恐らくグレイハウンドを倒した時は、落ちていた剣を使用したのだろう。
皆の剣を見つけて一応、集めてあったが、残念ながらこれらを持っていくことはできない。ならば、これらの剣をコリント卿に使ってもらおうと考えていた。
コリント卿を剣を集めた所に連れてくると、どれか選んでくれと身振り手振りで説明した。
◇◇◇◇◇
クレリアに手を引かれていくと、そこには剣が並べられていた。恐らく彼女の仲間のものだろう。どれか選べと言っているようだ。
パルスライフルやレーザーガンは、このまま使っていけばいつかはエネルギーパックが空になる。そうなったら無用の長物だ。代わりとなる武器を用意しておいたほうがいいかもしれない。
剣か。懐かしい。もちろん実物の剣を見るのは初めてだ。しかしVRゲームでは別だ。
ジュニアスクールからハイスクールの時にかけて、俺が通っていた学校では剣を使ったVRゲームが大流行していた。俺も例外なくハマり没頭した。
ゲームの名前は「Swordsman」。RPGだが、対人対戦モードもある、よくあるゲームだ。
結局4年間ぐらいは、ずっとこのゲームにのめり込んでいたはずだ。しかし学校でのブームも下火になり、そのうちやめてしまった。
やめる最後の年には、故郷の惑星の世界大会の対戦モードのトーナメントで、まぐれで九位になったことがある。
その時はネットのローカルニュースにも載ったし、学校の男子のヒーローだった。
膨大な時間と小遣いを注ぎ込んだので当然といえば当然だが、今 考えれば、なんであんな非生産的な事に全てを注ぎ込んだかと思う。
いや、今その経験を生かせれば、あの小遣いは無駄ではなかったのかも知れないと考えると試したくなった。
ゲームで使っていた剣に形の近い剣を選ぶとクレリアにちょっと離れてもらう。
えーと、どんな感じだっけ? そう、あの大会の時を思い出せ。
そう、あれは俺が十四歳の時だ。あの時はあの大会が、人生のクライマックスのように感じていた。
来る日も来る日もログインして、果ては現在では規制されているクロックアップモジュールまで使用して打ち込んだ時期だ。
あの時を思い出してゆっくり剣をふってみる。あぁ、思い出してきたあの時の熱い気持ちを。
しばらく剣をふっているうちに、また思い出した。あぁ、思い出してしまった。あの大会で使っていたハメ技のことを。
コリント流剣術 最終秘奥義 メテオ・ストリーム。
一子相伝の攻撃を重視した二十四連撃のコンボだ。
ああ! いま考えるとなんというネーミングだろうか。ちなみに連撃のなかにメテオらしい動きは一切ない。
しばらく剣をふって体をならす。
(サポートしてくれ)
ナノムにイメージを伝えて頼むとゲームで使用していた基本的なコンボをやってみる。
おお! 体が動く。それっぽくできているのではないだろうか。
1つやってみると他のコンボも、どんどん思い出してくる。これが体が覚えているということだろうか。
楽しくなって他のコンボも試してみる。おお! これは楽しい!
頭の中でメテオ・ストリームをイメージしてみる。思い出した。何千回、何万回と練習した技だ、できるはずだ。
イメージが完成した時、メテオ・ストリームを繰り出した。
◇◇◇◇◇
コリント卿は、しばらくキョトンとしていたが、剣をみると目つきが変わった。迷わずアンテス団長が使っていた剣をえらんだ。
コリント卿の鑑識眼に舌を巻いた。アンテス団長の使っていた剣は、一見、普通の剣だが、れっきとした魔法剣だ。私は自らの手で団長に下賜したため判るが、ひと目でそれを見抜く者がいるとは思ってもみなかった。
コリント卿は離れているよう身振りすると、剣を抜いた。いよいよコリント卿の剣の腕を見ることができる。
最初は何気なく剣を振り始めた。肩をならすような振りだ。段々と剣の振りが速くなっていく。連続技をくりだした。なんと鋭い剣だ!
その後も次々と見たこともない連撃をくりだす。連撃は、どの流派にも似ていなかった。これは初見で対応するのは難しいだろう。
五連撃!? ああ! なんという連撃だ!
コリント卿の動きが止まった。目を閉じてなにかに集中している。これは大技がくると確信した。
コリント卿が目を開ける。ただならぬ雰囲気が漂う。ただ剣を真っ直ぐに構えているだけだが、それが恐ろしい。なんという剣気!
次の瞬間、連撃が始まった。目にも止まらぬ連続攻撃だ。いや、剣だけではない。蹴りや足払いなどの体術も織り交ぜている。連撃は続く。まだ終わらない。最後は上段からの目にも見えない鋭い打ち下ろしで、やっと終わった。
私は呆然としていた。
美しい舞のような剣技だった。どの流派にもない挙動だ。これは初見では間違いなく誰も敵わないだろう。そう、かの剣聖でさえも。そう思わせるほどの素晴らしい剣技だった。
これほどの剣技、間違いなくコリント卿の切り札だろう。切り札を間近で私に見せるとは!
剣士にとって、その切り札は、命と同じだ。師弟関係、主従関係にでもないかぎり人に絶対に見せることはない。見せるとすれば命を預けられるほど信頼している者のみだ。
私はコリント卿の自分に対する信頼を思い、胸が熱くなった。コリント卿と信頼関係があるといえない。しかし人間どこかで信じ始めなければ始まらない。
これは、これから行動を共にしていくにあたって、コリント卿は私を信じるとの意思表示だろう。
私もコリント卿を信じる!