048. 旅の準備4
誤字、脱字、御指摘、感想 等もらえると嬉しいです。
朝食後、セリーナとシャロンは直ぐに出掛けていった。
予定ではドローンが離発着できそうな開けた場所に徒歩で移動。
ドローンに搭乗しシャロンが降下した脱出ポッドがあるアロイス王国へ。
脱出ポッドから物資を運び出し、ドローンに分散して積み込む。
セリーナが使用した脱出ポッドでも同様の作業だ。
俺の私服も持ってきたそうなので、この星で着られそうなデザインの服と下着を何着か持ってきてもらえるように頼んだ。
朝食後、俺とクレリアとエルナは、魔道具の納品だ。バースに宿の台車を借りて魔道具を積み込み、タルスさんの店に向かった。
予定を伝えていたので、店でヨーナスさんが待っていてくれた。早速、検品作業に取りかかった。一台づつ魔石を取り付けて動作確認をしていく。
「全て問題ありませんね。この木箱もよく出来ています。このまま販売する事も出来そうですね。ではこちらが代金になります」
そういって金貨六十枚の入った小袋を渡された。こちらも一応勘定した。
「確かに。有難うございます。明日、出発する事になりました。御手数ですが、明日の朝に出発出来るよう準備して頂けますか?」
「分かりました、明日の朝、こちらの店に来てもらえますか? それまでに準備しておきます。出来れば旦那様も出発前にご挨拶したいと言っていましたが…」
「あぁ、勿論です。この後にお伺いしようと思っていました」
「そうですか、有難うございます。では屋敷に向かいましょうか?」
「あぁ、実はリア達が馬を見たいといっているんですが、馬はこちらでしょうか?」
「そうですね、裏庭の厩舎にいますよ。こちらです」
ヨーナスさんの案内で厩舎に行くとわざわざ厩舎から馬を引き出してくれた。
「これはなかなかの馬達ですね! 若いし、これならば軍馬としても使えるでしょう。馬車で使うのは勿体無いくらいの馬ですよ」
本職の騎士のエルナに褒められてヨーナスさんも嬉しそうだ。
「馬の名前はなんというのですか?」とクレリア。
「こちらの茶がタース。こちらの黒がシラーです」
「いい名前ね。よしよし」
クレリアは馬が好きなのかな。俺もおっかなびっくり撫でてみる。よしよし。二頭共なかなか人懐っこいようだ。
それから十分くらいの間、馬を撫でてクレリア達も満足したようだ。ヨーナスさんと一緒にタルスさんの屋敷に向かった。
屋敷の商談室に通されると直ぐにタルスさんがやってきた。
「わざわざ来て頂いて有難うございます、アランさん。昨日はレシピを有難うございました。解りやすいレシピでウチの料理人でも作ることが出来ましたよ」
「いえいえ、色々とお世話になったささやかな御礼です」
「お世話になったのはこちらのほうですよ。しかし、アランさん達が居なくなると寂しくなります」
「あちらに着いて落ち着いたら手紙を書きます。これからも手紙だけでも、やり取りをしましょう」
「分かりました、そうしましょう。クレリア様、スターヴェークの情報を仕入れるなどと言っておきながら出来ませんで申し訳ありません」
「いえ、隣国とはいえ距離がありますから、仕方のないことです」とクレリア。
「情報とは言えませんが、少しだけなら分かった事もあります。ヨーナスから説明させましょう」
「まずはアロイス王国へと変わったことにより王国全体の農民に対する税率が変わりました。
スターヴェーク王国であったころの税率は五割だったのに対してアロイス王国では七割になりました。
人頭税も同じ割合で増税です。
さらに国から貴族に課せられている税率が、南部の貴族と北部の貴族では異なっているようで、北部貴族には過酷な税が課せられているようですね」
「どのくらいなのでしょう?」
「残念ながら正確な数字まではまだ突き止められていません。しかし、それに対応するために北部貴族の中には特別課税として通常の税とは別の税制を導入し始めた所領も出てきました。そのため民の間には領主や国に対する不満が徐々に高まりつつあります」
「そうですか…」
クレリアは目線を落として、申し訳なさそうな顔をしている。別にクレリアが何かしたわけじゃないだろうに。
「タルス殿、貴重な情報を有難うございました。この恩はいつか必ず」
「とんでもありません! クレリア様。この程度では情報とは呼べません。引き続き情報収集に努めます」
この後、今後の予定や料理の話などの雑談をしてタルスさんの屋敷を辞した。
