26話
先週投稿できず申し訳ありませんでした。
洸ちゃんから銀貨2枚を受け取り、湯屋へ行く準備をする。
荷物整理はいつしようかな。
「洸ちゃん、まだ夕飯を食べる気にならないでしょ?私は湯屋に先に行ってくるけど、その間何してる?
もし何もすることが思い浮かばないんだったら、アークと魔法の訓練でもしてたらどうだろ?ただ、中庭でやるのはお勧めしないから、部屋でひたすら朝教えた魔法の反復練習になるけど…。」
「うーん、疲れたから少し休む。休み終わってからまだティナが戻ってなかったら魔法の訓練をしてるから、ゆっくりお風呂楽しんで来て。」
「戻ってきたら扉ノックするから、鍵はちゃんと閉めとくんだよ。それじゃあ行ってきます。」
洸ちゃんに手を振り部屋を出て、鍵が閉められる音を確認してから階段を降り湯屋へと向かって歩きだす。
湯屋に到着すると、当然といえば当然だけど昨日とは別の人が番頭の席に座っていた。
「荷物預かりでお願い。はい、これお金。」
「え、…あ、はい。お釣りはこちらに…」
「お釣りは要らないから、しっかり管理をお願いね。」
昨日の騒ぎを知っているのか、今回の番頭は私の顔をじっくりと見つめ、少しびっくりしていた。
今回もちゃんと冒険者ギルドのギルドカードを一番上に乗せたから、今度こそ何事も起こらないといいな。
昨日と同じ様に女湯に行き、洸ちゃんの休憩時間の事も考えてのんびりと入る事にする。
考えてみれば、洸ちゃんがあの瀕死の状態から生還してから、1日ものんびりさせてあげてなかった事に思い至った。
元々帰宅部でゲーム好きの洸ちゃんが、今の状態で疲弊しない訳が無い。運動といえる運動なんて、学校の体育の授業でしかしてなかったのに、疲れない筈がない。
ちょっと、今後の訓練の内容を考えるべきか。いやでも、洸ちゃんに追手が付いている以上、少しでも早く1人前の冒険者になって欲しいし。
洸ちゃんに意見をちゃんと聞かないとな。取り敢えず、休養日をちゃんと設けてあげよう。
その後は明日の事とかを考えながら、久しぶりの長湯を楽しむ。
湯から上がり、今日は冒険者スタイルに着替える。この後、ちょっと冒険者ギルドに寄りたいからね。
レイムにお願いして、いつもの様に髪を乾かしてもらう。とは言っても、いきなり髪が渇くのは不自然だから、自然乾燥の5倍速ぐらいで乾く様にしてもらっている。昨日も同じようにしてもらったけど、洸ちゃんが気付いてなかったから問題ないでしょ。
番頭の所へ行き、預けた荷物を受け取る。荷物のチェックをして問題が無かったのでそのまま湯屋を出て冒険者ギルドへと向かう。
夜1の鐘の鐘が鳴っていたが、冒険者ギルドの中に入ると依頼を終えて報告に来ている冒険者でやダンジョンの素材を売りに来ている冒険者で賑わいを見せていた。
受付をチェックしターニャが居たので、その受付に並ぶ。
順番を待っている間、そこかしこからウーテさんの話やディックの話が聞こえてきたが、何故そこに私の事も入っているの!?しかもその二つ名は恥ずかしいから呼ばないでよ。
面に感情を出さない様に必死だ。順番が回ってきた時には疲労困憊なのに、ニヤッとしたターニャがいた。
「お待たせ致しました、赤の破壊者様。」
「笑いを含みながら、その名前を呼ばないでよ。」
「ふふっ、それでは万器の操者の方が良かったかしら?」
「それも勘弁して。」
「二つ名がある事は、冒険者として名誉な事なのよ。
まぁそれはさておき、本題は何でしょうか?」
「2つほど。まず1つ目は、ギルド依頼の新人冒険者への訓練指導の受託で、2つ目は、王都の鍛冶師の現状の調査依頼。」
「あら、最近受けてくれる人が居なかったから助かるわ。新人冒険者への告知があるから明後日からでもいい?訓練時間と期間はどれくらいにする?」
「朝3の鐘から夜2の鐘までの間で3日に1回で1か月。」
「承りました。それと依頼の方の件は、ギルドマスターを交えての確認でもいいかしら?」
「勿論よ。」
「それでは、ギルドマスターの執務室へ向かいましょう。」
ターニャが受付の奥に合図を送り、受付のカウンターから離れて階段の方へ歩いて行く。今までターニャが居た受付は手の空いていた男性の職員が受け持つ事になり、私の後ろに並んでいた冒険者達はガックリと肩を落としていた。
ターニャは人妻で子供もいるのに、相変わらずの人気の様だ。
階段を昇り、2階にあるギルマスの執務室に到着した。
ターニャはノックをするが、返事が返ってくる前にドアを開ける。ノックの意味はあるのかな?まぁ、ギルマスとターニャが親子だからだろうとは思うけど。
「…ターニャ、せめて誰何の声が有ってから扉を開けてくれないか?
