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Zbv prime  作者: はるまき
2/13

選択を

(2025年・日本 岐阜県)


この25年

男が一人になってからの25年

この家には呼び鈴の音も、玄関を叩く音もない。


ただ、部屋の中の古びたスマートフォンが、 メールの着信音だけをくぐもらせて鳴っていた。


振動音にすら耳を塞ぐように、男は汗で湿った布団の上でうずくまっていた。 夏。 風はなく、扇風機の首も止まっている。

カーテンも閉めっぱなし、時計は数年前に止まったまま。


昼過ぎにようやく画面を見た男の目にzbvの文字が飛び込んだ。


『ZBV採用窓口です。』


『あなたのプロファイルに適合が見られました』 『詳細を知りたくなければ、“はい”を押してください』 『報酬・義務・身分・帰属の説明はありません。全ては選択です』


男は無言だった。


『選択を……』


男の指が動いた。


その瞬間、スマホの画面は真っ黒になり、 もう二度と文面が現れる事はなかった。


翌日、男の部屋には誰もいなかった。 家族も通報しなかった。 バイト先もすぐに忘れた。 町の人々は彼の名前すら思い出さなかった。




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