068. ドラゴン1
誤字、脱字、御指摘、感想 等もらえると嬉しいです。
冒険者ギルドによる討伐依頼で、クランの担当地区の魔物を間引くようになって十日が経った。
「アラン様、随分と魔物が減ってきているように感じますが…」
「あぁ、そうだな。探知魔法を使っても減っているのが一目瞭然だ。俺達の担当地区では、しばらくは魔物討伐はやらなくてもいいな」
勿論、他のクランの担当地区から魔物の流入があるはずだが、他の地区でも間引いているので、すぐに増えるわけでもなくクランの全員で出向くほどじゃない。適度に増えたら、また狩りにくればいい。
「いい加減、この依頼を解除して欲しいもんだな。ここのところ、ギルドに毎日確認しているけど、いつ行っても確認中としか言わないんだよ。よし! 今日は文句を言ってやろう」
「お供させて頂きます、アラン様」
ギルドに文句を言うのに付き合ってくれるらしい。やっぱりヴァルターは、いいヤツだな。
勿論、強制依頼ではないのだから、依頼を無視して他の魔物を狩りにいっても自由なのだが、義務を怠っているようで気分的にスッキリしない。スタンピードの危険性がないのなら早くはっきりさせてほしい。
今日の狩りを終えてガンツに戻ってきたところで、入門の検査待ちだ。並んでいるのは冒険者ばかりで景気の良さそうな奴はいない。多分、俺達と同じく大手クランのメンバーで依頼をこなしてきたのだろう。
ウチのクランの場合は、ドローンで予め魔物のいる場所を調べて、ある程度ピンポイントに狙って狩っているので、闇雲に狩っている彼らに比べれば、随分マシなほうだと思う。
入門の検査を終えると、全ての隊の魔石や討伐部位を預かって、ヴァルターと二人で冒険者ギルドに向かった。
ギルドに入ると、やはり混雑していて査定のカウンターには行列ができていた。十五分程待って、やっと査定が終わった。
今日の戦果は、クラン全体でグレイハウンド、二十六頭、オーク、五匹、ゴブリン、二十五匹 で、換金したギニーは、二万九千六百ギニーだった。
これでは赤字もいいところだ。
「よし、いくぞ! ヴァルター」
「はい! ガツンと言ってやりましょう!」
ギルドの受付に文句を言いに向かった。
「シャイニングスターのアランですが、」
「あぁ! 依頼の件ですね? 先程やっと解除されました。冒険者ギルドは、クランの皆様の御協力に感謝します。御苦労さまでした」
「…… あぁ、そうなんだ」
「……」
せっかく気合を入れて文句を言おうと思ってたのに肩透かしを食ってしまった。ヴァルターと二人で無言でホームへと向かった。
「アランさんじゃありませんか!」
商人風の男に声を掛けられた。頭の上に仮想表示されている名前タグには、ゲルトと表示されていた。見覚えはないが、ナノムが名前を知っているということは、いつだか商業ギルドで紹介を受けた大勢の商人のうちの一人だろう。
「あなたは確かゲルトさんですね?」
「おぉ! 名前を覚えてくださっているとは! そうです! ゲルトです」
「久しぶりですね」
「また、お会いできるとは! どうでしょう、もし御時間があれば一杯飲みませんか? 冷えたエールを出す店があるんです。勿論、お供の方も一緒に。当然奢らせていただきます」
冷えたエールか、正にいま一番飲みたかったものだ。ヴァルターを見ると任せるといった顔つきだった。奢りなら断ることもないかな。
「では、せっかくですから御馳走になります」
「そうこなくては! 店はすぐそこですよ」
案内された店は、小奇麗な酒場で、商人風の男達がちらほら座っているだけだった。恐らく商人御用達の酒場なのだろう。ゲルトが店員に人数分のエールとツマミを頼むと、すぐにエールが運ばれてきた。
「一度、アランさんとゆっくり話がしたかったんですよ。いや、分かってます。そんなにお時間は取らせません」
「いえ、たまには商人の方と話すのも楽しいですよ」
