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ギルティ・マジック  作者: ミスター
第一章
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~第一話~ライフランド王国へ

 ライフランド王国の城門前に黒いフード被ったクライシスがいた。背中には大きめのリュックを背負いそれ以外は何も持っていない。

「いやー、でかいでかい」

 少年は自分の何倍もある門を見上げながら一人で呟いている。

 ライフランド王国は大陸の中央ということでいろいろな施設がある。世界に一つしかない魔法を専門的に教えるグランバレル魔法学園や各国が平和を守るために協定を結んだ連合国を束ねる連合政府の本部もここにある。そのため国の規模はかなり大きい。

 


 クライシスは全開の門をくぐるために歩き出した。

 城門付近には王国の紋章をつけた兵士が六人見張っている。クライシスの他にも城門を通る人がいるがその中でも彼は目立っていた。

「おい、お前、止まれ」

 当然クライシスは兵士に止められた。

「俺ですか?」

 クライシスは止められることを分かっていたが白々しい演技をしている。

「貴様見るからに怪しいな。少し話を聞かせてもらうぞ。こっちに来い」

 


 兵士はクライシスの腕を掴んで行こうとするがそれは叶わなかった。

「その記憶を偽りに改変する。【メモリーフォース】」

 クライシスが唱えると腕を引こうとしていた男は手を引っ込めた。

「もう、行っても良いぞ」

「分かりました。ありがとうございます」

 クライシスはフードの中の口元を緩めながら城門をくぐって行った。その光景を仲間の兵士たちは不自然に思っていたが彼を止める者はいなかった。

 クライシスがさっきの兵士に使った魔法は記憶を改変する魔法【メモリーフォース】。彼は兵士の記憶を『話を聞いたら不審者ではなかった』というものに変えたのだ。この魔法は危険で禁忌魔法に認定されている。

 


 門を抜けたクライシスは一先ず酒場に向かった。

 何故、酒場に向かったかは簡単で情報を集めるためだ。大抵の情報はゴロツキが集まる酒場にある。そのためクライシスは必ず街に入ると真っ先に酒場に行く。

 八百屋から武器屋、アクセサリーを売っている街道の中に酒場があった。

 開け放たれている扉の向こうはアルコールの臭いと朝から酒を飲む男たちの話し声がしている。その中に躊躇無く入って行ったクライシス。黒いローブのフードを目深に被っている彼は目を引いた。

 


 それを意に介さずクライシスはカウンターの席に座った。彼を見ていた人たちもそれぞれの話に戻って行った。

「ご注文は?」

 カウンターの中でグラスを磨いていたこの店のマスターは丁寧な口調で注文を聞いた。

「一番アルコールの強い酒で頼む」

「かしこまりました」

 マスターは慣れた手つきで戸棚からこの店で一番強い酒レッドヴァーンを取り出しグラスに注いだ。

 レッドヴァーンはアルコールにサラマンダーの血を混ぜた飲み物で世界で一番アルコールの強い飲み物だ。

「お待たせしました」

 グラスには赤い色をしたレッドヴァーンがある。クライシスはそれを一気に飲み干した。



「ッカァー!美味い!」

「お客さん、お酒強いんですね」

「まぁな。それよりマスター最近ここら辺で何かおかしなことが起こったとか、そういうことってない?」

「おかしなことはありませんけど、ここに近い森で火事が起きたとか」

「へぇ、火事ねぇ」

 クライシスには思い当たることがあるのだろうが何も言わずにマスターの言葉に耳を傾けている。

「その火事を起こした奴があいつっていう話なんですよ」

「あいつ?」



 クライシスが聞き返すとマスターは先程よりも声を小さくして言った。

「あいつですよ。ワールドブラックリストナンバー1。懸賞金十二億四千六百万の男、世界最強の大犯罪者クライシス·クレイムですよ」

 ワールドブラックリストとは連合政府が決めた世界に害を及ぼす人間たちのリストでそれぞれに懸賞金がかけられている。その中のナンバー1。クライシスは全世界の人間に恐れられている。

 その話を聞いたクライシスはにやけそうになる口をきつく閉めた。

「そりゃあ、大変だな。もう、ここに来てるんじゃないか?」

「その可能性もあるので王宮騎士団と連合騎士団が国内の警備を強化しているようですよ」

「へぇ、なるほどな」

 クライシスはマスターの話を聞き終わるとお金を出し席を立った。



「お客さん、あんたそんな格好だから兵士に間違って捕らえられるかもしれないから気をつけなよ」

「あぁ、分かってるよ」

 最後にマスターの忠告を聞き店を出た。

 店を出たクライシスは連合政府本部を見た。

 連合政府本部はライフランドの王宮と隣接する形で作られている。それでもかなりの大きさだ。

「待ってろよ。権力にすがるクズ共め」

 鋭い目で本部をクライシスは一瞥した後、目的を果たすために動き出した。

「あれ、今の人なんかお兄ちゃんに似てたな。ってそんな訳ないか、お兄ちゃんがこんな所にいるはずないし」

 クライシスはある少女とすれ違ったがそれは今の彼は知らない。


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