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第三章 後半(具体的な構成の手法)

第三章 後半





それでは改めて第三章、「読者に与える印象を意識して構成する」を始めよう!!


前半で「“構成”とはなんぞや?」ってことをツラツラ書きました。


今回の後半戦では、もっと具体的に話をしていこうと思います!




えーと、オレが提示した“構成”には「章ごとの構成」と、「章内の構成」の二種類があった。

具体的にしゃべるにはまず「章内の構成」がわかりやすいから、こっちからやります。





・章内の構成


章内の構成っていうのは、前半で「男の人がコップで水を飲む」描写で例を出したやつな。

因果関係的には同じでも、書き方によってだいぶ印象が違うよ、って話。


これこそまさに第三章のサブタイトル「読者に与える印象を意識して構成する」やねんけど、今回はもうちょっと具体的に話してみたい。

どうすれば印象を変えられるか。


まず方法として一番簡単なのは、「描写の量を増やすとその部分を強調できる」というもの。


これは前半の“コップで水を飲む描写”のやつ。

単純に書く量を増やすだけでいいねんから、簡単簡単。


なんでそれで“強調”になるのかっていうと、イメージとしてはアニメとかで銃弾が向かってきたときの描写を思い出して欲しい。


主要キャラの頭めがけて銃弾が一発、ドン。

銃弾やねんから時間にすれば1秒もないはずやんな。

でも頭に当たるまでの間が、急にスローになる。

世界全部がスローになる。


ドクン……ドクン……


目を見開くモブキャラ。


そして頭に当たった瞬間、いきなり時間が元通りのスピードに。



……よくある! よくあるよ!!


これも事実関係で言えば、

「頭を撃たれる」

の一文で説明終了やん。


でも実際作中では長い!


このアニメ的演出を文章で表現するなら、当然文章量を増やすしかない!

以上が「描写の量を増やすとその部分を強調できる」の理由付けっす。


というわけで、一番簡単なのが「重要なシーンの描写量を増やす」。

お手軽でオススメ!!



でもせっかくなので今回はそれ以外でも一つ提案したい。

文章の書き方にも通じる方法論やねんけど、まあ聞いてくれ。


題して「A→B→A理論」。



Aがテンション高い部分、Bがテンション普通の部分。

A→B→Aの構成を用いれば、読者の印象に残るシーンになる!

っていう理論。



つまりなぁ~……


つまり簡単に言うと

ギャグ⇒ギャグ⇒ギャグ

じゃアカン、ってこと。


ギャグ⇒普通の文章⇒ギャグ

にせなあかん、ってこと。


三つの文を連続でギャグにするのはよろしくないねん!

(いや、もちろん絶対じゃないで? 出来上がって見てみて面白けりゃーそれでいいねんけど、とりあえず「まだ自分は初心者かな?」って思う間はやめとこう!)


なんでアカンのか、それはウケへんから。


ギャグを入れてあるってことは、作者としてはそこでウケを狙いに行ってるわけやん。

そのギャグがウケへんでスベる、イコール失敗、イコール意図した印象の残り方をしない!


これはギャグだけに限った話ではなくて、ホラー描写とかアクション描写でも通じる。


ギャグ⇒ギャグ⇒ギャグ

がアカン理由はウケへんから。


ホラー⇒ホラー⇒ホラー

がアカン理由は怖くないから。


アクション⇒アクション⇒アクション

がアカン理由は臨場感がないから。



例を出してみよう。

文章力がないのでプロット形式で失礼するぜ。

以下の①とか②とか③は、それぞれ1文か2文くらいの短いくくりだと考えてくれ。


 ●例1 ホラー

化け物が追いかけてきてついに捕まるシーン


案1

①化け物が追いかけてくる!

②逃げて逃げて、物を投げたり必死に抵抗する!

③それでも捕まってしまう!


……うん。

まあ、これでもいいねんで。

いいねんけど。


構成で考えてみよう。

今回のお題は『ホラー』やねんから、目的としては、読者に与えたい感情としては“恐怖”やろ?

ということは、怖がらせなアカン。怖がってもらわんことには目的が果たせない、ってことになる。


もっと怖がってもらえるように構成を考えると……


案2

①化け物が追いかけてくる!(案1と同じ)

②いったんはまいたと思って安堵する。

③それでも捕まってしまう!(案1と同じ)


案1の①②③は全てがテンション高い状態。

案2は①②③は①と③はテンション高いけど、②はクールダウン。


これがオレが提唱するA→B→A理論。


もっと簡単に言えばだな。


×

ああああ! ああああ!! ああああ!!


