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未満と以上の間。  作者: 枕くま。
11/13

リアムについて。

あなた何様どちら様?

 彼の歌声をレノン何某とライドン何某のあいのこと云った人がいて、みんながその説に飛びついてから、しばらく経ったと思う。彼はそんな過去のことを、嫌悪と共にふり返ったか、それは知らないけれど、ともかく今はあの歌い方は嫌いだと云ったから、みんなは彼にちょっぴりがっかりしたのかね。後から知った口で云うとずるいけど、わたしは笑った。

 彼が過激な言葉をふり回す度に、色鮮やかな波風が、荒波が、世界中を駆け巡り。感情の津波が地球をぐるりと回り終える頃には、人々は歳を取っていた。

 あの声がうつくしさを忘れ、掠れ始めていった時、皺だらけの顔を醜く歪ませて、兄の方ばかりを支持した人たちが、大嫌い。彼の声が駄目になったと云うよりか、彼が元々駄目だったと思うと、何だか酷く愛おしくて、笑ってしまう。皺だらけのあなたたちも、かつてそうだったでしょうに。

 結ばれては解け、結ばれながら別のどこかで結ばれてばかりの彼は、よい夫ではないかもしれない。でも、子供が大好きだと云うこと。わたしは、彼が子供を好きで、ほんとうによかった。たとえそれが彼の中でだけの、彼の目から見ているだけの、ひとりよがりの悲しい見栄だったとしても、わたしはなんでだか、ほっとするのです。

顔のない人の声は聞こえない。

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