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第2話 久しき者と襲いかかる者

私は街の中を走り、ある家を見つけた。


 (ここだ)


 私は扉を開ける。


 シーン。


 (静か………まさかやられちゃったか?それかもしくは)


 少し考えようと気を抜いた瞬間


 「何者だ?」


 声が真後ろから聞こえた。

 そして首を動かせば死ぬと。


 「サクラ・ソラノよ、声からしてテンね」


 !


 「ま、まさか!」

 私は振り返る。


 やはりそこにはテンが居た。


 「サクラ!いつ帰ってきた!?」


 「数日前にですよ、それよりも無事で良かったです」


 「………」


 「どうしたんですかテンさん」


 「ナインとライカが連れされたんだ」


 「え?」


 「ワシもあまりの事で驚いたんだが突然過ぎてな。

 お前が来るそう、10分前黒いフードを被る男が来て何やらナインと話していたんだ。

 ナインの近くにはライカが居てさ、ワシはと言うと料理を作っていてな、それで突然ナインの悲鳴が聞こえて咄嗟に向かったんだが玄関に誰も居なくてそれで」


 「もしかして元凶の魔法使いの下僕が連れ去ったのかもしれません。

 テンさん、ライカさんとナインさんを救出しましょう!

 速くしないと不味い……いやもしかしたらもう既に……」


 「どういう事だ?」


 「実は先ほど冒険者を助けたのですが、実は主婦の魔物が現れたんです」


 「主婦?!な、どういう事だ?と言うか主婦って人間じゃろ?」


 「多分ですが魔法使いに魔物にされた可能性があります。

 魔物であれば魔石があるはずですが今の所分かりません」


 「お前が言ったことだとナインとライカは既に魔物にされていると?」


 「はい、敵がどう言う理由でこんな事をしているかも分かりません。

 ですがこの大陸を支配しようと考えているのは間違いないかと」


 「くっ、敵の居所とかは?」


 「分かっていません、冒険者の方にも探してもらっていますが…………うん?」

 私は何やら気配を感じた、見られているようなそんな感じを。


 「テンさん、この気配」


 「ああ、お前の言う事の通りかもな。

 出るぞ」


 私とテンは家の外に出る。


 !


 (くっ、やはりか)


 「ナインさん、ライカちゃん」


 そこには黒い服装の目の虚ろなナインとライカちゃんが居た。


 「見つけた、目的の敵……サクラ・ソラノ」

 ナインが言う。


 「うん、見つけた……あの方も喜んでくれるね」

 ライカちゃんが言う。


 言葉が淡々としていて意識も乗っ取られているかのようだ。


 「二人共!どうしたの!目を覚まして!」


 「ナイン、ライカ!何があった!」


 「邪魔者のテン、お前は始末する」


 「殺せばあの方が褒めてくれるね、殺すねテン」

 2人は剣をどこからか取り出す。


 (どこから剣を?!空間収納でも持っているのかしら?!)


 「やああ!!!」


 「くっ!」

 私は咄嗟にテンの前に移動し二人の攻撃を防ぐ。


 「サクラ!すまない」


 「いいんです、私はこの大陸の平和を望む者。

 ここでテンさんを殺される訳には行きません!!!」


 「くっ!対象物め!」


 「目的の敵、強いねナイン」


 「ワシもやらせてもらうぞ!!覚悟せい!神速斬り!!」


 「ぐわあー!!」

 「いやー!」


 それはサクラでもようやく目を追いつけるほどの速さだ。


 (これが本当の神速斬り……歴戦が違う)


 「ちっ、邪魔者も対象物も!これ程強いとは…うぐっ」


 「ナイン、このままじゃあの方に怒られちゃうね。

 ヤバイね、どうしようね」


 「くらいなさい!!ウォータープレス!!」

 

 !


 「キャアアアー!」


 2人は私の攻撃をくらい倒れる。


 「ぐっ、この……ま…まで……は」


 「や、やら……れる………ね」


 (このままやれば2人は倒せるけど……くっ、何か何か無いの!2人を救う方法が!!)


 「サクラよ!拘束魔法を出来るか!」


 !


 「はい!!チェイン!!!」


 私は魔法を唱え2人の四肢を拘束する。


 そうしてテンはナインの方へと向かい


 「少し見せてもらうぞナイン」

 

 !?


 テンはナインの服を破く。


 「な、なな!て、テンさん!?何をして!!!」


 「サクラよ!!これを見よ!!」


 「うん?」


 私はテンさんの言葉でナインに近づく。


 「!?」


 そこにはナインの胸辺りに黒い塊があった、それも目玉が付いている。


 「これは一体!?」


 「ライカよ、ワシを怒るのは後にしてくれよ」


 テンはライカの服も破く。


 するとナインと同じように胸に黒い塊が。


 「これが原因かもな、これを潰すぞ!」


 「でもそれで2人が死んだら!」


 「ワシだって…………嫌じゃよ、若いもんに先立たれたら」

 テンさんは短剣を持ちながら泣いていた。


 「テンさん」


 「救えるか救えないかは分からない、じゃがワシはサクラと同じ、平和が一番じゃ!

