40話
お待たせいたしました。
先週は何の予告も無くお休みしてしまい、申し訳ありません。
解散と伝えるとそれぞれギルドから出て行ったので私も準備をしようと入口の方へ向かったけど、何人かの特別依頼受注者に囲まれた。
少しは引っかけに気が付くかなとは思ってたけど、やっぱり有望そうな子達が何人かいるね。洸ちゃんが引っかかってくれなかったのは残念だけど。
「ティティナさんに教えて欲しい事があるのですが。」
「良いわよ。君たち皆が教えて欲しい事があるって事でいいかな?」
「「「はい。」」」
集まったのは2人の少年と1人の少女だった。
教えて欲しい内容と言うのが、必要物資とは何が必要なのかと言う事だった。
一から十まで教えてという訳では無く、用意しようと思っていた内容以外に必要な物があるのかの確認だったけどね。
自分では十分と思っていても、いざ行ってみたら足りないと言う事もあるから、経験豊富な人に聞ける時に聞くのは良い判断だと思うな。
さて、質問にも答え終わったし私も準備をして西門に向かいますか。
準備をするついでに、屋台で何か食べよう。お腹空いた。
お腹も満たされたし、準備も終わって西門に到着したけど…1、2、3…54人全員揃ってるね。
昼1の鐘の鐘が鳴る前に全員揃ってるとは感心関心。この中にどれくらいの準備不足が居るのかな。
「全員揃っている様なので、移動をします。
私が先頭を歩くので、後に付いて来てください。もちろん、街門から外に出るので各自警戒も忘れない様に。」
極少数が小さく頷くのが見えたが、大半が何を言っているんだという感じの顔をした。そして小さくだけど、‘西門の外の草原には、たいした魔物も出ないんだから警戒する必要ないだろ’とか‘二つ名が2つも付いてるA級冒険者の癖に、雑魚魔物を警戒するって大丈夫なのか?’とかが聞こえる。
ここの草原って、確かに基本は雑魚といっても差し障りのない魔物しか出てこないけど、稀にはぐれウルフが現れたり、妖精の悪戯が合ったりするんだけどな。結構有名な事だと思ってたけど、意外と知られていないのかな?
それに、スキルを習得する為に、警戒をするのは有用なんだけど…まさか、そんな事も知らないって事は無いよね?
移動が始まる前に、査定員のギルド職員さんとクリス君が私の傍によって来たので、聞いておこうかな。
「査定員さん、クリス君、宜しくお願いします。」
「アレクです。こちらこそ宜しくお願いします。」
「ティティナさんとご一緒出来て光栄です。僕は、これからもずっと宜しくしたいです。」
クリス君の軟派野郎のイメージは揺るがないと。スルーする事にしよう。
「アレクさん質問なんですが、気配察知のスキルの習得方法を知らない低級冒険者は多いんですか?」
「あー、ティティナさん。僕の話を聞き流さないで下さい。」
「昔からだけど、15、6歳頃から冒険者になる子達はスキルは天からの授かりもので新しくスキルを覚えるのは、天から愛された人物だけだと思ってるからね。
努力しても必ず覚えられる保証が無いのがスキルだから仕方ないと言えば仕方ないけどね。」
「アレクさんも普通に、ティティナさんの返答をしないで下さい。ツッコミは必要だと思いますよ。
…てこれも聞き流すんですね。わかりました。寂しいです。」
何かクリス君が言ってるけど、スルースルー。
確かにスキルを身につけようと同じ努力をしても、覚えられる人と覚えられない人に分かれるからね。
でも、スキルが無いからって身に着かない訳じゃ無いんだけどな。
鑑定だって気配察知だって、ぼんやりとは分かったりするものだし。スキルがあればハッキリと分かるけど。
それに剣術だって弓術だって、スキルが無くても使える訳だし。現に私には弓術のスキルは無いけど、弓は引けるし、手元に弓がある時は牽制に使ったり、魔物にも当てる事が出来る訳だし。
「確かにそうですけど、勿体ないですね。」
「自分から学べる者でないと、冒険者は長生きできないからね。
言うだけ無駄だと思うよ。既に貴女は、彼らに警戒を促したしね。先達の言葉の意味を考え、学ばない者はそれ以上の助言をするべきではないかな。
それに貴女は言ったでしょ。‘意欲が無い者には私は厳しいよ。逆に意欲がある者には全員に教える以上の事を教える。’と。」
私が全員に向かって何かを言いそうになっていたのに気が付いて、アレクさんに釘を刺されてしまった。
確かに、‘意欲が無い者には私は厳しいよ。’って言ったのだから、これ以上の助言は無しだよね。
意欲のある、極少数の小さく頷いてくれた人もいる訳だし。
だからと言って、大半の人のこれからを思うと、なぁ。
『レイム、ラン。お願いがあるの。』
『どうしたのー?』
『お願いって?』
『私が合図をしたら、妖精の悪戯に見せかけて私たちを攻撃して欲しいの。』
『えー!あんな低能な奴らの真似なんてしたくないよー。』
『ティナ、どうしてもしないと駄目?』
『どうしても嫌だったらいいの、ゴメンね。この事は忘れて良いから。』
『むむー。どーするランー?』
『むー。今回だけ特別だよ。その代り、夜になったらまた魔力ちょうだいね』
『それはいい考えだねー。僕もお手伝いするよー』
『嫌なお願いしてゴメンね。ありがとう。』
精霊と妖精は似て非なる者達だから、種族間の拘りが強い。
精霊が人間寄りの種族に対して、妖精は魔物寄りの種族に当たるらしい。これは、レイムやラン達から聞いた話だから、らしいとしか知らないんだけど。
人間側からは、精霊が見えたとしても妖精を見る事は出来ないし、実際、妖精を見たって人は、過去も現在も知られていないしね。
まぁ、精霊と妖精の違いはどうでもいいか。
大体準備が整ったみたいだし、サクッと出発しよう。
西門を出発して大体四半時って所かな。そろそろ、レイムとランにお願いしよう。
右手に火属性の魔力を集めて、親指を小さく振る。続いて土属性の魔力を左手に集め、親指を5回リズムを取った後に小さく振る。
これは、魔物と戦ってる時にいつも使う戦闘の合図。
先に指を振った属性側から攻撃で、攻撃の間の秒数をリズムで知らせて、次に指を振った属性で攻撃する。
ちなみに、煙幕系や防御系の支援が欲しい時は小指を振る。
攻撃の種類はレイムとランにお任せだけどね。もう13年も一緒に居るから私が欲している事をしてくれていつも助かってるのだ。
今回も私の意図を組んでくれて、警戒を怠っている所に攻撃を仕掛け様と移動している。
『ファイアースネークー。×5-』
「「「「「う、うわあぁぁぁぁぁーーーーーーー」」」」」
レイムが技名を告げると同時に、蛇の形を模した火の塊が警戒を怠っていた子達のスレスレの所を通り抜けて行った。
レイムさんや、それはチョットやり過ぎではなかろうか?
そして5秒はあっという間に過ぎ、次はランの技名が聞こえた。
『サンドウェーブ』
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