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045. 旅の準備2

随分と久しぶりの投稿です。少しづつでも書いていきますので良かったら読んでください。

誤字、脱字、御指摘、感想 等もらえると嬉しいです。



 タリーの店で昼食をとった後に、一度宿に戻って鎧など用意した後に、いつものように郊外の練習場所に向かった。


 セリーナ達も木刀を欲しいというので、クレリア達が木刀を買ったという近くの店で購入した。初めての木刀が珍しいのか、振り回して二人共嬉しそうだ。町中なんだから危ないしやめて欲しい。


「アラン、セリーナとシャロンの剣の腕前はどれくらいなの?」とクレリア。


「そうだな…」 なんて言おう。


「私達なんて全然大したことありません。剣を持つのも物凄く久しぶりなので、基本的なところから練習し直そうと思ってます」とシャロン。


 まぁ、確かにコリント流剣術の知識をアップデートしたからといっても、すぐに俺と同じレベルで剣が使えるようになるとも思えない。これでも俺は故郷の星では元世界ランカーだしな。


「そうなのか… シャロン、もしよかったら私も一緒に練習させてもらえないだろうか? コリント流剣術を基本的なところから学びたいと思っていたところだ。アランはあまり教え方が上手いとは言えないからな」


 うーん、確かに積極的に剣術は教えてこなかったが、それは俺流の剣術よりクレリアが今まで学んできた剣術のほうがちゃんとしていて優れていると思っているからなんだけどなぁ。


「もちろんいいですけど、本当に基本的な事からですよ」


「望むところだ。よろしく」とクレリア。


「それでは、私も御一緒させてください。私もアランの剣術には興味があります」とエルナ。


 どうやら皆でコリント流を学ぶ事にしたようだ。物凄く恥ずかしいので出来ればやめて欲しい。




 いつもの練習場所に到着するとシャロンによるコリント流剣術の授業が開始された。


 シャロンは、コリント流剣術のコンセプト、基本的な構え、歩法、ステップなどを説明し、セリーナが実演していく。

 基本的な構え、歩法などは勿論、ゲームのデフォルトのものだ。


 それにしてもシャロンはデータをまとめるのが上手いな。よくまとまっていて凄く分かりやすい。思わず一緒になって聞き入ってしまった。


 クレリアとエルナも剣術経験者だけあって基本的な事は難なく物にしていく。


「次は、コリント流でコンボと呼ばれている連続技です」


 シャロンが説明しながらセリーナが実演していく。今、実演しているコンボはコリント流ではなく、ゲームに組み込まれているデフォルトの技だ。


 練習のほうはシャロンとセリーナに任せておけば良さそうなので、一人で魔法の練習をおこなう事にした。


 今、取り組んでいるのは魔力センサーの機能向上だ。イーリスから幾つか技術的な提案があったのでそれを試しているところだ。試すと言っても、ハードウェアの改良はナノムが構築済だし設定も勝手にやってくれるので、ほとんどすることはない。


 数時間にわたり、いろいろと実験をおこなった結果、魔力センサーの感度を約三十パーセント程向上する事が出来た。やはりイーリスの提案は有効だったようだ。


 皆も剣術の稽古で大いに得るものがあったようで今日の所は練習を終了して街に戻ることにした。


「シャロンとセリーナの剣の教え方は上手いな。アランとは大違いだ」とクレリア。


「そうですね。私もやっとコリント流剣術というものが、どういうものか少し分かったような気がします」とエルナ。


 二人共酷いな。そんなに俺の教え方は下手なのか?


「私達の剣の腕はまだまだなので、もっと上級編になったらアランに教えてもらいましょう」とシャロン。


 うーん、それだけは勘弁して欲しい。




 宿に着いて一休みするともう夕食の時間だ。食堂に集まるとさっそく料理が運ばれてきた。今日のメニューは天ぷらと鱒のフライのようだ。フライにはタルタルソースが添えられている。


 うーん、昨日はトンカツと唐揚げで、今日は天ぷらとフライか。同じ揚げ物だけど、一緒に出てくるとなんか違和感があるな。一度、バースと話し合ったほうがいいかもしれない。