ああああ! ……もう大丈夫かな…… あああああ!?


っていう……


あれ? オレ何書いてんのかな、、




 ●例2 バトル

主人公が魔法弾100発の連続攻撃を繰り出すが、敵は意に介さず殴りかかってくるシーン


案1

①主人公が繰り出した魔法弾100発が敵に命中する。

②敵は全くダメージを受けていない様子でそのまま主人公に殴りかかってくる。

③大ダメージを受け吹き飛ぶ主人公。


まあ、いいねんで、これでも。アカンことは全然ない。

でもな、このシーンが物語のどの部分に位置するかで印象をどのくらい強くするかを考えなあかん。

例えば冒頭、プロローグでなら、このプロットでOKやろう。

読者はきっとこう思う。

「ああ、この主人公は魔法弾100発撃ってるし、この世界のこと知らんけど、まあまあ強い部類なんやろう。それが、この敵はさらに数段強いんやな」


こう思わせることが目的なら、100%のプロットやろう。(プロットに100%とかあるんか知らんけど)


けど、例えばこのシーンが、物語のクライマックスやったとしたら?

前半までで厳しい修行を終えて強くなった主人公が、ついに仲間の仇と戦うシーンやったら?


これは劇的なシーンのはずやん。

驚愕のシーン、と言ってもいい。


なのにこのプロット。あっさりしすぎ!


あっさりしすぎ、やけど、じゃあどう変えればいいねん……

そこで私が今回お勧めするのがこの理論、「A→B→A理論」!


案2

①主人公が繰り出した魔法弾100発が敵に命中する。(案1と同じ)

②土煙(?)の中から腕だけが伸び、主人公の顔面に迫る。思わず「え?」と声に出てしまう主人公。

③大ダメージを受け吹き飛ぶ主人公。(案1と同じ)


A→B→A理論にのっとって、

案1の①②③は全てがテンション高い状態。

案2は①②③は①と③はテンション高いけど、②はテンション普通。


こうも軽く反撃されるということが主人公にとっては驚愕である、ということを表現できているプロットになった!(つもり)



どうかな!?


一応言っておくけど、オレは何も「全てこの形式で書け!」なんて言ってるわけじゃないねんで。

とりあえず書いてみて自分で読み直したときに、「あれ? なーんか物足りない……」って思ったときに、この方法を試してみる。それくらいの、テクニックの一つくらいの認識でいてほしい!




さて、このA→B→A理論。

実は全てのシーンに適応できるものではない。


例えば3つの文章が

怒り⇒怒り⇒怒り

の並びの場合はこの並びでいいねん。


恋⇒恋⇒恋

も、この並びでいい。


というかむしろ、怒りとか恋でA→B→A理論を用いてしまうと、水を注された感じになってテンションが下がる。

ここは注意な!


区別するなら怒りも恋も持続する感情やから、って感じかなぁ。

笑いも驚き(ホラー、アクション)も、発作的な感情やん? その場合はテンションに差をつけて、緩急つけることが大切になってくる。と思う。


ということで、ホラーでも

恐怖⇒恐怖⇒恐怖

なら大丈夫ってことやな!


まあオレはホラー好きじゃないので、ほぼ読んだことないねんけど(笑



まとめると、

印象深いシーンを作る方法として

・描写量を増やす

・A→B→A理論を使う。(発作的な感情の場合のみ有効)


この二つがある!



以上、「章内の構成」について割と具体的に書いてきたつもりやけど、理解していただけたかな?


次はもっと大きなくくりである「章ごとの構成」について書いてみます。







・章ごとの構成


よくある『物語の作り方』に、“起承転結”ってあるやん。

オレは別にこの理論に異論も反論も唱えるつもりはないけど、その解説した人、起承転結の“起”の部分に具体的にどのくらいのページ数を割くかって、書いてた?


