19話
洸ちゃんと連れ立って歩いていると、すれ違う人々がこちらを伺ってくる。洸ちゃんの見た目が珍しいから仕方無いね。
冒険者ギルドにはすぐ着いた。まぁ、ギルド傍の宿屋に泊まってたから当たり前だけど。
洸ちゃんから緊張した気配が伝わってくる。
きっと、冒険者に絡まれる事でも考えてるのかもしれない。
「洸ちゃん、中に入ろうか。
大丈夫だよ、この時間なら大半の冒険者は依頼に出ててほとんどいないから。」
「…そう言う事じゃ無いんだけど。はぁ、行くか。」
何かボソボソと呟いてから、ギルドの中に入って行く。
私も後に付いて中に入った。やはり、この時間帯は圧倒的に冒険者の数が少ない。
受付を見ると混んでいない様だし、サクッと行って登録をしてしまおう。ちょうど手を振ってくる受付嬢もいる事だし。
「洸ちゃん、あそこの受付に行こう。」
「え…あ、うん。」
なんかちょっと残念そうな声が聞こえた。何かな、別の巨乳の受付の子が良かったのかな。
女性の価値は胸じゃないと思うけどね。
少し強めに押して受付に促す。
「ターニャ、久しぶり。今日は新人の登録お願いね。」
「えぇ。ディックから話は聞いてるわ。
じゃあ、この板に必要事項書いてね…って、この世界の字って書ける?」
「私が代筆するよ。そうすれば、代筆料取られないでしょ?」
「問題ないわ。
えっと、コースケ君だったっけ?冒険者ギルドの説明は聞く?」
「え?俺の名前…。」
「私の旦那さんの名前はディックよ。この街に来る前まで一緒に居たでしょ?」
「それで俺の名前を。
ギルドの説明は聞きます。お願いします。」
「まず、ギルドカードは身分証明になります。発行には小銀貨1枚が必要になります。
もし今お手持ちで小銀貨1枚がない様でしたら、この後、ギルドからの特別依頼として小銀貨5枚分の依頼を受けてもらう事になります。内容は3刻程、ギルドの雑用・清掃をしてもらいます。
次に冒険者ランクについてです。
初回登録・再登録に係わらずすべてEランクからのスタートになります。
例外は10歳未満の子供の登録時になります。その場合は保護者の許可を得て冒険者見習いのFランクとして、街中限定で活動できます。
コースケ君はここには該当しないので、詳細は省きます。
Eランクの次はⅮランクになります。
Ⅾランクに上がる為には、Eランクで所定の回数の依頼を達成しなければなりません。
もちろん、規定回数達成していたとしても、依頼失敗の回数が多いと中々昇級する事が出来ませんのでご注意下さい。
EランクからⅮランクに上がる為に必要な依頼達成回数は80回となっております。
Ⅾランクの次はCランクになり、こちらはⅮランクでの依頼達成回数が100回が必要になります。
Cランクの次がBランクで、依頼達成回数が130回になり、ここからは試験官による試験も必須になります。
Bランクの次がAランクで、依頼達成回数は200回とギルドマスターによる試験があります。そしてさらに上がありSランクとSSランクがあります。
このランクに上がる為には必要なのは依頼達成回数ではなく、複数のギルド長の承認が必要になって来ます。なので、3年に1度のギルド長会議で決定されます。
もし、そこまでのランクを目指す場合は、複数の地で活動されなければなる事が出来ませんのでご注意下さい。
ここまでは大丈夫ですか?」
「えっと、取り敢えず何とか。」
「次に受けられる依頼ですが、あちらの掲示板を見て下さい。
依頼の種類ごとの掲示板に張り出されております。その張り出された依頼に推奨ランクが記載されており、ご自身のランクのと前後のランクの物が受けられます。
コースケ君だとEランクとⅮランクの物が受けられることになります。Fランクはあくまでも子供用の依頼ですので、Eランクの方には受けて頂く事は出来ませんのでご注意下さい。と言っても、あそこには張り出されていないので、大丈夫だとは思いますが。」
「あぁ、はい分かりました。」
「次に冒険者ギルドの規則についてですが、冒険者ギルドは依頼人と冒険者を繋ぐ橋渡しになります。また、討伐された魔物の素材の受け入れ先でもあります。
その為、依頼以外での冒険者同士の諍いは基本的に当事者で解決して頂きます。
その際に生じた損害などのご自身の負担になり、法に触れる様な行為があった場合は、法に則り国から処罰され、冒険者ギルドからも追放となりますので、ご注意下さい。
登録時に似姿絵も作成されるので、手配書が回り、他の国や街でギルド登録も出来ません。
魔物の素材についてですが、こちらに関しては必ずしも冒険者ギルドに売って頂かなくて構いません。
懇意にしている商会や他ギルドの方に持ち込んで頂いて大丈夫です。
冒険者ギルドに売って頂いた場合は、素材費とプラスして討伐金が発生します。常時依頼の魔物であれば事後依頼と言う形で依頼達成という事にもなりますので、冒険者ギルドにお売り頂いた方が良いかと思います。ただし、ダンジョンの魔物に関してはこの限りではありません。」
「ダンジョンの魔物とそれ以外の魔物ってどうやって区別がつくんですか?」
「ダンジョンの魔物は、魔石と素材の1部のみを残して消えるから区別がつくよ。」
「成程。…ってティナどこ行こうとしてるの?」
「いや、洸ちゃんの為の代筆終わったし、洸ちゃんの面倒は見るけど、まだ依頼まで一緒に出来ないから、街の散策に行こうかと…。」
「一緒の依頼が出来ないって?」
「それでしたら、パーティーを組む条件をお伝えしますね。
パーティーを組む為には、ランクが重要になって来ます。パーティーを組めるのが、Ⅾランクからになり、尚且つ前後2ランクまでの方とパーティーを組むことしかできません。
コースケ君がティナとパーティーを組む為には、まずコースケ君がCランクになる必要があります。
何故このようになっているかと言うと、ランクによって受けられる依頼が決まっているからです。
この制度が出来る前は、高ランクの者と低ランクの者が組んだパーティーがあったのですが、大半が、依頼の途中で低ランクの者が死亡もしくは、冒険者として活動不可能になる怪我を負う事が多発していたからです。」
「要は低ランクの冒険者や回復士を自分達の依頼ランクで連れまわして死なせたり、荷物持ちか囮として連れまわしてたって事が多発してた時代があったからできた制度なんだよ。
Bランクからの試験もそれを改善する為にあるみたいだしね。
だから、洸ちゃんがCランクに上がるまではパーティーは組めないんだ。ごめんね。
毎日、鍛練はするし、依頼の相談も聞くから暫くは1人で頑張ってもらうしかないんだ。出来る限り力になるよ。」
「制度なら仕方ないな。街の散策楽しんで来て。
俺は、もう少しギルドの説明聞いてから特別依頼を受けるから。」
「分かった。じゃあ、3刻ぐらいしたらまた冒険者ギルドに顔だすね。」
私は洸ちゃんとターニャに手を振り冒険者ギルドを後にした。
それじゃあ、街の散策と情報収集をしようか。
お読み頂きありがとうございます。