 とは言っても美味いものは美味い。それに最近ではこの宿の料理はこの辺りでは評判で、やっぱり宿泊客も揚げ物料理という変わった料理のリクエストが多いらしいので、仕方のないことかもしれないな。


 みんな夢中になってお替りをしていた。


「ふーっ。美味しすぎてまた食べ過ぎてしまいました。やっぱり地球の料理は評判になるだけのことはありますね」とシャロン。


「これらの料理は、アランの国のチキュウという地方の料理なのね?」とクレリア。


「そうだな。正確には地球の日本という場所の料理だな」


「ほう、アランはそのニホンという場所の料理に詳しいということね」とクレリア。


「そうだな。といっても日本の料理だけじゃなく。いろんな地方の料理のレシピも沢山覚えているけどな」


「そう、ではこれからの食事もずっと楽しめそうね」




 食事が終わったら俺は内職の時間だ。セリーナとシャロンも手伝ってくれるというので遠慮なくお願いした。二人共、なんかやる気に満ちている。


 作業内容は紙に魔法陣を描き、指定された魔導液で塗っていくだけの作業だ。ナノムのサポートがあれば紙に仮想の線を引いてくれるのでそれをトレースするだけの只の塗り絵なので、問題ないはずだ。


 魔法陣用に切った紙に寸法や仕様を纏めたイメージを作成してナノム経由でセリーナとシャロンに伝えると二人共問題なく描き始めた。問題ないようだ。


 三十台分の魔法陣は二時間程の作業で描き終えてしまった。やはり三人だと全然違うな。


 魔導線なども既に用意してあるので、あとは筐体やスイッチが下請け工房から仕上がってきたら組み付けるだけで完成だ。


 セリーナとシャロンに礼を言って筐体が届いたら、また手伝って欲しいと伝えた。二人共あまり魔法っぽい作業じゃなくて期待はずれだったのか。作業開始前の勢いは無くなっていた。


 明日から旅の準備だ。風呂に入って今日は寝てしまおう。




 翌朝、すっかり朝食の定番メニューとなった具沢山のサンドイッチを食べ終わると、皆でタルスさんの店に向かった。皆も色々と必要な私物を買う必要があるだろう。


 店に着くと既にヨーナスさんが居た。店の前には馬無しの馬車が止まっているし、色々と準備してくれていたようだ。


「お早うございます。ヨーナスさん」


「お早うございます。アランさん。皆様もお揃いで。早速ですが、こちらの一角に旅に必要となりそうな品を揃えてみました」


 見ると実に様々な品が大きな台の上に置いてある。大きな布を折りたたんだもの。食料品やガラス瓶など説明を受けなければよく分からないもので盛り沢山だ。


「流石に馬車は新品は直ぐには用意出来ないので、中古品になります」


 ヨーナスさんは中古品と言っているが、結構真新しく作ってそう時間が経っているようには見えない。


「中古という割には綺麗ですね」


「そうですね。ウチの商会で使っていた二頭立ての馬車で、まだ使い始めて一年は経っていないものです」


「いいですね。馬車はこれに決めます。馬は用意出来るのでしょうか?」


「ざっと調べたんですが、良い馬が見つからなかったのです。勿論、出発までには用意しますよ」


「すいません。では、よろしくお願いします」


 その後、お勧めの商品の説明を受けながら購入する品を決めていった。このメンバーではエルナが一番こういった事に詳しかったので、ほぼヨーナスさんとエルナにお任せだ。


 お勧めの商品の他にも、俺は、鍋や、火の魔道具などの調理器具と調味料関係、他のみんなも小物や雑貨などの購入を決めていく。当然の事だが、最終的には馬車でないと運べないような結構な量になった。


