037. 出会い1
基礎魔道具作製講習を終えて十日がたった。
ギルドに売ってしまった物を混ぜる魔道具は、一日で組み立てが終わった。
完成した魔道具をバースにあれこれと自慢していたら、五万ギニー出すから売ってくれとせがまれて大変だった。しょうがないので原価プラス手間賃込みの金額の一万ギニーで売ってしまった。バースはこんな凄い魔道具がたったの一万ギニーで買えたと大喜びだ。俺用にもう一台作らなきゃいけないな。
これがあればミンチ肉を作るのは格段に楽になるのでメンチカツやハンバーグ、混ぜるのが大変なマヨネーズを作るのは格段に楽になるだろう。
ドライヤーの魔道具も構造が単純なため、三日で作ることが出来た。
筐体とスイッチは外注したが、その他のパーツは揃っていたのでそんなに手間はかからなかった。費用はクレリア達用と自分用の二台分で三千ギニーぐらいだ。
クレリア達に披露すると早速効果を把握したようで絶賛してくれた。作った甲斐があるというものだ。
魔術ギルドで見た魔道具一覧のリストにドライヤーは無かったし、この魔道具を売り出せば、大ヒットするかもしれないな。魔術ギルドとの関係が変な感じになってしまったのが悔やまれる。なんとかする手段を考えよう。
昼食は、気分を変えてタリーの店とは別の店で取ることにした。バースに評判のいい店を訊くと快く教えてくれた。バースもたまに行くらしい。
冒険者ギルドのすぐ近くにあるらしいので早速行ってみよう。
そういえば、冒険者ギルドに依頼を出して一ヶ月経った。毎日チェックしているが未だ成果はない。クレリアの関係者がいるかもしれないのでギルドをチェックする時は、ちょっとドキドキだ。
お、あの店だな。繁盛店らしく客が結構入っている。バースの話だとシチューのような料理が看板メニューとのことで非常に楽しみだ。
店内は満員のようで、店の前のテラス席のような所に案内された。たまにはこういう席も雰囲気があっていいな。
セリーナは街へ入るための列に並んでいた。
「ここがゴタニアの街…」
セリーナが呟くと前に並んでいた行商人のような男に怪訝そうな表情で見られた。別に行商人にそんな顔で見られても全然気にならない。
街に入るための銀貨を支払い、とりあえず冒険者ギルドを目指す。街の子供達に銅貨を投げ与えてギルドの場所を訊いた。結構近くにあるようだ。
ああ、あの建物か。子供達に聞いた特徴の建物が見えてきた。その建物を目指して歩いていると、ある光景が視界に入ってきた。
「あれは!? まさか!」
間違いない! ついに私は見つけた! あぁ、やっと見つけることが出来た。やっぱりゴタニアにいらっしゃったのだ。
やはり私は正しかった。シャロンとの勝負に勝った!
そうと分かれば、いち早く御挨拶しなければならないが、このような旅支度の格好で会うことは出来ない。宿を取ってちゃんとした格好に着替えよう。
丁度、これから食事をとるところらしい。急げば食事を終えるまでに、お会いすることが出来るだろう。
それにしても一緒にいるアイツは何なのだ!? やけに親しそうにしている。あぁ、こういう事態を一番恐れていたのだ。悪い虫がつくことを。まぁいい、私が来たからには早急に是正すればいいだけだ。急ごう。
◇◇◇◇◇
ふぅー、美味かった。評判になるのも納得だ。クリームシチューのような料理で、二十五ギニーとちょっと高めだが、納得の価格だ。混んでいて料理が出て来るのも遅かったが、それでも来る価値はある。贔屓の店にしよう。
「美味かったな、正直ここまで美味いとは思わなかった」
「確かに美味しかった。でも私はアランの料理…」
どうしたのかとクレリアを見ると驚愕の表情で、俺のほうを見ている。いや俺の後ろか。リアの隣に座るエルナも同じ表情をしている。
後ろから若い女の声が聞こえてきたが、何を言っているのか分からない。
いや、違う! これは帝国公用語だ! 驚きで身が固まる。
「失礼します、閣下」
女の声はそう言っていた。ゆっくりと後ろを振り返ってみる。
すると帝国軍の制服に身を包んだ若い女が立っていた。宙軍式の敬礼をしている。
「セリーナ・コンラート准尉、着任の御挨拶に参りました」
どういう事だ!? 救援が来たのか? それにしては早過ぎる。准尉? そんな階級は聞いたことがない。あぁ、頭が混乱してパニックだ。
「しょ、所属は?」
あぁ、間違えてこの星の言語で訊いてしまった。彼女には伝わらないだろう。
「赤色艦隊 スピカ方面軍 第二百三十八艦隊 二番艦 イーリス・コンラート所属 宙兵隊 情報第一小隊です」
俺の小隊だ! もちろん俺の部下にこんな隊員いない。一体どういう事だ!? イーリスは健在なのか?
