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0話 双子


空中の水分が光を反射して青く空を染める。

草木が風で揺れて葉々が音を立ててこすれていた。


木漏れ日が地面を照らす森を一匹の真っ黒い虎が全速力で走っている。

虎は木々をよけながら全力で地面を蹴って、ある人物を追っていた。


それは青い髪を二つサイドで結んでいる八重歯が特徴の可愛らしい女の子だった。


肩掛けバックをかけたツインテールの女の子、葉華邪ばかじゃは追われながら慌ててバッグの中をひっくり返して、追ってくる虎を撃退する方法を考えていた。


「やばい、どうしよぉ笑雨と離れちゃったぁ!!」


葉華邪は走りながら、ずっと追ってくる虎をちらちらと見る。

牙を剝き出しにして追いかけてくる虎を見た葉華邪はぞっとして、後ろを見ないことを決意して走る速度を上げる。


だが、急に後ろの物音が止まる。

散々追ってきていた虎が止まったのを感じた葉華邪は恐る恐る後ろを振り返った。


見ると、足を止めた真っ黒い虎が木漏れ日を受けながら一点を食い入るように見ている。

葉華邪もつられて同じ方向を見ると、その先には一人の少女が立っていた。


綺麗なサラサラの青髪がショートカットで切りそろえられて、片目を隠している。

虎はその少女の元にゆっくりと落ち着いた様子で歩いて行く。


その虎の様子は先程まで葉華邪を追っていたとは思えない程落ち着ており、葉華邪はまるでさっきまで追われていたのが噓のように感じていた。


虎が少女の元に来ると少女は優しく虎の頭を撫でる。

すると虎は意識を失ったように地面に寝そべった。


「笑雨!!よかったぁ笑雨迷子になっちゃだめだからね?」

「いや、葉華邪が迷子なんだよ?!」


その少女は笑雨と言った。

笑雨は葉華邪の双子の姉である。

顔はそっくりで髪型が違わなければ彼女らを知る人も判別できないだろうと思われた。


この二人が暮らす世界には魔法がある。

魔法を使うには力が必要でその力は魔力と呼ばれていた。


そして、この世界では一人の人がたった一つの力を手にする事がある。

葉華邪の姉である笑雨はそんな力を持っていた。


「それにしても笑雨の『掌握』はすごいねぇ。」

「葉華邪も術式持ってるでしょ?」

「そうだけどさぁ」


笑雨が持っていた力とは『掌握』という力だった。

一人一つの力は術式と呼ばれ、術式は肉体に宿る。


笑雨の『掌握』は触れた物にルールを新たに付け足し操ることができ、そんな術式を使って笑雨と葉華邪達はこの世界を毎日生き延びていた。


だが、この二人はこの世界の住人ではなかった。

笑雨と葉華邪がこの世界で生きることにはなったのはつい2か月ほど前のことだった。

笑雨


葉華邪の姉であり、阿呆九冴家の長女。


術式「掌握」

対象に触れたり対象を認識した上で名前を呼ぶことで、対象に新たなルールを付け加え自身の手足のように操ることができる。

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