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あらま、知人ですか?

更新遅れてすみません。

作者なんとか治りました。

「かわいいですわ!」

「うん、やっぱり着こなし方だったな」

「流石でござる…」

「まず、凛々子がコーデしたものなんだから、オシャレに決まってるじゃないの」


 車内で凛々子ちゃんによるお直しが入った結果、テレビで見たような高校生の普通の着こなしになり、そこからリボンとカーディガンを買い足し、なんとか一般的オシャレな制服くらいには到達できました。

 やはり、これを軽々やってしまう凛々子さんたちは凄いですわ。

 そんな私たちはリムジンとおさらばし、今は街をぶらぶらと散策しております。

 どうやら、あのリムジンの運転手様はソフトウェア系の若き社長さんでした。今度、合コンという物に誘われてしまって、少しウキウキですわ。凛々子ちゃんが即答でお断りしてましたけど。

 『オモチカエリ』?というものをされなければ、大丈夫と白線デイズで言ってましたわよ!


「素敵です…!!ああ!これが『イマドキノ』女子高生なのですね!」

「うん、さてと、サボるって言ってしまったし、どこかサボりにいくか」

「まあ!でしたら、1○9など行ってみたいですわ!」

「「「まだ早い」」」

「そんなぁ…」

「というか、渋谷こっから結構あるから。今日は諦めな」


「渋谷に行きたいなんて、ずいぶん珍しいですね。四宮さん」

「いえ、前から行きたかった…って、鷺沼様!」


 思わず返事をしてしまった。不覚!!

 声の主の方向を向くと、そこには明子姉様が通う学園の現副会長である鷺沼様がいた。彼は現会長である元婚約者と同じくらいの権力を持ち、医師会のトップのお孫様である。また、まあまあの顔立ちであり、学校ではファンクラブもあるそうだ。全部、明子姉様談だが。


「お久しぶりです。和心女学園は本日お休みのはずではないと思うのですが?」


 相変わらず、そういう鋭いところを気付く男で、私的にかなり苦手な男。しかも、顔を会わす度に嫌味を言ってくるなんて、本当に悪趣味ですわね。


「あれ?白川様から聞いておりませんの?」

「いえ、別に。昨日から会っておりませんからね。今日は富士見の創立記念日ですが、そちらはまさかサボタージュですか?」

「うふふ、そうなりますわね」

「四宮様がまさか、そんな…」


 嘲笑をどうもありがとう。成果主義的な貴方にとって、相変わらず『お嬢様』な四宮は大嫌いでしょうし、サボりなんて特にお嫌いでしょうね。嫌いなら話しかけてこないで欲しいわね。


「もう、四宮は関係ありませんわ。私が何をしようと、それは仕方ないことなのよ」


 ただ、私にとって鷺沼様の視線なんて気にしたこと一度もありませんけども。


「ああ、もしや、姫山と…」


「姫山とは誰ですか?」


 どこかで、聞いたことがあるような気もしますが、姫山…ああ!もしや!

 だとしても、私にはとっくにどうでも良い人ですけども。


「それは…「ぴよ、カラオケでもいく?ここから近いからさ」


「それは、いいですわ!カラオケ初体験!

……では、鷺沼様、さようなら」


「……はい、また。四宮様」


 また、は、ないと思いますけども。鷺沼様と別れ、私たちはカラオケに向かいました。丁度、13時から18時まで学生歌い放題キャンペーンをしていたので、ささっと入ることができました。


 そして、画面つきの小さな機械を一人一台ずつ持ち、時計回りの順番で歌うことに。私は一番最後なので、一つ手前の凛々子ちゃんに使い方を教えてもらうことになりました。


「なに歌いたい?」

「そうですわね……うーん……アレがいいですわ!般若心経!」

「なぜ、それ」

「この前、鶴代姉様に教えて頂きましたの」

「うん、違うのにしよう」


「ちょっと!私の歌ききなさいよおおお!」


 一番最初のエレンちゃんがキレる。いや、ノリノリの女性歌手の最新洋楽上手でしたわ!なんとか、エレンちゃんを宥め、今度は亮さんが歌い出す。……みこみこなーす?なんですか?それ?