「アランさん、今、シャイニングスターが凄く有名になってきてるのって知ってますか?」
「へぇ、そうなんですか。まぁ確かにこの記章を付けているからか、声を掛けられたってクランの者が何人か言ってましたね」
左腕に付けたクランの記章をゲルトさんに見せた。何人かから盗賊討伐に対して礼を言われたと報告を受けていた。
「いやいや、このガンツでは当然有名なんですけど、噂は王都にまで伝わってるって話ですよ」
「ほう、王都にまでですか…」
「まぁ、噂を伝えるのは主に商人なので当然と言えば当然なんですけどね。そういえば盗賊団を十以上も捕らえたというのは本当ですか?」
「そうですね。捕らえた盗賊達は十一集団、人数で言えば確か二百十五人だったかな?」
「二百十五人! いやー、大したもんですね! 本当に有難うございます」
「いえ、商業ギルドの依頼でしたからね」
「ギルドも偶には良い事するってみんな言っていて、ギルド長のサイラス様は大層御機嫌だという話です」
なるほど、商業ギルドの株が上がったという事か。俺達も儲けさせて貰ったし、言う事なしだな。
このあと、色々と噂話を聞きながら、二杯のエールを御馳走になってゲルトさんとは別れた。
「やりましたね! アラン様」
「あぁ、美味いエールだったな」
「違いますよ! 王都で噂になっているって話です」
「あぁ、そっちの話な。確かにそうなるといいなぁと思っていたけど、本当になるとはな。まぁ、どれほどの噂になっているか、まだ分からないから何とも言えないな」
「考えてみると中々の快挙ですから、きっと凄く噂になっていると思います」
ヴァルターとあれこれ話している内にホームに着いた。さて、風呂に入ってあがったら丁度夕食の時間だ。
夕食が終わる頃にダルシム隊長に声を掛けた。
「ダルシム隊長、少し打ち合わせをしたいんだ。リーダーを執務室に集めてくれないか?」
「分かりました。アラン様、あの… 私を隊長と呼んで頂けるのは嬉しいんですが、このクランには隊長は既にいますので相応しくないのでは、と愚考します」
「あぁ、悪かった。その事についても話があるんだ。打ち合わせの席で話そう」
「了解しました」
パーティーメンバーとリーダー達に集まってもらい打ち合わせを始めた。
「まず報告だ。今回の冒険者ギルドによる間引きの依頼は解除された。やはりスタンピードの心配は無かったということだ。できればもう四、五日早く解除して欲しかったけどな」
「魔物の数も減ってきていたので、丁度いいですな」
「まぁ、そうだな。あともう一つ報告だ。我々シャイニングスターの盗賊討伐の噂が、王都にまで伝わっているらしい。とは言っても、どんな感じに伝わっているかは、よく分からなかったので何とも言えないけどな」
「おぉ!」
「それは勿論、良い噂なのでしょう?」
「勿論、そのはずだ。この話は商人から聞いたんだが、商人が噂を広めてるって話だからな。本題だが、盗賊がまた一組、現れたという情報が入った。まだ誰も襲ってはいないが、十五人もの集団で魔物狩りもしないで同じ場所に二泊も野営しているというのは十分に怪しいと考えている」
当然、これはドローンが掴んだ情報だ。件の集団を観察した動画をみたが、格好からしても冒険者には見えず、昼間は街道沿いで待ち伏せをしていたので盗賊で間違いないだろう。また襲われる演技をする必要があるかもしれないが捕縛しておきたい。
「私達A隊にやらせてください」とセリーナ。
「分かった、任せよう。ここから一泊の距離だ。準備して明日、出発するといい。では、B隊はオーク狩りでもしようか。オークの集落を襲う。ひょっとしたらジェネラル・オークがいるかもしれないぞ」
「「おぉ!」」
拠点を持たない盗賊はきっと何も持っていないから実入りも少ないだろう。オーク狩りの方が儲かるかもしれないな。
「最後にダルシム隊長の事だ。もし引き受けてくれるなら、俺の副官に任命したいと思っている」