クレリアとエルナは先程の話で少し暗くなっている。
「次は魔術ギルドに行ってこようと思うんだ。リアとエルナは宿に戻っていていいよ」
「そうはいかないわ。挨拶ぐらいちゃんとしなければ…」
このままついてくるというので一緒に魔術ギルドに向かい、支部長と挨拶をした。
「こんにちは、支部長。明日、出発することになりました。今までお世話になりました」
「ああ、そう。本当に残念ね。貴方は冒険者なんかより魔術師のほうが向いているのに…。でも仕方のない事ですね。そうそう! 昨日、アランの作った魔道具を使ってみたのよ! あれは売れるわよ! 正に盲点だったわ。何故今まで考えつかなかったのかしら」
支部長と魔道具談義を暫くした後に、失礼させて頂いた。リリーも寂しそうだ。結局、この支部では支部長とリリー以外の人間は見かけることは無かったな。
「あとは、冒険者ギルドのアミィさんぐらいかな。確か拠点を変える時には連絡しておかないといけない規則だったはずだ」
恐らく所在不明だと指名依頼とかに困るからだろう。
それに以前依頼したワイバーンの魔石の依頼もキャンセルすれば、依頼料の十万ギニーが帰ってくるはずだ。
冒険者ギルドに行き、この街を出ることをアミィさんに伝えた。
「そうですか、残念です。シャイニングスターの皆さんは実力者揃いだったので、これから依頼を受けて頂けると思ってたんですけど…。了解しました、情報を更新しておきます」
「それと、以前出したワイバーンの魔石の依頼の取り下げをお願いします」
「えーと、分かりました。……… ではこちらが保証金としてお預かりした十万ギニーです」
「確かに。ところで、ギルドで魔物の種類とかの情報って調べることって出来るんでしょうか?」
「あぁ、その資料であれば資料室にありますよ。あとは、こういった本もありますけど、物凄く高いです」
そういいながら棚から分厚い本を取り出した。
「見させて頂いても?」
「いいですけど、丁寧に扱ってくださいね。扱いが悪いと買い取りになってしまいますから」
渡された本を丁寧に開けてみると魔物の図鑑のようなものだった。丁寧に書かれた魔物の挿絵のようなものが書かれており、魔物の生息地域、簡単な習性や弱点、魔物の脅威度ランク、討伐の証拠となる部位の説明、売ることの出来る部位の説明、さらにその参考価格までが書かれているものだった。参考価格の日時は十年前の日付だったが、文字通り参考にはなるだろう。
「これはいいですね! この本は幾らするんですか?」
「なんと! 五万ギニーです! 私が知る限り、この支部では今まで売れた事はありません」
確かに高い! 馬車と同じ金額だ。しかし全て手書きみたいだし、一冊作るだけでも相当な工数がかかっているだろうから、記載されている情報料も考えると妥当だとも思える。
「みんな、どう思う?」
「これは是非とも欲しいですね。お金に余裕があるのであれば買うべきでは?」
「私もいいと思う」
さっき十万ギニーも戻って来たし、新しい文字も覚えることが出来る。これは買いだろう。
「これ、買います」
そう言いながら金貨五枚を差し出した。
「ええっ!? … 確かに。お買い上げ有難うございます」
一応、資料室も覗いてみたが、さっき買った本をバラして一ページづつ壁に貼り出しただけの部屋だった。離れたところから見るように近づけなくなっている。
おっと、防具屋のザルク、武器屋のジョーにも挨拶しなきゃな。それぞれの店に行き、街を離れる事を告げると、惜しみつつも鎧や剣の手入れ方法や、手入れ道具をサービスでくれた。
以前食べたシチューのような料理を出す食事処で、三人で昼食をとる事にした。やはりいい味だ。
「いい本が手に入ったな。これで冒険者を始められるな」
「私もスターヴェークにいる魔物しか知らなかったので助かります」
「どんな魔物が出てきても大丈夫なように今日から勉強しなきゃ」
食事を取りながら本を覗き込んでいるクレリア。高かったんだから汚すなよな。
昼食後は、食料の買い出しだ。市場に行って日持ちしそうな食料を買い込む。とりあえずベーコンとチーズ、バターは確保した。
「あとは何が必要だろう?」
「通常は干し肉や焼きしめたパン、それに乾燥豆ですね」とエルナ。
「なるほどな。では何も狩ることが出来なかった時の事を考えて一応買っておくか」
そういえば、目的地も行程も調べてなかったな。
(イーリス、目的地までのお勧めの行程を表示してくれ)
[こんな感じでどうでしょう?]