 買い忘れたものがありそうだが、ベックとトールと一緒に旅をしていた時と比べれば格段に物資は充実しているので問題はないだろう。


「全部でお幾らになりますか?」


「まだ馬が見つけられていないので、お支払いは出発の日で結構ですよ。馬車も荷物もそれまでお預かりしましょう」


「あぁ、それは助かりますね。ではそれでお願いします」


 良かった。今は手持ちの金が少ないので、そうして貰えると凄く嬉しい。


「ところで、タルスさんは御在宅ですか? もし良ければ、この後に魔術ギルドの支部長を御紹介しようと思っているんですが」


「おりますよ。では屋敷でお待ちしています」


 クレリア達は衣類などの店を周りたいとのことで別行動をとることにした。




 魔術ギルドに着くと支部長は一張羅らしい服を着て既に待機していた。


「お早うございます、支部長。タルスさんは御在宅とのことですから、今から挨拶に行きましょうか」


「おはよう、アラン。待っていました。あぁ、緊張する! 今日はこの支部の運命の日よ。アラン、何かあったらフォローしてね」


「分かりました。でもタルスさんはとっても気さくな人なので、問題ないと思いますよ」


 支部長は屋敷に行くまでに口数も少なく本当に緊張しているようだ。

 いつものように屋敷の前でウィリーが掃除をしていたので声を掛ける。


「よう、ウィリー。タルスさんと約束があるんだけど?」


「聞いてますよ、アランさん。商談室へどうぞ」


 直ぐに商談室へ通された。


「アラン、随分と気安いのね」と支部長。


「ここには少し前に二日ほど泊めてもらいましたからね」


「… 信じられない。この屋敷に泊めてもらうなんて…」


 商談室のテーブルには俺が作ったドライヤーが置いてあった。

 直ぐにタルスさんとヨーナスさんがやってきた。それと同時に御茶も出てくる。


「お早うございます、タルスさん」


「初めまして。この街の魔術ギルドの支部の長をしております、カーラといいます。本日はお会いして頂き有難うございます」


 そういえば、支部長の名前はカーラというんだった。いつも支部長、支部長と言っていたので意外な感じがする。


「初めまして、カーラさん。私がタルスです。こちらは店を任せているヨーナスです。わざわざ来て頂いて有難うございます」


「早速ですが、今回お納めする魔道具の保守は、ギルドの支部長が引き受けて頂けることになりました」と報告する。


「そうですか、それは安心ですね。アランさんのお話では、あの魔道具を新たに作ることも御出来になるとか」


「はい、あの魔道具であれば何の問題もありません」と支部長。


「むしろ、支部長は私の師匠なのでもっと良い物が出来ると思いますよ」


 と一応フォローしておこう。


「それは頼もしいですね。では早速で申し訳ありませんが、アランさんに頼んだ分とは別に追加として三十台ばかりお願いしたいんですけど問題ないでしょうか?」


「勿論、問題ありません。同じものでよろしいですか?」


「いえ、アランさんに作って頂いたこれはこれで全く問題ないんですけど、貴族の方に向けてもっと高級に仕上げて貰いたいんです」


 確かにこれは自分達で使う物として作ったものだから貴族が使うような品ではないかもしれないな。


「貴族向けに…。分かりました。以前そういった魔道具を手掛けた事があります。問題ないでしょう。試作品をお持ちしますので、一度見て頂きたく思います」と支部長。


「おぉ、そうして頂けると助かります。そうですね…、魔石抜きの価格で四万ギニーぐらいの卸値で考えて作って頂きたいですね」


 おお! 俺が作ったヤツの二倍なのか。結構な高級品となりそうだ。三十台だとすると総額百二十万ギニー。


 チラっと支部長を見ると口元がピクピクしている。きっとニヤけるのを我慢しているんだろう。


「分かりました。全く同じ造りというのもつまらないですね。出力を調整出来るようにしましょうか?」と支部長。


「と言いますと?」とヨーナスさん。


「ここに上下する機構を付けて温風の量を調節出来るようにするのです」


 なるほど、料理用の火の魔道具と同じようにするのか。確かにその方が使いやすそうだ。


「おぉ! それは良いですね! 是非、その機能を付けてください」とヨーナスさん。


 その後は、支部長とタルスさん、ヨーナスさんで、材質や仕上げの話をし始めたが、俺にはなんの事やら分からない話なので大人しく話を聞いていた。三十分程で話がまとまった。