「私がアラン様の副官に!?」
「もし、引き受けてくれるならだけど…。頼めないだろうか?」
「勿論、お引き受け致します! なんとしてもお役にたってみせます!」
「そうか、良かった! 皆も知っている通り、ダルシムはどんな組織においても直ぐに隊長として認められるはずの実力の持ち主だ。分かってはいるだろうが、皆もダルシム副官の意見には聞くべきものがあると考えてもらいたい」
その場にいた全員が頷いた。
皆には悪いが、俺の次席指揮官は、なんとしてもセリーナにしておきたい。本来ならばダルシムのほうが経験が豊富で、次席に相応しいかもしれない。しかし、ダルシムが副官で納得してくれてよかった。
「よし、それじゃ、いつも通り七時の鐘が鳴ったらA隊もB隊も出発だ。準備しておいてくれ」
打ち合わせを終えて部屋に戻るとイーリスから通信が入った。恐らく部屋に戻るのを待っていたんだろう。
[艦長、ドラゴンについての定時報告です]
先日、イーリスにセシリオ王国に現れたドラゴンを探すように命じると、イーリスは二時間程で見つけ出した。ドローンによって撮影されたドラゴンの行動の映像をダイジェスト版で確認したが、危険な兆候はなく、特に目的もなく気ままに旅をしているように思えた。
人間の街に近づいても危害を加えるわけでもなく、上空から観察し暫くすると飽きたのか飛び去っていく。食事も魔物やビッグボアなどを狩り、今のところ人間を襲うこともない。人間を襲ったほうが簡単なはずだが襲わない。何かドラゴンなりの考えがあるのだろうか? なかなか賢そうな魔物にみえた。
仮想ウィンドウ上のマップにドラゴンの現在位置が表示される。
(なんだかガンツに近づいてきていないか?)
[そうですね。しかしドラゴンの行動には一貫性がありません。恐らくは偶然だとは思います]
(そうか。引き続き監視を頼む)
[了解しました]
確かにドラゴンの行動には規則性がなかった。二、三日同じ場所にいたと思えば、翌日には百五十キロ先に移動したり、自由気ままに行動している感じだ。気にしてもしようがないか。
さて、ドラゴンも気になるが明日も朝が早い。もう寝てしまおう。
朝七時の鐘が鳴ると同時にA隊、B隊の全員がホームを出発した。A隊は馬と馬車なので先行していく。
もちろん、B隊は歩きだ。目的地のオークの集落は二十キロ先、なんとか日帰りで帰ってこられるだろう。
樹海の中を歩いていき、昼前にはオークの集落の近くまで来ることができた。途中グレイハウンドに二度、計十頭に襲われたが問題なく駆除している。やはり魔物の数は少ない。ギルドの間引きは成功したと言っていいだろう。
みんなを集めて作戦を説明する。
「この先、五百メートルにオークの集落がある。全部で五十五匹だ。集落はこんな形をしている」
地面に集落の形を描き、オークがいる大体の位置に木の葉を置いていった。
「最初は出来るだけ、気づかれないようにして魔法で倒していく。気づかれても大した問題じゃないが、あとの戦いが楽になるから出来るだけ静かにいこう。気づかれて乱戦になっても慌てずにパーティー毎に行動しろ」
みんな緊張した顔で頷いている。そういえば同数以上の敵と戦うのはB隊としては初めてか。
「オークなんて大した事ないぞ。なんなら俺一人でも倒せるぐらいだ。気楽にいこう」
そう冗談を言うと、何人かが笑顔を浮かべた。
「よし、いくぞ」
音を立てないように一列縦隊になってゆっくりと集落に近づいていく。
途中でオークに出会うこともなく、五百メートルの距離を四十分程の時間を掛けて、やっと集落のすぐそばまで来ることができた。まだ気づかれてはいない。
やはり集落は直径百十五メートルぐらいの円形に開かれた場所で、所々に長い葉を立て掛けたような日除けのようなものが建っている。ほとんどのオークはその日除けの下に座り込むか寝ていた。