いやごめん、それを書いてないからって否定とかするつもりじゃないねんけどさ。

オレ的には「起承転結は○○な理由からイイよ!」って解説よりも、「起承転結にそれぞれ何ページずつくらいに割り振るのがイイよ!」って言ってくれた方が、実践的でタメになるんちゃうかなぁ、って思ってん。


生まれて初めて「起承転結イイヨ!」って解説読んだら、

「そうかー、じゃあこれから全100ページの小説を書くから、起承転結それぞれ25ページずつで話つくろう!!」

って思わん?(><;)


明らかにオカシイやろ。。。

起とか承とかは25ページずつ使うのは普通かもわからんけど、転で25ページも使うかよ!

どんだけ二転三転すんねん!!


なんとなくわかったかな?

『章ごとの構成』っていうのはそういう話!


具体例を出そう。

今、物語を作っている最中で、

①男女が出会う

②男と女、喧嘩する

③仲直りする

っていう話を作るとする。

さてじゃあ、①②③それぞれに何ページずつ割り振ろうか。


実はこれにも章内の構成で話した「描写の量を増やすとその部分を強調できる」が適用できる。


だって極端な話、

①男女が出会う:5ページ

②男と女、喧嘩する:90ページ

③仲直りする:5ページ

みたいな小説本やったら、誰がどう見ても②の「男と女、喧嘩する」がメイン(強調されてる)の小説やろ。


もちろん

「これは紆余曲折あって男女が仲直りする話なんだよ!!」

っていう主張も間違ってはないけど、それは感想であって。


メインは何か、って訊かれたら文章量の全体の90%を占める「男と女、喧嘩する」がメインには違いない。


あ、誤解のないようにきっちり定義しておくと、

“②男と女、喧嘩する”の中には、「あれ? もしかして自分の勘違い……?」みたいな、仲直りフラグは一切ないものとしてくれ。

もう、②の90ページでは延々お互いをののしるだけ。時には肉弾戦、時には集団戦。とにかく喧嘩し続ける。


何せこれは“極端な例”やからね。


となると、やはりメインは「男と女、喧嘩する」やろう。作者が強調したのは喧嘩シーンやわ。

これで作者インタビューで「えーっそんなに喧嘩シーン目立ちますかね?」とか言い出したらマジ、そのインタビューページ破る(笑


さて、ここで考えたい。

この作品で、読者に与える印象として最も強いのも喧嘩だろうか?


描写量が多いから喧嘩かな?

まさかまさか。

そんな単純なら、みんなプロ作家やで。


「お前さっき文章量が多い箇所を一番強調してるって言うてたやんんんん!!」って言われそうやから先に言っておくと、

今考えようとしていることは、「この作品の一番の売りは何か?」ってこと!


個人的に、

「作者一番の売り=読者に最も印象が残ったシーン」

となっている作品が、最も優れていると思ってんねん。

これが売上げとか話題性とか関係なく、最も完成された作品やと思う。


つまりな、オレは「強調されている内容」が必ずしも“一番の売り”ではない!ってことを言いたい!!


①男女が出会う

②男と女、喧嘩する

③仲直りする


という物語を創るにあたって、②が一番ページ数的に多くなったとしても、作者として一番の売りは③のシーンだった、という場合。というか、この題材の場合はこれがほとんどやろう。


そこでさっきみたいな

「これは紆余曲折あって男女が仲直りする話なんだよ!!」

って感想を、読者に持ってもらいたい。


じゃあどうすればいい?


一番の売りの部分がページ数的に短くなってしまった。

さてじゃあ、どうやればその部分を読者の印象に強く残る?


……長くなってぐだってきた感がぬぐえないな。駆け足で終わらせる!



一番の売りを読者の印象に強く残らせる方法。


その方法は、A→B→A理論! また出た!


短い文章同士だけでなくて、もっと大きな分類でも適応できることを覚えておいて欲しい!



以上を踏まえて物語の構成を練るなら、以下のようになる。


①まず第一に“一番の売り”を考える。

②他の売りや、“一番の売り”の展開に繋がるストーリーを考える。

③一番の売りが最も印象深くなるように、ストーリーを“入れ替える”。サブキャラサイドの現在の話をはさむとか回想を入れるとか、具体的にはお任せする。主人公サイドの時間軸にこだわると“構成”が難しいからな!(※もちろん読者を混乱させたらアウトな!)



こんな感じ!

「何したらいいん…」っていう、雲を掴むような壁にぶちあたっている人たちには、少しは参考になるんちゃうかな!?

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