46話
変人扱いに納得出来ないけど、取り敢えず移動しよ。
「じゃあ、納得してなくても『鋼の剣』も連れて移動します。
行きと同じで、私の後についてきて下さい。
『鋼の剣』は最後尾を歩いて下さい。」
これ以上、他の子達を刺激させない為に、『鋼の剣』は最後尾をついてきてもらう。
帰りは何事もなく、皆もそれなりに警戒しながら歩き、半刻程でラビリンの街の西の街門にたどり着いた。
うん、順調だったな。
もう少し、途中で薬草があるのに気が付いたりするかと思ったけどそんな事もなかったな。
皆、歩きながら警戒するのにいっぱいいっぱいだったと言うか。
それにしても、疲れ方が尋常じゃない気がするんだけど。
歩くの早かったかな?
皆の疲れ方に首を傾げながら、門番にギルドカードを見せ、門の中に入る。
「『鋼の剣』はここからは好きにして下さい。ギルドの方には私から特別依頼の取消を申し伝えます。」
「…わかりました。」
「では、『鋼の剣』以外の皆さんはこのままギルドの訓練場に向かいます。
…アレクさん、訓練場はギルド内にあるんですか?」
皆が一斉にズコッと転ぶふりをした。
なんか、日本でのバラエティを思い出すなぁ。
「え、えぇ。そうです。受付カウンターの左側にある扉を抜けると訓練場に繋がってます。」
左側…。右側に買取品の倉庫があるから、そっちは使ったことがあるから扉が有るのは知ってたけど、左側に扉が有ること自体知らなかったなぁ。
ギルドに着き、アレクさんに教えてもらった左側の扉に向かうが、途中で声を掛けられた。
「あら、ティティナさん。特別依頼の時間はまだまだあったんじゃ有りませんか?
何かありましたか?予定よりだいぶ早く戻られた様ですが。」
「アリスさん、こんにちは。
模擬戦を予定していた場所に着いて休憩した後に、王隣の森からBランクモンスターの『ウィンドファルコン』が現れて戦闘になりまして。」
「なんですって!?…失礼しました。
今までその様な報告を受けたことは無かったのですが。
場所はどの辺りだったのでしょうか?」
「西の街門から半刻程の場所です。
まぁ、そこら辺を狩場にしてる訳では無いと思いますよ。
ちょっとゴタゴタが有って、殺気を放ってた馬鹿がいたもので。その事については、今日の特別依頼終了後にお話ししますね。」
「畏まりました。まだ特別依頼中という事ですね。」
「はい。この後は訓練場の方を使おうかと思いまして。」
「成る程。では、そちらの扉からお入り下さい。」
「ありがとうございます。」
今度こそ気を取り直して、左側の扉を潜る。
直ぐに訓練場があるのだと思っていたが、しばらく一本道の廊下が続いていた。距離にして、50mあるかないかの距離だったけど。
廊下の終点にある扉を潜ると、今度こそ訓練場に出た。
ギルドの中にこんな広い空間があったなんて知らなかった。
大きさで言ったら、バスケコートが2コート分を十分に取れそうな広さだった。
私の後に続いて全員が入ってきたのを確認した後、
「7人のパーティー毎に分かれて集まって下さい。」
「『鋼の剣』の妨害があったのでまだパーティーが組み終わってません。」
「あー、成る程。では四半刻でパーティーを組んで下さい。
こちらから見て問題が無ければそのままそのパーティーでこの特別依頼を進めてもらいます。」
言い終わるや否や、ザワザワ、ガヤガヤと賑やかに、でもその瞳は真剣そのものの光を宿して交流を図る特別依頼を受注している子達。
遊びでは無いんだから、真剣なのは当たり前なんだけど、それが出来なさそうな雰囲気があった子達ーー年齢的に私と同じぐらいか年上の人達が主だけどーーも真剣になってくれて良かったわ。
きっと『鋼の剣』への対応の影響なんだろうけどね。
最後まで冷やかし気分のままだったら、今日の最後に忠告して、次回の態度次第では受注の取消をギルドに依頼するところだったから、それが無くなって良かった思う。
彼らの真剣な様子を見守って過ごしていると、パーティーを組み終わった様だ。
時間的には四半刻よりも早く終わったみたいだね。
「時間より早いですが、パーティーを組み終えた様なので、パーティー毎にまとまって集まって下さい。」
言い終わるとすぐに、7つのパーティー毎に分かれて集まった。
「バランスが悪そうな所もありそうですが、このままのパーティーでいいでしょう。何か問題が起こった場合は私やギルド職員に相談をお願いします。
では、これからパーティー対私の模擬戦を始めます。
順番は、私から見て右端から左に順に行います。
私の武器は、この剣と低級以下の魔法のみを使います。皆さんはお好きな攻撃方法で構いません。」
「あ、あの〜。剣や槍、弓などは刃を潰してある模擬剣とか木で出来たやつを使わないんですか?」
「確かに今から行うのは模擬戦ですが、実践の時に相手が模擬剣などを使いますか?
実際の痛みを知らないと、いざ、魔物や盗賊などと相対し攻撃を受けた時に、痛みを感じても攻撃出来るようにならなければ死にますよ?」
何故、皆顔を引きつらせてるんだろう?
お祖父ちゃんから始めて剣の修行を付けて貰った時にそう言われて、‘成る程!’と思ったんだけどな。
「では、早速模擬戦を始めましょうか。
模擬戦の順番が来ていないパーティーは端に避けて見学しておいて下さい。
自分が戦っていない時もしっかり見て考えることも、大切な事です。
模擬戦は今日しか予定していないので、しっかりと学んで下さい。」
中央よりやや左側まで歩き、肩幅より少し広めに開き右足を半歩分前にだし、腰に佩いていた剣を抜き中段で構える。
やや遅れて、最初の模擬戦に指定されたパーティーのメンバーが中央よりやや右側に集まりだした。
パーティー構成は、大きな金属の盾を持ったタンクが1人先頭に立って、その斜め後ろ左右に剣士が1人ずつ。タンクの真後ろには槍士が立ち、前衛達の少し後ろに弓士と魔術師がそれぞれ立っている。最期の1人は格好的に斥候士って所かな。今は魔術師と弓士の間の少し後ろに立っている所を見ると、魔術師と弓士の護衛って所かしら。
パーティーの構成のバランスがとってもいい感じだね。それに陣形も。
『ラン、レイム。手出しは無用だよ。』
『おっけー。』
『えー。…了解。』
「アレクさん、開始の合図をお願いします。」
「あ、はい。それでは…始め!」
お読み頂きありがとうございます。
因みに、これから戦うパーティー①のメンバーは下記の様になります。
剣士 Eランク : レックス(男)14歳
アレス(男)14歳
剣士 Dランク : ユアン(男)17歳
槍士 Dランク : アガサ(男)18歳 リーダー
弓士 Eランク : カトレア(女)15歳
魔術師Eランク : レム(女) 13歳 風魔法使い
斥候士Dランク : アンリ(男)18歳




