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メモリー  作者: まっつー
元気なお人好し、幼なじみ
7/8

4P:理解出来ない言葉

「……」

「……」


 僕が無理やりついていくと言って十分余り。

 ……ユウコの隣にいる僕は物凄く気まずくなっていた。

 いつものユウコならば、話を振ってくるのだけれど、風邪の治りかけという事もあるだろう、全く話し掛けてきてくれない。

 いや、分かるよ。

 たまには僕から話を振らなきゃいけないくらいは。

 でも、どんな話題を振っていいのかとか分からないし……特にこれと言って話すこともないんだよなぁ。


「……セイジってさ」


 今まで沈黙していたユウコが、目線を変えずに呟いてくる。

 僕はそれに、「ん?」と返事をする。


「時々、お節介だよね」

「……そうかな?」


 自分ではそう思ってないんだけど。


「学校ではあんまり人助けとかしてないけど?」

「うん、だから……時々」


 そうなると……そうかも。

 今もいらないお節介焼いてるし……。

 でも、これは本当にユウコが心配だからやってる事だ。

 普段ならしない……と思う。


「……私なんか、心配しなくていいのに」

「へっ?」


 ユウコの発言に驚いて、彼女の顔を見てしまう。

 表情は曇っていて、辛そうに見える。


「ケホッ……なんで心配してくれるの?」

「なんでって……幼なじみだし、仲もそれなりにいい……と思いたいし……」


 幼なじみは本当だから断言できたけれど、仲がいいかはユウコ次第なので、自信を無くして自分の希望になってしまった。


「だから、心配するんだ。たぶん、きっと……」


 これがコウイチでもしていたハズだ。

 最も、僕が助けられてばかりだけど。


「そっか……えへへ」


 曇っていたユウコの顔が晴れて、僕の見慣れた、太陽のように輝く笑顔になってた。

 そんな笑顔を見てると、つい自分まで笑みが零れるのだから不思議でしょうがない。

 さっきまでの気まずい空気は消え去って、そのまま買い物に行った僕達だった。

 ……まぁ、案の定ユウコは風邪を再発させて、帰り道になるとフラフラした足取りになっていた。


「ゲホッ……」

「言わんこっちゃない……」


 僕が買い物袋も持って、ユウコに肩を貸すという事態になってしまった。

 ユウコの腕を自分の首にまわしているって形で移動してる。

 行き交う人がジロジロ見てるけど知ったこっちゃない。


「うつっちゃうよ……風邪……セイジは帰って……いいから……」


 ユウコは僕に対して馬鹿な事言ってくる。

 ユウコがこんな状態で帰れるわけ無いでしょうが。


「これで帰ったら、最低じゃん。最後まで付き合うよ」


 風邪がうつったらうつったで、休めるからいいけど。

 てか、そっちの方がいいかもしれない。

 成績がヤバくなりそうだけど。


「なんで……これじゃ……昔と同じだよ……」

「……昔?」


 ……昔ってなんだろう。

 同じって……こんな状況になった事はない。

 こんな風にユウコを助けてあげた事なんて全く……。

 普段は逆に助けられてるし……。


「……」


 僕がユウコの方を見ると、軽く鼻を啜っていて、目を閉じていた。

 そして、ほろっと涙が一滴、流れ出る。


「えっ!? ユウコ、どうしたの!? 辛いの!? ちょっと休む!?」

「何でもない……から……心配しないで……」


 いやいや、泣いてる相手を心配しないでって……無理だから!


「心配するよ! だって、ユウコ、泣いてるもん!」

「いいからッ!」


 僕が反論すると、ユウコが大声を出して僕を静止させた。

 ……なんでそこまでして、心配しちゃいけないんだろう。


「放っておいて……私なんか……」

「……」


 いつも元気で、僕を勇気づけてくれていたユウコはそこにはいなかった。

 今にも壊れそうで、自信を無くしている、一人の少女がそこにはいた。

 でも、紛れもないユウコなんだ。

 こんな一面もあるんだ……と、僕は思って一言だけ言う。


「家まで送ったらね」


 ……その後、彼女は沈黙していた。

 ユウコ……どうしたんだろう。

 それに、昔と同じって何なんだろう。

 もしかしたら、その昔ってヤツと関係があるのかな。

 僕は頭の中で考えを巡らした。

 答えが出るにはまだまだ時間が必要で、ユウコの家の前に着いても、全く何も思い浮かばなかった。


「……セイジ」


 ユウコは、僕からすぐに離れて、買い物袋を引ったくる。

 ……ユウコらしくない、行動に僕は戸惑いつつも、何? と言う。


「もう、私には構わないで」

「……えっ?」


 ……僕には到底理解出来ないような言葉が、ユウコから放たれていた。

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