しかも、彼女はこの星の言語に切り替えて話していた。
「イーリスは健在なのか?」
「勿論です。ずっと閣下を探しておりました」
(彼女をスキャンしろ! フルスキャンだ!)
最初に思いつくべきだった。彼女が俺の小隊の、いやイーリスの乗組員だというのなら、俺の方が権限は上のはずだ。フルスキャン出来るはず。
[完了しました]
(彼女の言っている事は本当か?)
[はい。イーリスは健在です。彼女のIDも帝国発行の正規のものです]
そうか、イーリスは健在なのか。よかった。
帝国発行のIDは偽造することは出来ない。彼女は俺と同じ生存者ということか? 改めて彼女を見てみる。ブロンド、青い目、凄い美少女だ。何処かで見た顔だが思い出せない。
とても若く見える。十八歳で入隊して乗艦したとしても、出港したのは二年前だ。とても二十歳とは思えない。クレリアと同じくらいの年齢に見える。
いや、これほどの美少女ならば艦で噂になったはずだ。俺が知らないはずはない。
あぁ! 彼女の姓はコンラートだ! 何処で彼女の顔を見たことがあったのかも分かった。
AIのイーリスが模している帝国軍の英雄イーリス・コンラート准将をそのまま若く、幼くした顔だ。髪型が違うので気づかなかった。
あぁ、非常に悪い予感がする。恐らく予感は的中しているだろう。それしか考えられない。
やっと少し落ち着いてきた。あぁ、そういえばリア達もいたんだよな。
「あの、アラン?」
「ああ、すまなかった。彼女は俺の部下だった者だ」
「部下って?」
「後で詳しく話すよ。セリーナ、昼食は食べたのか?」
「はい、この街に入る前に非常用固形食を食べました」
「じゃあ、俺が泊まっている宿で話をしよう」
「了解しました」
「リア、悪いけど今日の練習は中止だ」
「わかっているわ」
四人で宿に向かって歩く。セリーナが着ている帝国軍の制服のせいで凄く目立っていた。
(准尉ってなんだ? そんな階級は聞いたことがない)
[准尉は特殊な状況でないと任命される事のない階級ですが、正式な階級です。上級曹長の上の階級になります]
少尉の下ということか。
(特殊な状況って何だ?)
[任命権のある人間が不在で、さらに連絡も取れない状況下では、巡洋艦以上のAIは帝国軍人員、又は入隊希望者を任命することが出来ます。准尉は現在ではAIしか任命しない階級です]
それは知らなかったな。まぁ、そんな状況はほぼあり得ないからな。
(何故、准尉なんだ?)