仮想ウィンドウに予定が表示される。
まず、目的地となる魔の大樹海に一番近い街、城塞都市はガンツというらしい。全部で十四日間の行程だ。簡易地図も表示されて野営するのに適した場所や、宿泊可能と思われる村などが表示された。
ふむ、では十日分くらい買えば十分だろう。小麦粉や米などは既にタルスさんの店で購入済だしな。
「俺が調べたところでは、目的地の城塞都市、ガンツまでは大体、馬車で十四日くらい掛かるらしい。米とかもあるし、十日分くらい買えばいいだろうな」
「事前にそんな事も調べてあるなんて、さすがはパーティーリーダーね!」
「まぁな。これくらい当然だろう?」
たった今、調べたんだけど事前に調べたという事には違いは無い。
干し肉や焼きしめたパン、豆、日持ちしそうな野菜を購入すると結構な荷物になったので宿に戻ることにした。買い忘れたものがあれば、また買いに出掛ければいい。
宿に着き、荷物を部屋に下ろすとそれなりに疲れてしまったので、食堂で御茶することにした。
「さて、買い忘れた物はないかな?」
「無いと思います。十四日程の旅であれば十分過ぎるくらいの物資がありますね」
この星の出身の常識人としてエルナが凄く頼もしい。それに比べてクレリアはさっき買った本に夢中だ。
エルナと他愛もない雑談をしていると、宿のドアが開かれ、文字通り全身に幾つものバッグを抱えたセリーナとシャロンが帰ってきた。
「只今、戻りました」とセリーナ。
二人共、疲労困憊といった様子でふらふらしてると言ってもよい状態だった。恐らく脱出ポッドにあった物資を持てるだけ持ってきたのだろう。
「なんだよ、連絡をくれれば迎えにいったのに」
って、そんな訳にもいかないか…。慌てて二人のバッグを持ってやった。とりあえず、荷物を部屋に運ぼう。
「セリーナ、この荷物は?」とクレリア。
「人に預けてあった荷物を引き取ってきたんです」
セリーナ達の部屋にみんなで手分けして運んだ。
シャロンから通信だ。
(役にたちそうな荷物だけを選んで運んできました。あの… クレリア達にも渡したい物があるんですが、渡してもいいですか?)
(ん? 例えばどんな物だ?)