「それでは出来るだけ早く試作品をお持ち致します。お伺いする際は御店に伺えばよろしいですか?」


「いえ、この屋敷に来て頂いて結構ですよ。もっとも不在の場合もありますが」とタルスさん。


「分かりました。ではそういたします」


「では、タルスさん。有難うございました」と一応挨拶をしておこう。


「いえいえ、こちらも良い人を紹介して頂いて有難うございます。流石はアランさんの師匠という方ですね。今後とも宜しくお願いします」


 それを聞いて支部長もニッコリだ。支部長とタルスさんの屋敷を後にする。


「アラン、夢じゃないのよね? 一度の取引で百二十万ギニーよ! しかも、今後はタルスさんとの直接取引なんて…。信じられない」


「良かったですね。これで私も心置きなくこの街を離れられます」


「そういえば、アランはこの街を出てしまうのよね…。アラン、少し手伝ってくれないかしら。あの魔道具の魔法陣の下書きでもやって貰えたら凄く助かるわ」


 魔法陣の下書きか… 全く問題ないな。魔法陣だけなら描こうと思えば一枚三分ぐらいで描ける。魔法陣は描くより魔導液で塗るほうが時間がかかるからな。


「良いですよ。何枚くらい描きましょうか?」


「出来るだけ沢山。一枚千ギニーでどうかしら?」


 別に無償でも構わないが紙代にインク代も掛かるか。


「一枚、百ギニーで良いですよ。沢山と言ってもどれくらいですか? 百枚でも二百枚でも描けますよ?」


「… アラン、いくらなんでも安すぎますよ。余り安い価格設定は他のギルド会員にも迷惑となります。千ギニーにしなさい。枚数は五十枚としましょう」


「分かりました、有難うございます。旅の準備で物入りだったので助かります」


 千ギニーが五十枚で五万ギニーか…。たった二、三時間の作業でそれだけ貰えるなんて金銭感覚が麻痺しそうだな。


「いいのよ。貴方は我が支部の救世主なんだから。出発するまでに用意して貰えればいいわ。さぁ、私はこれから忙しくなるわ。とりあえず、工房の親方に相談しにいかなくては…」


 支部長は忙しそうなので、途中で別れて宿に戻ることにした。



 宿に着いたがクレリア達はまだ買い物から戻っていないようだった。サラちゃんに御茶を頼むとバースがクッキーを持ってやってきてテーブルに座る。


「よう、アラン。旅の準備は進んでるのか?」


「ああ、問題ないな。早けりゃ三日後に出発だ」


「そうか、残念だな。アランにはもっと料理のレシピを教えて貰いたかったんだがな」


「悪いな、急にこんな事になってしまって。そうだ、今日の午後、良ければ付き合ってやるよ。色々と料理を作ってみないか?」


 バースにはいろいろと世話になった。少しでもその恩を返したい。


「おおっ! さすがはアランだ! そう来なくっちゃな。じゃ、午後には市場に一緒にいって食材を買い込みにいこう」


「いいな! そうしよう。じゃ、ついでに昼飯も手伝ってやるよ。今日のメニューは何なんだ?」


 バースの宿の食事は客のオーダー制ではなく基本的にお任せの食事内容だ。バースの気分次第でメニューが決まる。


「そうだな。チャーハンとスープにしようかと思っていて、スープはもう出来てるし、米を大量に炊いてある」


 バースと一緒に厨房にいって食材を確認する。


「何人前ぐらい作るんだ?」


「そうだな。外に食べにいく客もいるから十五人前くらいでいいだろうな」


「じゃ、オムライスという料理を作ろうと思う。チャーハンと似た料理だけど味付けや見た目が違うな。まずは試しに作ってみよう」


 トマトと卵が大量にあるのでちょうどいい。


 まずはオイルでガーリックのみじん切りを炒め香りが出たら、みじん切りの玉ねぎを炒め、さらに大量のトマトを細かく切って煮込む。いい感じに煮詰まって塩、胡椒、砂糖で味を整えたら、即席トマトソースの完成だ。


 鶏もも肉を細かく切って炒め、合わせて玉ねぎのみじん切りを炒める。ライスを混ぜ、よくなじませる。味付けは常備しているトマトケチャップと塩、胡椒。隠し味で醤油を少し。これでチキンライスの完成だ。とりあえず皿に避けておく。


 いよいよ、オムライスを作っていく。卵を溶き、フライパンに薄く伸ばしながら焼いていく。目指すのはあくまでもフワフワ、トロトロの卵焼きが載ったオムライスだ。いい感じになってきたら皿に避けていたチキンライスを卵の薄焼きの上に載せ、慎重に包み込んでいく。フライパンを叩くようにして完全に包み込む。どうやら上手くいったようだ。