 ただ、あまりにも素晴らしい滑舌に思わず拍手してしまいましたわ。


 とりあえず、なんとか一曲目いれることができました。

 凛々子ちゃんはいつも聞いている和製メタルの曲を一つ。安定の低い声ととてもお上手な歌声に聞き惚れてしまいます。例え、地獄について歌っていても。


「さて!私の番ですわね!」

「何いれたの?」


「うふふ!これですわ!」


「「「讃美歌!?」」」


 そんなこんなで、私たちの楽しい時間は過ぎて、門限が近くなったので、電車に乗って帰ることにしました。


「切符ではなく、ついに『Urare(ユラレ)』をゲット致しましたわ!」

「定期入れ、今度買わないとな」

「はいっ!!」

「しかし、今からうちの寮で…って、その前に普通の制服取りに行く必要がござった」

「そうねー、明日の準備してから一緒に行きましょうね」


 電車から降りて、少し歩いたところにある自転車を停めた駐輪場に向かう。よく考えれば、こんな夜遅くまで自転車を停めてたことがありませんわ。何時もより少し高くついている金額を払い、自転車に乗る。

 途中で、コンビニの店員さんと目が合い、会釈をして通りすぎる。さあ、寮に向かって一直線ですわ!


「お待たせしましたわ!」

「お…おう、なんか荷物多いなあ…」

「そうですか?」

「凛々子ちゃん!細かいことは気にしない!さ、お菓子と飲み物一杯買って寮に帰るわよ!寮長に殺される前に!」


「「イエッサー!」」

「い、いえっさー?」


 これでもかとコンビニのお菓子を買い込み、全速力で凛々子ちゃんたちの寮に向かいました。しかし、着いたところを寮長である許斐先輩に見つかり、全員こってり絞られました。可愛い見た目なのに怖いですわ……。









 俺は喫茶店で先程のことを考えていた。

 偶々、見掛けた四宮雛恵は、更に美しく、そして親しみやすくなっていやがった。「鷺沼様」と自分を呼んだあの心地よく、そして凜とした声が耳から離れない。

 四宮家特有の濡れ羽色の髪を、無惨にも短くし、しなやかに揺れる真っ直ぐな髪を下品に巻き、そして、冷たい美貌を薄っぺらく微笑ませ……あああああああ!何故だ!何故昔からああなのだ!


 あの女が歌えば周りに花が咲き!ピアノを引けば息さえ出来なくなり!踊ればそこに光が降り注ぐ!

 そう、まさに、高嶺の花だったアイツが、なんで、こんな庶民の街にいた、何故あんな品のない服装をしていた!


 ムカつくムカつくムカつく…!!


 アイツの泣き叫ぶ顔が見たかった、アイツが狂う姿が見たかった、アイツが衰弱していく姿が見たかった!!直に見たかったのに!!何故、あいつは一切悲しんでないのだ。昔から可笑しかった、屑の側に無理矢理でもいたのに、あの女はなかなか現れない。


 現れても、屑にすがることもなく、媚びることもなく、薄っぺらくとても短い挨拶をすればどっかに消えてしまう。


 あああああああ、腹が立つ。


 前から狙っていた、折角のチャンスだったのに!俺にとって!望み希薄だったが、ずーっと組み立てていた計画なのに!


「作戦、変更だ」


 優雅に立ち振舞うこの男が、まさかこんなことを考えてるなんて誰が思うだろうか。静かにそう呟き、本を畳む。


「……全てを見るには、あの女が必要なのに」


 見た目はあの女にそっくりの、麗しの兄の婚約者をそっと浮かべる。ああ!お美しい!!兄よりも私が幸せにできるのに!!けれど貴女の為なら遠くから見つめてる!

 ああ、鶴代さん!20年も前から貴女しか見えてかなかった、少ししか会えなかった貴女をずーっとずーっと待ち望んでいた!


 けれど、相思相愛の二人を壊したくはない意気地無しの俺。鶴代さんの壊れる姿を一番見たくないのだ。どうして、兄じゃなかったのだ。でも、他人妻の貴女も麗しく甘い……

 ああ!全てを見たい!

こんな、とても不安定で不毛なこの気持ちを、抑えるのは難しい。だからこそ、あの女が必要なのだ。


 顔が殆ど同じで、性格もまあまあ似てて、声も、身体つきも似ている。胸は薄いけれども。そして、壊れたところで全くこちらに痛手はない。

 正に、俺の鶴代として代役になりうるのだ。それなのに…!あんな下品になりやがって…!!


 屑を塵と一緒にして、掃除した俺の努力を返しやがれってんだ!!



 兎に角、俺に惚れさせなければならない。

 

 俺は財布を取り出した。





実は半分くらい高熱時に書いたもので、

誤字脱字を私でも直したのですが…

報告お待ちしております。

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