最近、他の職員も真似を始めて困ってるんだが…。」
「…以後気を付けます。」
「またやるんだろうね。要件はなんだい?
おや、珍しいねティナ嬢がギルドに居るなんて。」
「えぇ。依頼が有ったので。」
「王都の鍛冶師に関する事かな?
立ち話も何だから、そこのソファーに座ってくれ。今、お茶を用意しよう。」
そう言うとギルマスが立ち上がり、いそいそとお茶を手ずから入れてくれている。
いつもの事と見ない事にして、私もソファーに座る。ターニャに関しては、部屋に入ってすぐにソファーに座っている。一応今は勤務時間内だけど、それでいいのだろうか?
お茶を入れ終わったギルマスが、お茶を置き終わるとソファーに座り話を再開する。
「王都の鍛冶師の話は、既にラビリンの街にも伝わっている。その事で、商業ギルドが調査を始めている事も。この街の職人ギルドは商業ギルドの一部になっているからな。あちらも、いつこの街の鍛冶師に起こる事かと思っているのだろう。
今代の商業ギルドのギルドマスターはやり手でね。今までの冒険者ギルドと商業ギルドの確執を気にしていない様で、色々と情報を共有している。
まず、ティナは何を知りたい?」
「初期に拘束された鍛冶師達の現状です。」
「もともと悪質で名の通っていた者たちは強制的に3年間の犯罪奴隷に落とされ、国が保有している鉱山の労働力になっている。」
「悪質でなかった人たちはどうでしょうか?」
「彼らは、片腕を落とされて王都追放処分になっている。」
「どちらも重い罪に落とされていませんか?国王が止めに入ったと聞きましたが…。」
「止めに入る前に処断が下った者達の話だからな。その後の情報はまだ入ってきていない。」
「そうですか。この件の調査を依頼しようかと思っていたのですが、どうしましょう?」
「また情報が入れば教える。こちらとしても、商業ギルドの邪魔はしたくないからな。
王都の職人ギルドと連携しているから、他から調査をされて煩わせたくない。」
「分かりました。宜しくお願いします。」
「あぁ、それと商業ギルドのギルドマスターには、ティナとガゼルさんの事を話してもいいか?行方不明の鍛冶師の事を気にしていたからな。」
「…今日、採掘士のティアラとして、商業ギルドのギルドマスターに有ったんですよね。」
「……鍛冶師と冒険者以外にもさらに別の顔が有ったんだな。」
「父さん達の安否がはっきりするまではラビリンの街を拠点にするつもりなので、仕方ないですね。もし、明日会う事があれば直接言うようにします。会えなかった場合は、ターニャに伝言をします。」
「分かった。ターニャがここに居る意味が漸くあってよかった…か?」
ターニャが妖艶に笑って、飲んでいたお茶を机に置く。
「それでは失礼しますね、ギルドマスター。」
優雅に立ち上がり、一礼をして部屋を出て行く。私も宿屋に帰る為ギルマスに挨拶をして部屋を立ち去った。
お読み頂きありがとうございます。
皆様良いお年を。