 皿に盛り付け、先程作ったトマトソースをたっぷりかけて、ハーブを散らせばオムライスの完成だ。


「ざっと作り方はこんな感じだな。早速、味見してみようぜ」


「おう! こりゃ美味そうだ」


 卵がふわっとろっとしていて、中のチキンライス、上に掛かったトマトソースとの相性もいい。満足出来る出来だな。


「こりゃ美味いぜ、アラン! しかし、こんな変わった見た目の料理は初めてだよ。こりゃ評判になること間違いなしだ」


「気に入ってくれて嬉しいよ。この料理のコツはやっぱり卵で包み込む時に半熟で仕上げる所だな。少し練習してみたらどうだ?」


「そうだな。やってみよう」


 さすがに一回では上手くはいかなかったが、二回目になると上手くやってのけてみせた。流石は一流の料理人だ。


 オムライスのアレンジとしてオムレツや別の卵の巻き方などを話し合っていると早めの昼食のオーダーが入り始めた。


 バースと二人で黙々とオムライスを作り始める。たった数回作っただけでバースのオムライスは完璧だ。


「お客さん達、凄く驚いていて、美味しいって評判いいですよ」とサラちゃん。


「だろうな。アラン! じゃんじゃん作ろうぜ!」


「分かった。たまにはこういうのもいいな! 凄く楽しい!」


「だろ? アラン、冒険者なんか辞めてウチで働けよ」


「いやいや、仲間もいるし、やりたい事もあるからそうもいかないよ」


「ま、そうだろうな」


 今まで自分や友人のためにしか料理は作ってこなかったが、店で客のために料理を作るっていうのも新鮮で、やり甲斐があって楽しい!


 二人で十人前以上のオムライスを作った頃、サラちゃんが厨房にやってきた。


「アランさん、リアさん達が帰ってきましたよ」


「お、そうか。じゃちょっと行ってくる」


 クレリア達は買い物した荷物を持っていて丁度、帰って来た所のようだ。


「あぁ、アラン。遅くなってすいませんでした。買う物がなかなか決まらなくて」とセリーナ。


 他のみんなも申し訳なさそうにしている。むしろ、そんな買い物に付き合わされなくて助かった。


「全然いいよ。今日はここで昼食にしよう。というか料理作ってるから食べてみてくれ」


「分かりました、 直ぐに荷物を置いてきます!」


 厨房に戻って早速、オムライスを作り始める。


「バース、悪いけど今日はここで昼を食べるよ」


 この宿の昼食は宿代には含まれていないので、普段は出来るだけ外食するようにしていた。と言っても宿代も払ってはいないんだが…。


「何言ってんだ、水くさいぜ。好きなだけ食ってくれよ」


 バースと二人で五人前のオムライスを作り上げ、食堂に運んだ。みんなもう席に着いている。


「ほう、これは!? 卵料理なの?」とクレリア。


「どっちかと言うと米の料理だな。ま、とりあえず頂こう」


「これはっ! 卵の中にチャーハンが!?」とクレリア。


「まぁ、チャーハンみたいなものを卵で包み込んだ料理だな。オムライスっていう料理なんだ」


「おむらいす… 、さすがアラン。この料理も抜群に美味しい!」


「本当に美味しいです! 半熟卵のトロトロがたまりません!」とセリーナ。


 評判は上々のようだ。みんな夢中で食べている。クレリアのは大盛りに作ったがあっという間に無くなりそうだ。


「悪いけど午後は、バースに付き合って料理を教えようと思ってるんだけどいいかな?」


「アランの好きにしていいと思うけど? この宿の主人にも世話になったし…」とクレリア。


「では、私達は昨日と同じく剣の稽古をしに行きます。明日か明後日には冒険者ギルドにいって登録しておきたいんです」とシャロン。


 そういえば、セリーナとシャロンは、まだ冒険者登録をしていなかったな。評価試験対策で練習しておきたいということか。


「では、私とエルナもそれに付き合おう」とクレリア。


「そうか、じゃ午後は別行動だな」


 皆は、あっという間にオムライスを完食し、御茶を貰って一息ついたら剣の鍛錬へと出掛けていった。




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