ハンドサインで各パーティーに目標を指示していく。今日はオーク狩りと聞いて弓を持ってきた者も多い。まずは集落の外から魔法と弓で攻撃してみよう。
皆の準備ができた頃に腕を振り下ろして、一斉攻撃を指示した。さすがに五十人もの攻撃となれば、かなりの音が出てすぐに気づかれたが、オーク達は何が起こったのかまだ理解できていないようだ。
この一斉攻撃で、少なくとも二十匹以上のオークを倒すことができた。上出来だ。
「任意に攻撃開始!」
大声で指示しながら集落に入っていった。やっと襲撃だと気づき近づいてくるオークの額にライトアローを叩き込み、次々と仕留めていく。
おぉ、動きの遅いオークには弓での攻撃もかなり有効だな。何本もの矢を体に受けてオークが次々と倒れていった。
その時に集落の奥から雄叫びが響いてきた。これはジェネラル・オークだろう。やっぱりいたか。
「ジェネラル・オークは、俺が仕留める!」
大事な顔に傷がついたら大変だ。前回と同じく体を攻撃して倒そう。ジェネラル・オークは前回よりも小さいが、身長三メートル近くはありそうだ。大きな棍棒のような物を持ち、自信たっぷりに歩いてくるジェネラルの心臓の辺りをロックオンすると、次々とライトアローを放っていった。四発目を体に受けた時、ゆっくりとジェネラル・オークは崩れ落ちた。
「おお! アラン様がジェネラル・オークを倒したぞ!」
既に大勢は決まり、あとは掃討戦を残すだけだった。ジェネラルが倒されるのを見て逃げようとしたオーク三匹をライトアローで仕留める。よし、これで全部だ。
「よし、みんなよくやった! 作戦終了だ」
「おお!」
「やったぞ!」
「一息ついたら魔石と討伐部位を回収しよう」
「楽勝でしたね! アラン様」
「そうだな。このぐらいの数なら、皆の実力を考えれば当然だろう」
ジェネラル・オークをひっくり返して、ファイナルブレードを発動した剣で首を落とした。ちゃんと血抜きをしておこう。
こいつもかなり醜悪な顔だ。これだけ醜悪ならきっと高く売れるだろう。
軽い休憩をとった後に、全員で手分けをしてオークの魔石と討伐部位を全て回収した。もう十四時だ。急いで帰らないと暗くなってしまう。
「よし、ガンツに戻るぞ!」
「「おう!」」
その時、イーリスから通信が入った。
[艦長、ドラゴンが樹海に向かっているようです]
(なに!?)
慌ててマップを仮想ウィンドウに表示し、ドラゴンの位置とスピードを確認した。なるほど… 確かにこちらに向かっているが、まっすぐ俺達を目指しているわけじゃない。
(まさか俺達を狙っているわけじゃないだろうな)
[それはないと思いますが、警戒したほうが良いでしょう]
「あの、アラン様?」
あぁ、俺がいつまでも動かないのでヴァルターが不審に思ったようだ。
「悪い知らせだ。ドラゴンがこちらに向かっている」
「ドラゴンが!?」
「そうだ。できるだけ警戒しながら戻ろう」
みんなドラゴンと聞いて、不安そうに空を見上げながらオークの集落をあとにした。
三十分ほど進んだ頃に、またイーリスから通信が入った。
[あまり良くない状況です。これをご覧ください]
今、行軍の途中なんだけど…。手を挙げて全隊の行軍を止めた。皆はすぐに止まり、上空を警戒している。
仮想ウィンドウ上の映像を確認すると、ドラゴンの狩りの映像のようだ。勿論、ライブ映像ではなく録画されたものだ。
ドラゴンは上空を旋回して獲物を狙っているようだ。狙いを定めて一気に降下していく。木々の中に構わず突っ込み、五百キロはありそうな大きなビッグボアを仕留めた。
[運悪く近くに冒険者達がいました]
あぁ、それはついてない。
十人ほどの冒険者達の姿がズームされる。冒険者達はドラゴンにビビりながらも、食事に夢中なドラゴンを何とかしようとしていた。
あぁ、馬鹿なことを! ここは気づかれないように逃げるしかないだろうに。どうやって倒そうというのだろう?
