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つるつる。
滑落し続けなさい。
いつかの心が気にかかり
つるつるの指先が缶珈琲を滑らせる
去りゆくあの子の背を追って
伸ばしたその手を下ろしたときに
この指先は滑ることを覚え、かわりに病を掴み取った
煙草のように痩せた
震える病身は鬱々と蔵の底に横たわり
たった一つの小窓から
世界のすべてを見ようとする
蔵は古び
いつか崩れてしまうだろう
病身は陽の下に投げ出され
夏の魔物に身を捧ぐ
剥き出しの病身よ
傷を受けたら叫びなさい
剥き出しの神経よ
あらゆる傷を掴みなさい
私は一本の葦
どこにも根の繋がらない
たった一本の葦
まるで石ころのように。