表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未満と以上の間。  作者: 枕くま。
6/13

げん ご。

 逆さになっていてもわからないような澄み渡る空は青々として、夏。そこには言語があふれている。陽射しが地平を荒野に変えてしまえないのは、言語の層が膜になって阻害しているからときみはいった。空の言語は塵芥と同じに、路上にふりつもる。

 足元、白々とかがやく砂利が一面にひろがる。かがやきは言語に由来する。夏。

言語に満たされた空と言語のつもった砂利の境界線に立つ。心をさらうような風のうごめきが言語をはこび、言語が頬をなぞり、一度歩けば靴底から言語が染み込み、体内に蓄積していく。喉元までそれは満ちていき、やがて口から。

他人の言語がこぼれ落ちる。Tシャツを汚す。夏。

 歩き出す。目的もなく、言語だけが飽和し、

 擦り減らした靴底が誇らしい、

 言語をより原色のまま吸い上げる。びちゃびちゃのTシャツ、夏。


「聞いた話によると、どうも今は秋らしいぜ」


 あるとき靴下をすり抜けた言語はそんな連なりをしていた、驚いて、すっころんだ。尻もちをつくと思いきや、言語が避けたせいで、背中から落ちていく。砂利が裂けていく。モーゼもかくや。

 落ちていく。

 叫びを上げて、

 悲鳴を上げて、

 喉元の言語を使い切るまで、足先に溜まった真新しい言語を吐き出すまで、叫ぶ

やがてどこかに落下して、ぽかん。

言葉がなく、

なく、

 しょげ散らかして、真っ黒の地面を蹴っ飛ばすとほこり。

くしゃみをして、あぁ


「ちくしょうめ」


ックンロール!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