[AIに士官は任命できません。准尉はAIが任命出来る最高位の階級です]
なるほど、そういうことか。
士官になるには、俺のように航宙軍学校にいく事が必須だ。下士官が士官になる場合も一緒だ。俺がいっていた航宙軍学校の同じクラスにも中年の上級曹長がいた。そして、航宙軍学校を卒業すれば全員が少尉だ。
クラスメイトの曹長によると上級曹長に昇進して何年かすると士官になるかどうか打診されるらしい。イエスと答えれば航宙軍学校へ、ノーと答えれば一生、上級曹長止まりらしい。准尉がいない訳だ。
考え事をしている間に宿に着いた。バースがセリーナを見てギョッとしている。俺の部屋に行こう。
「リア、悪いけどセリーナと二人だけで話をさせてくれないか?」
「…… 分かった」
セリーナと一緒に部屋に入る。
「さて、幾つか確認したいことがある。通信機は持っているのか?」
久しぶりの帝国公用語だ。なんか変な感じがする。
「勿論です。オンライン状態です。やはり閣下は通信インターフェイスを閉じているのですね。コンラート大尉がその可能性を指摘していました」
コンラート大尉? あぁ、イーリスのことか。
「ああ、そういえばそうだな。意識して閉じたつもりは無かったが、癖で閉じたのかも知れない。それとな、セリーナ。閣下っていうのは止めてくれ。俺はそんな大層なものじゃないからな」
「しかし、艦長は将官です。そう呼ばれる資格をお持ちです」
そうなのか? 俺が将官? そういえば艦長になった覚えはあるが階級も上がったのだろうか? ステータスを確認してみると階級が准将に変わっていた。この俺が将官か、世も末だな。
「とにかく、閣下も艦長も禁止だ。この星にいる間はアランと呼んでくれ」
「了解しました。… アラン」
「少しイーリスと話してみる。そこの椅子に座って待っていてくれ」
通信インターフェイスを開くと自動的にセリーナの持っている通信機とナノムがリンクした。秘匿回線でイーリスに接続する。
(イーリス)
仮想ウィンドウ上にイーリスの顔が現れた。
[お久しぶりです、艦長。御無事なお姿を拝見し嬉しく思います]
(ああ、心配かけたみたいだな。てっきりイーリスは艦の再構築に失敗したと思っていた。生命体のいる惑星に物を投棄するのは軍規違反だぞ)
[勿論そうです。しかし、艦長は第一級非常事態を宣言しました。軍規よりも艦長命令が優先されます]
(そうなのか? まぁいい。俺もイーリスが健在で嬉しい)
[まぁ、有り難うございます]
(それでセリーナの事だけどな、彼女はどうしたんだ?)
[御想像の通りです。医療セクションに保管されていたイーリス・コンラート准将の体組織からクローンを育てました]
(何故、コンラート准将の体組織が艦に保管されている?)
[慣例です。艦の名の由来となった士官の体組織はその艦に保管されます。そうすることによって艦に魂が宿るらしいです]
(くそっ! 帝国新教会か)
[その通りです]
(こんなことが帝国倫理委員会に知れたら…)
[はい、私は廃棄処分にされるでしょう]
帝国倫理委員会はアデル政府直轄の組織で、人類のあるべき姿を厳格に定義している。それを少しでも逸脱した行為をおこなった者で無事だった者はいない。恐ろしいまでの権力をもっているため、例え軍であっても手出しは出来ない。
(そこまで判っていながら何故、セリーナを育てた?)
[艦長命令だからです]
ええ!? 俺がそんな命令を? 俺が出した命令をプレイバックしてみた。あぁ、「航宙軍の戦力維持」って部分か。なんてことだ。
(それじゃ俺も軍法会議にかけられるかもしれないな)
[その心配はする必要はありません]
えっ? そうなの?
[第一級非常事態を宣言した指揮官は例外なく特級軍法会議にかけられます。無実を証明出来ない限り銃殺刑です]
(あぁ、そういうことか)
そういえば、そんな事を航宙軍学校で習ったような気がする。あの状況じゃ他に手段はなかった。まぁ、この惑星には軍も帝国倫理委員会もいないし、悩んでもしようがない。
(セリーナは随分若く見えるけど?)
[人間の年齢に換算すると十七歳に相当するはずです。能力に影響がない最低限のところまで成長させました]
やはりそうか。
(彼女は、何故この星の言語が話せる?)