冒険者達はドラゴンの背後に回り込むと、魔法を使える者らしい二人が集中に入った。バカな! 単発のただの魔法で倒せない事は俺でも分かる。結果は火を見るよりも明らかだった。
準備が出来たらしく、他のパーティーメンバー三人がドラゴンの後頭部目掛けて矢を放った。矢は当然のように弾かれ、食事を邪魔されたドラゴンが不機嫌そうに振り向く。
そこに準備していた二人が魔法を放った。タイミングは絶妙だ。二人共フレイムアローを放ったようで、六本の炎の矢がドラゴンの顔めがけて飛んでいき着弾した。
おおっ! 六本のうち一本がドラゴンの目に突き刺さっていた。たまらずドラゴンが悲鳴を上げる。
二十秒程転げ回りジタバタしていたが、痛みが収まってきたのか、片目を瞑り立ち上がると冒険者達を睨みつけ、長い咆哮をあげた。あぁ、やっぱりこうなるか。
冒険者達は、ドラゴンの咆哮に慌ててしまい逃げようとしていた。逃げるのではなく、何とかしてもう片方の目も潰せれば、まだ助かる道もあったのに。
ドラゴンは息を吸い込むような動作をすると口から火炎放射器のような火炎を吐き出し、炎は冒険者達を飲み込んだ。あぁ…。
ドラゴンは冒険者達を倒しても気が済まないのか、空に向かって咆哮をあげ続けている。
やがて叫ぶのも飽きたようで、飛び立つと何かを探すように円を描きながら飛び始めた。ドラゴンの上半身がズームされる。やはりドラゴンは、地上を見つめ何かを懸命に探しているようだった。きっと八つ当たりする相手を探しているのだろう。
マップで確認すると、徐々にこちらに近づいてきている。なるほど、これは確かに不味い状況だ。ドラゴンに見つかれば十中八九、襲ってくるだろう。
しかし、これはチャンスでもある。正に待ち望んでいたチャンスと言っていい。スターヴェイクではワイバーンを何頭か倒した冒険者が爵位を授与されたという。だったらそれがドラゴンだったら?
そのチャンスが向こうから、わざわざやってきてくれるのだ。ここは多少無理をしてでも賭けてみる価値はある。
「ヴァルター、やはりドラゴンが近づいて来ている。俺は別行動をとりドラゴンを何とかしてみようと思う。お前がB隊を率いてガンツまで戻れ」
「何をおっしゃいますか! それであれば私達もお供致します。全員の力を合わせれば、ドラゴンなど恐れるに足りません!」
「いや、ドラゴンに限って言えば、皆はまだ力不足だ。はっきり言えば足手まといなんだ。今回は遠慮してくれ」
「そんな! しかし、我々にも何か出来る事があるはずです!」
「ヴァルター、これは命令だ。軍人ならば命令の何たるかは理解しているな?」
「……… はい」
「これは無いと思うが、万が一、もし俺が戻らなかったら、セリーナ隊長の指示を仰げ。セリーナ隊長がクランの次席指揮官だ」
「… 了解しました」
「あぁ、そうだ。オークの魔石を渡してくれ。半分もあればいいだろう」
麻袋に入ったオークの魔石を受け取った。これだけあれば十分だ。
「ドラゴンは東から近づいてきている。西に一時間ほど走った後に真北に行けばガンツに戻れるだろう。ヴァルター、皆を頼むぞ」
「分かりました。アラン様…、どうか無理をしないでください」
「わかってるさ。まぁ、任せておけ」
(ナノム、長距離走行モードだ)
[了解]
東に向かって走り始めた。
もちろんドローンを使えば簡単にドラゴンは倒せるだろう。しかし、そうしたくはなかった。
ドラゴンが、グレイハウンドやオークのように人間を見れば、すぐに襲ってくるような魔物であれば、そうしたかもしれない。
しかし、あのドラゴンは違い、むやみに人を襲うことはしなかった。さっきの事も正当防衛と言ってもいいだろう。そんなドラゴンが我を失って人間を襲おうとしているならば、俺の手で止めたかった。
…… いや、本当にそうか? 俺はそんなにかっこいい人間だったか? もちろん俺はそんな人間じゃない。
ドローンが倒したものを自分が倒したと嘘をつくのが嫌なのか? 確かにそんな嘘はつきたくない。でも、それだけだろうか?
あのドラゴンは、生身では間違いなく人類世界で最強の生物だ。
今まで本気の全力で魔法を使った事は無かった。使う機会も必要もなかった。でも、いつかは全力で魔法を使ってみたいと思っていたはずだ。
あぁ、そうか… きっと俺はドラゴンを相手に自分の力を試したいだけだ。
よし、やってやる!
少し忙しくなり、更新が遅くなりました。
なんと67000ptを超えました!
皆様のおかげで、夢の総合累計300位以内に入れました! 有難うございました。
現在、284位! 次の目標は、すぐに落ちる心配のない200位以内でしょうかw
まったく人の欲望には際限がないですねw
ブックマークと評価を入れてくださった方、有り難うございます!
これからも宜しくお願いします!




