第5話 新たな仲間
「それじゃあなサクラ、俺はファルムと森へと帰る。
お前は、この元凶なる者を頼む。
もしもの時は俺もファルムも手を貸す、それじゃあな」
そうしてファイブとファルムは森へと消えて行った。
(ふふっ、あの時のファイブとは大違いね)
「さてと」
私は歩みを進め街へと向かった。
次の街はパルムンテ街と言う街だ。
ここでは闘技場があり、男や活気ある若者がチャンピンになる為に頑張っている場所だ。
道中にある水が湧き出る池に寄り、少し涼んでから街に向かった。
パルムンテ街
中に入ると街は活気があるのか出店などが並んでいてこちらもうきうきしそうになる。
私は早速ギルドへと向かった。
ギルドに入ると数人の冒険者が居る程度で少し寂しさのようなものを感じた。
「こんにちは、今日はどのような依頼を受注されますか?」
少し暗そうなピンク髪の受付嬢が私に向かって言う。
「あの、この街で異変とか起きていませんか?」
「異変?ですか………はぁ〜あの…その少し別室で良いですか?」
私は受付嬢にちらちらと見られながら別室へと向かった。
中に入ると特に変わりない部屋がある。
「お席にどうぞ………サクラ・ソラノ様」
!?
(私の名前を知っている!?)
「な、何で私の名前を!」
「私はパルムンテ街のギルド受付嬢のミリネと言います。
貴方の名前は最近有名で、私も聞いたので知っているだけですよ」
そう言いミリネはお茶を差し出す。
「そうですか」
「先ほど異変は無いかと言われましたが、異変は起きています。
この街に闘技場があるのは知っていますよね?」
「はい」
「それなんですが今は完全に封鎖しています」
「え?どうしてですか?パルムンテ街と言えば闘技場で有名ですよね?」
「そこに突然、黒いフードを被る男が占領しまして、立ち向かった者は居たのですが誰一人として帰ってきた者は居ないのです。
ですので、今は封鎖しているのです」
「黒いフード……」
「何かご存じなのですか?」
「まぁ少しだけですけど、それよりも誰一人として帰ってきた者は居ないのですよね?
だとしたら、貴方はなぜ黒いフードを被る男が居るって言ったんですか?
普通、分かるわけ無いですよね?」
すると
「くすくす、ふふっ、流石サクラ・ソラノね。
そうよ私は黒いフードの一人なの」
「何!?」
私は距離を取り武器を構える。
「でも安心して、私は黒フードのグループには入っていないから」
「どういう事?」
「私は今の平和な状態が好きなの。
それを犯す者は許さないし、嫌いなの」
「そう……ですか」
「ねぇ、サクラさんは一人で行動しているの?」
「仲間と呼べる者は居ますけど、その人達は別行動していますよ。
仲間だった人は家で留守番ですけどね」
「なら!私を加えてほしいの!
私は魔法も剣技もそれなりにはあるわ」
「その程度では連れていけないよ、危険しかないし。
そもそも闘技場に入った人達はそれほど強い人達なんでしょ?」
「まぁ、ギルドが集めた先鋭の強いチームですけど。
帰ってきてませんね」
「そんな人達よりも失礼だけど弱いでしょ?」
「でも!」
「そんな危険な所には連れていけない、私一人で闘技場を攻略する。
任せておいてよ」
「嫌!」
「何で?」
「私は大切な者を殺されたの、グループに入る時にね。
私は絶望し、心も闇に染まりかけていた時、そのリーダーがサクラ、貴方を殺せば妹を生き返らせてやるって、だから………」
「それで私を殺るつもり?」
「でも、こんな事をしても妹は戻ってこない………そんな気がしてそれで何も言わずにグループを抜けたの」
「そう、妹の仇があるのね」
「お願い!私を連れて行って!」
私は懇願するミリネを見て……
「分かった、連れて行くよ」
「本当ですか!?」
「でも危険な場合は貴方一人を闘技場の外に転移させる。
私は一人で殺るから、もしも私が戻ってこなかったら、よりすぐりの冒険者を連れて来て攻略しなさい。
奴らは危険だから」
「はい!」
「それじゃあ行くわよ、ミリネ」
「はい!サクラさん」
私達はギルドの中で闘技場に向かうために準備を進めた。
ポーションや爆弾、矢などを補充し装備もバッチリ。
と言っても、ミリネさんは身軽な方がいいらしく、ギルドの服を着ていくとの事。
勿論服の下には、並の剣でも弾くほどの硬い防具がある。
(勿論、女性でも重くない素材だよ)
私達は街を歩き、闘技場の方へと向かった。
闘技場に向かうにつれて、人の数は減っていきそして
闘技場
闘技場の近くはほとんど人はおらず、静かに風が吹いている程度だった。
「今までは活気のあった闘技場もこのザマね」
「取り返しましょう!街のシンボルでもある闘技場を!」
「はい!」
私達は闘技場の中へと入る。
その瞬間、誰かに見られていたような気がした。
………また獲物が入りましたっす、しかも今回は目的でもあるあの女っす。
………、なるほどここで始末してしまえば俺達はあの方の側近になれる。
俺と殺る前に、ミスティスとやらせろ。
………ミスティスとっか?ミスティスに総取りされるっすよ?