(予備の電磁ブレードナイフや、服、…下着とか、…その他の用品とかです)
うん、なんとなく言いたいことはわかった。
(問題ないな。是非、渡してあげるといい)
二人はどうみても帝国製の合成繊維で出来たバッグを開けて荷物をベッドの上に広げ始めた。
「これを二人に渡したくて持ってきました」
そう言いながらシャロンは、二人に鞘に入った電磁ブレードナイフを差し出した。
「これは!? アランが持っているナイフと同じもの!?」
「あぁ、そうだな。大抵のものは切ってしまう魔道具のナイフだ。鉄でも何でも切れてしまうので扱いには十分に注意してくれ」
「これが魔道具? でも…魔石が付いていないのに…。まさかっ!? アーティファクト!?」とエルナ。
帝国軍制式採用の刃渡り三十センチくらいのコンバットナイフで、刃に何かが触れた時にだけ動作する省エネ設計だ。
「そんな上等なものじゃないけど、切れ味を維持するためには、たまに刃を日光に当ててやる必要があるな」
「そんな… やっぱりアーティファクトじゃ…」とエルナ。
「ありがとう! シャロン、セリーナ。試してみていい?」
「もちろん!」
クレリアは銅貨を取り出すと恐る恐るナイフを近づけて… なんの抵抗もなく銅貨を切った。まぁ、当たり前だな。
「すごいっ!」
「クレリア様! 私にもやらせてください!」
クレリアからナイフと銅貨の欠片を受け取ると同じようにして切っていく。
「凄い… 魔法剣じゃない。やはりアーティファクト。クレリア様、こんなものを受け取っていいんでしょうか?」
「いいんだよ。俺達はパーティーの仲間なんだぜ。仲間の装備が良くなることは皆の安全につながるんだ」
「分りました、これで皆を守ります。ありがとう、シャロン、セリーナ」
「こちらはアランの服です」
そう言いながら大きめのバッグをセリーナから渡された。
開けて中を覗くと予備の軍服や礼服、やや懐かしく感じる俺の私服、下着などが入っていた。地味なものを選んでくれたようだ。後で自室でよく確認しよう。
「これは助かるな。ありがとう、セリーナ」
「あと、これを持ってきました。きっとアランが気にいると思って…」とシャロン。
「どれどれ… これは!? 釣り道具じゃないか!」
バッグの中には三十センチくらいに短く収納された釣り竿が三本、これはリールと呼ばれる釣り糸を巻き取る装置を付けられるようになっており、竿の長さは二メートルくらいから五メートルくらいまで伸縮自在だ。これならリールを付けなくても餌釣り用の竿としても使えるな。
バッグの中には、三個のリールの他にルアーと呼ばれる疑似餌や、昆虫を型取ったフライがギッシリと詰まった道具箱が二つ入っており、その他にも、釣り糸や釣り針、その他諸々の道具が入った道具箱もあった。どう見ても素人が使う道具ではない。勿論、俺の私物ではないものだ。
(これはどうしたんだ? シャロン)
(乗組員の居住区画は、ほとんど無事だったので役に立ちそうなものをイーリスにピックアップしてもらい、持ってきたものです)
なるほど、乗組員の私物か。釣りを趣味にしていて思い当たる人の顔も何人か浮かぶ。有難く使わせて貰おう。
釣りは故郷の惑星にいた頃にやったことがあるが、ほとんど素人に近い。イーリスに教えて貰いながらやってみよう。しかし、これは良いものを手に入れた。魚を捕るまともな手段が無かったので非常に助かるな。
「ありがとう、シャロン。これは役にたちそうだ」
「アラン、それは何をする道具なの?」とクレリア。
「釣りをする道具だよ」
「つり?」
「魚を捕る道具だよ」
クレリアとエルナは釣りを知らないらしい。まぁ、お姫様や貴族のお嬢様だったら知らなくても当然か。
「適当な川があったら、今度釣りしてみようぜ」
「あと、これはライフルやレーザーのエネルギーパックです」と言いながらバッグを差し出す。
「あぁ、分かった。預かろう」
確か、それぞれ二十五個づつ持ってきたと言っていたので、二人分で五十個。十分な量だ。
セリーナやシャロンが女物の服をバッグから取り出し始めた。俺は席を外したほうが良さそうだ。
「俺は荷物を部屋に置いてくるよ」
「「わかりました」」
自分の部屋で釣り道具などの確認をしていると、隣のセリーナとシャロンの部屋から時折歓声が聞こえてくる。皆が仲良くなってくれてなによりだな。
ノックがされ返事をするとバースだった。
「アラン、今日の夕食は少し遅くてもいいか?」
「あぁ、別に構わないよ。忙しいのか? 何なら手伝うけど?」
「いや、早めに客にメシを食わせてから、出来たらお前らと宴会でもやりたいと思ってな」
「おお! いいな、それ! じゃあ、俺も厨房を手伝うよ」
「あぁ、そう言ってくれると思ってたぜ、アラン」
皆に夕食は遅くなること、厨房にいることを伝えて厨房で夕食と宴会の手伝いを始めた。
バースは主に宿の晩餐用の準備、俺は主に宴会用の料理の準備だ。
宿泊客にも、今日のラストオーダーの時間が早まっていることが伝えられているようで、早めに食事をとる客が多い。いつもよりかなり早い時間で宿泊客の食事が終わった。勿論、それに合わせて宴会料理は完成した。
部屋にみんなを呼びにいき、宴会のメンバーが揃った。俺達五人とバース、奥さん、サラちゃんの八人だ。
みんな宴会料理を見て歓声を上げる。みんなそれぞれ好きな飲物を手にすれば宴会の開始だ。
バースがエールを片手に立ち上がった。
「アラン、お前さんのおかげでこの宿の料理は劇的に変わった。
この宿が今、繁盛しているのはお前のおかげだ。本当に感謝してる。
お前とお前の仲間はいつでもこの宿にタダで泊まってくれ。歓迎するぜ!