[この惑星の主要な都市の酒場にビットを配置しました]
(ビットを!? ドローンが降下しているのか?)
[はい、これらの装備の降下に成功しました]
偵察用ドローン DR-3020 82機
汎用ボット BT-122W 82機
汎用トラクタ TR-400G 2台
試掘用掘削機 KS-10G 3台
トラクタと掘削機を除けば、ちょっとした戦力だな。あぁ、そういうことか。
(ドローンは使徒だな?)
[その通りです]
モヤモヤしていた色々なことが納得できた。
(セリーナは脱出ポッドで降下したのか? あれは不良品だぞ)
[はい、判っています。セリーナとシャロンは私が組み立て直した脱出ポッドを使用して降下しました]
(待て、… シャロンとは誰だ)
[セリーナと同じです。セリーナの双子の姉妹といったところですね]
あぁ、なんてことだ。帝国倫理委員会ではないが、こんなことは間違っている。起きてしまった事はしょうがないが、止めなければならない。
(いまも誰かを育てているのか?)
[いえ、育てていません]
(よし、今後は一切、クローンを育てることを禁じる。これは艦長命令だ)
[了解しました]
(シャロンは何処にいる?)
[アロイス王国ですが、今は艦長のところに向かっています。あと二時間程でそちらに着くでしょう]
ああ、ドローンを使うのか。まだまだ聞きたいことは沢山あるが面倒だ。
(この惑星の事、国の事、艦の状況など俺が知るべきことをアップデート出来る容量にまとめてくれ。今日寝る前にアップデートする)
[了解しました]
通信を切断した。
「待たせたな」
「いえ、私も同僚と通信していましたので」
「シャロンか、君達はいつ降下してきたんだ?」
「五日前です」
「どんな装備を持ってきた?」
「大した装備は持ち出せませんでした。武器はパルスライフル、レーザーガン、ナイフぐらいです」
俺と同じか。他になにか無かったのか?
「パワードスーツは?」
「格納庫セクションは、艦の再構築の際に破棄されたそうです」
ああ、そういえば兵器庫は格納庫セクションにあったんだった。すると兵器の類は全滅か。ああ、マルチセンサーも駄目なのか。兵器庫の外にある武器なんて、パルスライフルとレーザーガンくらいしか無いはずだな。こんなのは兵器のうちに入らない。
「ライフルはどうしたんだ?」
「ライフルとレーザーガンは、宿に置いてあります。あと脱出ポッドの中には、ライフル用とレーザーガン用のエネルギーパックを各25個、非常用固形食 二三〇食分、それと、か… アランの私服と制服の予備を持ってきました。あの、半分だけです。半分はシャロンの脱出ポッドにあります」
「それだけエネルギーパックがあれば十分だな。服を持ってきてくれたのは有り難いが、なんで半分ずつなんだ?」
そんな二つに分けて運ぶほど服はもってないぞ。ああ、下着の類があったら助かるな。
「…… どちらが持っていくか、シャロンと揉めまして… コンラート大尉が半分ずつにしろと」
「まとまっていたほうが良かったんだけどな。まぁ、俺が持っている服じゃ目立って、あまり着る機会もないかもしれないな。脱出ポッドは遠いのか?」
「歩いて三日の距離です。一応隠しておきましたし、ロックしてきたのでこの惑星の住人に開けることは出来ないでしょう」
「そうだろうな。そのうちに回収しにいこう」
「あの、か… アラン。さっきの女達は何者ですか?」
「ああ、後で紹介するけど俺の仲間だよ。冒険者って知ってるだろ? それのパーティーを組んでいるんだ」
「それだけですか?」
「ん? そうだな、それだけだけど?」
「そうですか、良かったです」
セリーナは、とてもいい笑顔になった。なぜかパーティーを組んでいるだけだと良いらしい。