………アイツがあの女に勝てるとでも?俺は分かる、生贄なる者は強い。
ミスティスなんて準備運動レベルだろう。
……そうなんっすか?ミスティスが準備運動とはやばすぎるっすね。
……お前はもしもこの俺がやられた場合は報告を頼むぞ。
ホウレンソウだ。
……分かってるっす。
健闘を祈るっすよ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
私達は静まり返る闘技場内を歩いた。
太陽が無いので暗く、凄く不気味だ。
そうして歩いていると少し開けた場所にたどり着いた。
そこは闘技場内のフィールドとは別の場所、どうやら練習場らしい。
私達はたどり着き辺りを見渡す。
しかし暗くて何があるか分からない。
「ミリネ、少し待って」
「どうしたの?」
「………誰か居る……」
コツコツ。
(誰かがこの中に居たの!?こんな暗い場所)
そして
パン!!!
大きな音と共に明かりが付く。
そこには白いドレスの女性が立って居た。
髪は金髪ロングだ。
「ようこそ、サクラ・ソラノさん」
目を見開ける女性は瞳が赤く染まっていた。
「貴方は誰?どうせ、黒のフードグループの一人でしょ?」
「せいか〜い、私の名前はミスティス・アメラですわ。
貴方を始末し、認めてもらう……ところでなぜ貴方が?」
ミスティスはミリネの方を見た。
「ミスティス……貴方、ここで何をしているの!」
「私はあの方からご命令でサクラ・ソラノを始末する為にここに来たのですわ。
そもそも、貴方は私達と同じ仲間ですわよね?
なぜ敵側の方についているのかしら?」
「それは妹の仇よ!!!あんなグループに入らなければ妹は生きていた!
だからこそ!私はあのグループを壊滅させる、その為にサクラさんと一緒にいるのよ!!!」
「へぇ妹ね、ねぇもしもその妹が生きているとしたら、どうする?」
!?
「どういう事!?」
「生きていたらその隣の女、殺せる?」
「そ、それは……」
「ミリネ、私は貴方を信じて連れてきた。
ここで裏切られるなんて思っていない、それに妹が生きているはずが無い。
もしも生きていたとしても、変なやり方で無理やり生き返らせた可能性もある」
「ふふっ、揺れているのですわよね?分かりますわ。
妹と共に居るか、その女を殺すか……ふふふ、さぁ決めて」
「わ、私は…………サクラさんとともに居ます!!!
私は誓ったんです、妹を失ったあの日から!」
数年前
「ど、どうし・て」
「失った方がこう動かしやすいだろ?
ミリネよ、我の為に動いてくれるな?………もしも、目的の奴を連れてきた場合、お前の妹を生き返らせてやる。
勿論、このグループも抜けてもいいぞ」
「……」
「まぁ、考えておくといい。
勿論、最優先で奴を我の元へと連れてくるのだ」
「………はい」
………
…………
(どうし・て、どうして貴方が死ななければならないの?
私はこんなヤバい組織のグループに居たなんて………悔しい……許せない……でも生き返られせてくれるなら……いや、でも………妹はこんな姉を望んで居ないよね?
……私は誓うよ、奴らのグループをぶっ潰すって。
その目的の人に会えるのなら!)
「そう、誓ったのね。
なら死んでもらうわよ、妹と同じ所に行かせてやるわ!!!」
!?
ミスティスは一瞬でミリネの目の前に行き斬りかかる。
「ふん!!」
(やば…)
ガキン!!!
「やらせないわよ!!ミスティス!」
私は攻撃を剣で防ぐ。
「やるわね!!でも、これならどうかしら!!!ゴッドファイア!!!」
「ぐぅぅ!!!」
剣で防ぐがあまりの熱さで剣がカンカンに熱くなっている。
「ウォーターレイン!!!」
!?
「ちっ!」
ミスティスは軽くジャンプし後ろへと下がる。
「うっ、ありがとうミリネ」
「サクラさん!腕が」
「いいの、これくらい!!」
「ほらほら!!!どんどん行きますわよ!!!ファイアボール!
サンダーボール!!!おまけにウォーターボール!!!」
(くっ!速い!!)
(このままじゃ、こっちのスタミナが尽きる!!
それなら!!!)
「はああ!!!ジャッチメント!!!」
!?
剣を刺した所から光の矢がミスティス目掛けて地面を這うように向かった。
それは動けなかったミスティスに迫り
「ぐあああ!!!」
どうやら直撃したようだ。
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