~プロローグ~犯罪者
楽しんで読んでいただけたら幸いです。
魔法が普通に存在する世界グランバレルにある五つの大陸のうちの一つで、主に人間が住むと言われるセントラル大陸の中央に位置するライフランド王国。そこに近い森の中に甲冑を着た騎士が十数人、それに囲まれて一人の黒いフード付きのローブを被った少年がいた。
「追い詰めたぞ。大犯罪者クライシス·クレイム」
「あんたらも好きだねぇ。俺を捕まえたって良いことねぇぞ」
一人の騎士にクライシスと呼ばれた少年はおどけたように笑って見せた。
「黙れ!連合政府に対する貴様の数々の愚行、許されるものでない!」
「ハハハ!そりゃそうだろうな。俺はお前らが嫌いだからちょっかい出してるだけだしな」
「下衆め!」
「おいおい、あんまりなめたこと言うなよ。······殺すぞ」
瞬間、クライシスの雰囲気が変わった。それに気付いた騎士たちも各々が持っている武器を構えなおした。しかし、彼らは動くことが出来ない。彼の発する異様なまでの殺気が彼らの行動を封じている。
フードからチラリと見えるクライシスの目は冷徹に輝いている。
「敵を紅きに染め上げ爆ぜろ。【エクスプローション】」
少年が唱えると辺り一帯が爆発した。
爆発したことにより周辺にある木に火が引火し、まるで火の海だ。
「まあ、これくらいじゃ連合騎士団なら生きてるだろうし、早く逃げるか。······飛ばせ。【ムーブモーメント】」
そして、クライシスはその場から消えた。