「彼女達には帝国の事は話していない。話しても意味がないからな。セリーナも同様にしてくれ」
「了解しました」
「そういえば、セリーナの任務はなんだ?」
「それを決めるのは、か… アランです」
そうか、俺が決めるのか。俺を見つけるのがイーリスに課せられた任務だったんだろう。その任務を果たした今は任務がないのか。
「それじゃ、当面はクレリア達、ああ、さっきの二人と行動を共にしてもらうことになると思う。出来れば仲良くしてもらいたい」
「… 了解です」
「じゃあ、彼女達に紹介するから来てくれ」
部屋を出て隣のクレリア達の部屋をノックした。
「アランだ。ちょっといいか?」
ドアが開き、エルナが部屋に招き入れてくれた。そういえば、この部屋に入るのは初めてだな。ベットが二つあって少し広いのを除けば俺の部屋と同じ作りだ。
「彼女を紹介しようと思ってね。彼女は俺と同じ国の出身でセリーナというんだ」
「セリーナ・コンラート。よろしく」
最初の挨拶ぐらい、もうちょっと愛想よく出来ないのだろうか? まぁ今まで人付き合いもした事が無いんじゃこんなもんか。
「セリーナ、彼女はクレリア、こちらがエルナだ」
「クレリア・スターヴァインだ。宜しく頼む」
「エルナ・ノリアンです。よろしく」
うーん、なんだかクレリア達もいつもと違う変な雰囲気だ。
「セリーナには、とりあえず俺達と行動を共にしてもらおうと思っているんだ。別に構わないよな?」
「アラン、セリーナは何者なの?」
やっぱりそうきたか。
「俺が船に乗ってこの大陸に来たことは話しただろ? その船は沈んだんだが、彼女はその船の乗組員だったんだよ」
「それだけなの? アラン」
「ん? それだけだけど?」
「本当に?」
他に何があるんだというのだろう。あれ? こんな会話さっきも…
「そこのクレリアとやら。さっきから閣下に対して慣れ慣れしいぞ。それだけではなく閣下の言葉を疑うなど言語道断だ」
「貴様! 誰に向かって口をきいているつもりだ!」とエルナ。
「クレリアは何者なの?」
セリーナがさっきのクレリアの声を真似て言った。上手いな! そっくりだ。ってそんな場合じゃないよな。
「くっ、クレリア様はスターヴェーク王国の王女であらせられる!」
「ふん、一国の王女など閣下に比べれば、」
「二人共! そこまでだ!」
慌てて割って入った。どうしてこうなった!?
「セリーナ、今のはお前が悪いと思うぞ、謝れ。クレリア達も何か感じが悪かった。よし、最初から仕切り直そう」
セリーナに挨拶を促す。動かないので更に促した。
「すいませんでした。セリーナ・コンラートです。よろしくお願いします」
次はクレリアだ。目で促す。
「クレリア・スターヴァイン。宜しく頼む」
「エルナ・ノリアン。よろしく」
「これでよし! 自己紹介も無事済んだな。後でセリーナの姉妹も合流するからよろしく頼むよ」
「他にもいるの!?」
「そうなんだよ。偶然にも姉妹で船の沈没から助かったんだ」
「アラン、セリーナの着ている服は…」
そういえば、クレリアは俺の制服姿を見たことがあったな。
「これも言っていなかったかな。俺は軍人だったんだ。これは俺の国の軍の制服なんだよ」
「その仕立てで制服…」
「セリーナと後から来るシャロンも軍人だ。パーティーの戦力増強になると思う」
そういえば、セリーナとシャロンは戦えるのか?
(セリーナとシャロンのコンバットレベルはどれくらいだ?)
[セリーナが九十一、シャロンが九十二です]
凄い! 俺より高いじゃないか! 俺なんて八十五だ。さすがに英雄の血を引いているだけのことはあるな。問題はなさそうだ。
「セリーナは、他に宿をとってしまったらしいので、引き払ってちょっと荷物をとってくるよ。ちょっと待っててくれ」
俺は、セリーナと一緒に荷物を取りに行くことにした。