居なくなるのは寂しくなるが、冒険者としての気持ちも判るから止められねぇ。
じゃ、この宿の益々の繁盛と、お前達のパーティー、シャイニングスターの活躍を祈って乾杯だ!」
「「「乾杯!!」」」
「凄く美味しそうな料理ばかりですね!」とシャロン。
今日の宴会料理は、鶏の唐揚げ、ポテトフライ、エビフライ、フィレオフィッシュ、塩とタレの焼き鳥、ビックボアの角煮、ポテトサラダ、大根サラダ、各種野菜のベーコン巻き、トマトとチーズのカプレーゼだ。
なんともまとまりのない感じになってしまったが、店にある食材に合わせたらこんな感じになってしまった。それもバースが大量に作れというので、この人数じゃ食べきれない程の量だ。
「本当にどれも美味しそう!」とサラちゃん。
みんな嬉しそうに料理を食べていく。頑張って作った甲斐があったな。
「おい、アラン。この角煮という料理は絶品だな」
「あぁ、美味いな。一番時間を掛けたからな」
角煮は長時間煮込んだおかげでトロトロになっている。
「なぁ、この料理だが…」
「わかってるよ、レシピは出発までに用意しておく」
「さすがはアランだぜ! さぁ、今日は俺の奢りだ、じゃんじゃん飲もうぜ!」
宴会が始まって二時間も経つともうみんな結構酔っていた。宴会はここで一度、締めたほうがいいだろう。
厨房にいって冷蔵の魔道具から蒸しプリンを人数分取り出すと、みんなに振る舞った。
「わー! これが甘味なの?」とサラちゃん。
「お、プリンではないか! アラン、でかした! 褒めてつかわす」
「はいはい、姫様にお褒め頂き光栄の極みに御座います」
「うむ、苦しゅうない。美味い! アランにこれを毎日作ることを命じる!」
「断るっ!」
「もう! リア様、飲み過ぎですよ!」
「わはは! 飲むとなかなかおもしれー嬢ちゃんじゃねぇか! なかなか堂に入っていて本物の姫様みたいだぜ」
「…そうだな。 飲み過ぎだ。ここらで一回締めるか。バースはまだ飲むだろ?」
「あぁ、宴会なんて本当に久しぶりだからな。もうちょい付き合ってくれよ」
「私達も少し飲み過ぎました。もう眠いので部屋に戻りますね」とシャロン。
まだ飲むと騒いでいるクレリアを連れてみんなは部屋に戻っていった。
あまり飲まなかった奥さんや、サラちゃんがツマミを残して片付けてくれたのでバースと二人でまた飲み始めた。
どうしても料理の話になり、俺は今までに食べた絶品料理、故郷の惑星ランセルの黄金亀の卵、タコに似た生物タレッテの踊り食い、超高級マツザカのステーキ、刺身、ウニ、イクラ、そして寿司の作り方や、その旨さの話をした。
バースは時折、声をあげて感心しながらも、うっとりと聞いていた。
「あぁ、世の中は広いな、アラン。まさかそんな食材や食べ方、料理があるなんてなぁ…」
「あぁ、本当に世の中は広いぜ。たぶんバースが思っているより、ずっとな」
おっと余計なことを言ったな。俺も酔っ払ってしまったようだ。
日付が変わる頃には流石に二人とも眠くなって、宴会はお開きとなった。




