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Zbv prime  作者: はるまき
11/13

歓迎


昼前、バスは小さな地方道に面したレストランの駐車場に滑り込んだ。

「ドライブイン木曽川」と書かれた、観光バス用の立ち寄りスポットだ。


外は真夏の日差し。蝉の声がけたたましく鳴いている。


店の前には、紙の立て札が出ていた。


> 「ZBV御一行様 歓迎」




無地のバスに乗った無言の集団に似つかわしくない文字だった。

観光客でも、修学旅行でもない。

けれど、店内にはすでに席が用意されていた。


店員は愛想よく「どうぞ〜」と迎えたが、

その目には明らかな戸惑いが混じっていた。


プレートには、カレーとハンバーグ、パックのお茶。

全員、無言のまま黙々と食べ始める。


そのときだった。


背広を着た男が近くの席に腰を落とした。

ネクタイに汗を滲ませた、地元企業の営業のような中年男。

無遠慮に声をかける。


「君たち……どこの会社の研修?」


反応はない。男は気にせず続けた。


「ZBVって、何の略? バスに何も書いてないし……あの、失礼だけど、ちょっと雰囲気が、ね」


笑うでもなく言った。


「俺も昔、就職失敗してな……変なビジネス研修とか受けたんだよ。“自衛隊式”とか銘打ったやつで。

でも君たち、冗談抜きでヤバい組織に連れてかれてない? 顔つきが、なんか……」


そこまで言いかけて、彼はやめた。


「……なんなんだよ、本当に……」


背広の男は、誰に返答されることもなく、所在なさげに立ち上がった。

それ以上、深入りはしなかった。



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