23話
「洸ちゃん、その話は後でにしようか。それより、特別依頼はどうしたの?」
「ものすっごく、今聞きたいけど仕方ないか。
今はその特別依頼の使いッパシリ中。」
「そっか、頑張れ!」
「おい、キサ…まぁ………。」
洸ちゃんと話していると、またしもさっきの男が突っかかって来た。
これは本当にダメな奴だ。こんなのとこれ以上関わりたくないと思って、無意識にこの男限定にさっきの倍以上の殺気を当てた所、気絶した。これで気絶しなかった場合に移そうとした行動の拳を静かに下す。暴力で物事を解決するのは良くないよね!
きっとこんなことを言えば、周りから白い目で見られかねないけど。
「流石、火属性持ちのドワーフだけあって喧嘩っ早いな。はっはっはっ。
それじゃあ、これらの始末をしてくるぞ。」
ウーテさんはそう言い残すと、死屍累々の面々を引き連れて再びダンジョンへ戻って行った。地獄のダンジョンツアー(2度目)へ行ってらっしゃい。
一体何が起こったのか分からなかった洸ちゃんは、目をしばたかせている。
今の女性が『銀狼の牙』のクラウンマスターだと教えるとさらに大変な事になりそうだから、その事は取り敢えず教えないでおこう。
「使いッパシリに行かなくていいの?」
「っは!そうだった。ありがとう。」
洸ちゃんもそう言い残して北門の方へ向かって走り去っていく。
さて、騒々しかったけど商業ギルドの場所も分かったし、お腹もすいたからさっさと移動しよう。
適当な所で食堂に入り、パスタを食べ満足したので、ランと一緒に変装用の魔法を発動させて商業ギルドの扉をくぐる。
中を見渡すと、王都の商業ギルドと造りが同じなのでホットした。早速納品物の受付へ行こう。
「すみません。納品物の確認をお願いします。」
「はい、確認いたします。」
カウンターに商業ギルドのギルドカードと鉄鉱石、銅鉱石、銀鉱石を中心に置く。少しだけ金鉱石とミスリル鉱石も出す。
受付の男性は、カウンターに乗っている物を見て目を見開く。
そりゃあ、そうだよね。今市場で価値が高騰している鉱石だもんね。それも純度が高く状態も良いやつで。
「ティアラさん、この鉱物は一体どちらで?」
「ラビリンのダンジョンの下層の方にある鉱床で。本来だったら、依頼を受けた王都のガゼルの鍛冶屋に納品する予定だったんですが…。」
「成程。そう言う事ですね。
あのガゼルの鍛冶屋に鉱床を絶えず納品されていたのは貴女だったのですか。
それにしても、ダンジョンに鉱床がある事を黙っているとは冒険者ギルドも中々…。」
何か、この獲物を定めて狙いをつける目が嫌だな。それに冒険者ギルドの事も何か言ってるし。
ここで納品しない方がよかったかな。でも、工房に納品で出来なくなった物を何時までも持ってるよりかは、市場にながして、少しでもまともな剣とかを増やさないと、色々問題があるし。今までだって、余分にとってきた分の一部を王都の商業ギルドに納品していたし。
自分ですぐに使う分以外は流通させないと。王都の鍛冶屋が駄目なら他の都市の鍛冶屋に頑張ってもらわないとね。
「冒険者ギルドで把握はしていても、大っぴらには公表できませんよ。何せ、ダンジョンの78階層に鉱床があるので。そこまで潜って戻ってこれるのは冒険者の平均はBランク。
今のご時世で公表しても、無駄に死者を増やし、尚且つ、ダンジョン内にアンテッド系が増えてしまいます。そうすると、魔王の軍勢の力が増しますし。」
「成程、通りです。
しかし、冒険者ギルドは鉱床の事を把握しているのですね?」
「報告はしているので、知っています。ですが、発見した当初、王都でですが商業ギルドにも報告をしています。」
受付の男性は顔を歪めてる。商売人なんだから、身内のギルド員に対しても取り繕うよ。これじゃあ、商売人失格でしょ。
「それよりも、これの納品価格はいくらになりますか?」
「この量と質なので、ギルドマスターを含めて検証していいですか?」
「分かりました。どれくらい待つでしょうか?」
「それなんですが、一緒にギルドマスターの部屋まできて頂けませんか?」
何か面倒になりそうだな。それでも、今後の為に我慢するか。
商業ギルドのギルドマスターの部屋に行くと、来客中だった。何か口論が聞こえるけど…。ここに居て良いんだろうか?一度別の部屋で待機した方が良い気がするけど。
そう思っているのに、受付の男性はギルドマスターの部屋をノックする。
すると、なんという事でしょう。返事と同時に内側から扉が開いた。お客様いいの!?
中のお客さんもまさか扉を開けられるとは思っていなかった様で、ビックリした顔の後、私の顔を見て気絶した。
ギルドマスターのお客さんは、昨日の湯屋の番頭だった。
気絶するのは酷くないかな?
「なんだこいつは。イルファン、こいつの始末を頼む。
それで、ルイは何の要件だ?」
「実はマスター、こちらを。この採掘士ティアラさんが今しがた納品しに来た物です。」
「立ち話をする内容ではないな。ではこちらへ。
イルファン、お茶を頼む。」
イルファンと呼ばれた男性は、番頭を担ぎ一礼して続き部屋へと退出した。そしてすぐに新しいお茶を用意して現れた。
それまでの間に、私はソファを進められて座っている。
流石に、商業ギルドのギルドマスターだけあって、さっきまでの事や目の前の鉱石を見ても表情は一切変わっていない。
受付の男性改めルイも見習わないといけないと思う。いや、ギルドマスターがルイの様な男で無かった事を感謝するべきなのか。
現実逃避をしている間に、ルイが鉱石の納品に当たっての説明をしている。しかし、その説明を聞いてもギルドマスターの表情は変わらない。鉄面皮と呼んでもいいかな?
冒険者ギルドと仲が悪いって聞いていたから、敵愾心とか少しでも伺えるんじゃないかと思ったてたけど。
「それでルイ、確認したいのはこれらの値段か?それとも別の事か?」
「値段はもちろんですが、ティアラさんに定期的にこちらの指定する量の鉱石をダンジョンで採掘して頂く契約を結んでは如何かと。」
やっぱりそう言う事を考えていたのか。思っていた通りで逆につまらないな。
「………ならん。ラビリンのダンジョンに鉱床がある事は知っている。しかし、それを採掘士に通達していないのは採掘士の安全を守る為だ。
それに…。」
ギルドマスターは私をチラッとみて、何かを言い淀んだ。
「なんでしょうか?」
「いえ、何でもありません。
この鉱石の納入価格は1時間程お待ちください。きちんと量を計り質もチェックしますので。イルファン、すぐに手配を。
それと、ルイはすぐに持ち場に戻る様に。終業後、受付部門の部長と共にこの部屋へ来るように。
ティアラさんは清算の間どうされますか?もし、この後お時間が無いようであれば、明日のご精算でも大丈夫ですが。」
「王都でもそれくらいの待ち時間があったので、時間は大丈夫です。
貸し出し用の家を探したいので、賃貸の受付に居ます。」
「分かりました。では清算が出来次第そちらに担当者を伺わせます。」
「ありがとうございます。失礼します。」
ギルドマスターに挨拶をして、ギルドマスター室を後にし、受付が立ち並ぶフロアに戻り、賃貸物件を扱う受付に赴く。
「ようこそ、お越し下さいました。どの様の物件をお探しでしょうか?」
今度の受付はまともだといいな。
お読み頂きありがとうございます。