 それではやるぞ」


 「はい!」


 私とテンは2人を傷つけないように黒い塊を取った。

 

 すると黒い塊にあった目玉はビクビクして閉じていった。


 「………どうじゃ?」


 「………うっ、て、テンおじ…さん?」


 !?


 「ライカ!!!」

 テンはライカを抱きしめる。


 チェイン魔法は黒い塊が取れた時に解除している。


 「うっ、くっ………お前はサクラ・ソラノ!?な、なぜ貴方が」


 ナインも目を覚ます。


 「ナインさん、無事で良かったです」


 私は涙を流す。


 「どうしたの二人共?何で泣いているの?ライカ、何か悪い事した?」


 ライカは泣きそうな顔をしている。


 「ライカよ、お主は何も悪い事はしておらぬ。

 疲れているだろう、眠って構わんぞ」


 「うん、ちょっと疲れているからお休みするの」

 ライカはそう言い目を閉じた。


 「この空、何よこれ…………って!?服が破けてる!?」

 ナインは顔を真っ赤にする。



 「あ、ごめん。

 これはテンさんがやったから」


 「ちょ!おい!」


 「て〜ん〜これはどう言う事かな〜?」


 「おいおい!話を聞け!これはだな!お前やライカを助けるためじゃ!」


 「まさかライカちゃんのまで!?エロジジイそんなに見たかったのかよ!!」


 「ちょ!待て!そのままにしていたらお前らは死んでいたんだぞ!」


 「……どういう事?」


 「実はだな、お前らの胸の辺りに黒い塊がついていたんだ。

 しかも目玉までついていて、ワシはそれが原因では無いかと思い服を脱がす時間が無いから仕方なくだな服を破ったんじゃ」


 「そうなの?サクラ?」


 「ええ、そうよ。

 私も最初見た時は気でも狂ったのかと思ったよ」


 「そうなのね、悪かったわ。

 まぁ見たことは罪だけどね」


 ………。


 「テンさん、ライカちゃんとナインさんを守ってください」


 「………お主も何か分かるのじゃな」


 「ええ、来ます!!」


 ドカーン!!!


 突然目の前にあった家が爆発し、そこに立ち尽くす男が居た。

 

 銀色の鎧に大きな斧、髪は金髪の目つきが悪そうな男だ。


 「見つけたぜ、サクラ・ソラノ!

 テメーを奴に差し出せば俺は最強の力を得られる!」


 男の目は狂っていた、黒く闇のように。



 「奴はもう既にナインとかと同じではない。

 魔物化している」


 「そうですね、私も人ではない感じがしますから」


 「な、何なのよあれ!テン」


 「ワシラの敵じゃ!お前達はワシが守る」


 「邪魔者に用は無い、消えろ!ダークファイア・ボール!!!」


 !?


 「はああ!!!」


 私はウォーターハンマーで打ち返す。


 「すまないサクラ!多分あれは呪いの魔法だ、普通の武器では太刀打ちできん!

 ワシもやりたいが」


 「いいんです!テンさんは2人を!」


 「ああ!」


 「うぜーな!!!そのハンマー!呪い武器を使いやがって!!」


 「これは亡き者から貰った大切な武器なの!!

 はあああ!!!」


 私は体に残る魔力を一気に解放した。


 「あがあああ!!!うグッ!!の、呪いの力が……だけど!」


 「死んどけー!!!」


 「死ぬわけには行かないわ!!!お前が死ね!!!ブレイククラッシュ!!!」


 「ぐわああああー!!!」


 私のハンマーを食らった男は鎧が粉々に砕け空で爆死した。


 ボタボタ。


 空から血が落ちて来て私の頬を伝う。


 「殺す、誰であろうと……平和を壊す者は全て」


 「サクラ、奴は死んだ。

 家に戻るぞ」


 「いいえ、私は戻りません。

 魔法使いを殺すまでは」


 「おい!魔力を解け!!支配されかけてるぞ」


 「うるせぇジジイね!!!殺すわよ」

 私は振り返りそう答える。


 「許せサクラ!神速斬り!!!」


 「がはぁ!!!」


 ドサッ。


 「ちょ!サクラになんてことを!」

 ナインは言う。


 「急所は外してあるのじゃ、殺してなどおらぬのじゃ」


 「そう、ヒール」

 ナインは私に回復魔法を唱え家へと連れ帰る。


 ……………。


 ………………。


 ……………………。


 お前は生贄に選ばれた罪ある子じゃ………。

 悪に身を委ねる……それこそが生贄の務め。


 (私は………嫌……生贄には……それを救ってくれたのがリュウ………なんだから)


 この先、お主に未来があるとでも?生贄の子が。

 お主には暗闇の未来しか無い………お主が助けた子らもお主によって死ぬ!


 (子ってまさか!シックスちゃんとか言わないでしょうね!!)


 それは知らぬがお主は闇と共にあれ、仲間など必要ない。

 それが呪われた子にあるものじゃ。

 救いがあるとすればそれは生贄となり、命を差し出すことだ。


 (私は………死ぬ………運命?呪い……闇……生贄……私には明るい言葉なんて……)


 闇に捧げたくなっただろ?サクラ・ソラノよ、お主の友もそちら側で待っておるぞ?

 生贄の呪いの糸で繋がれた状態で。


 (私は………ふ、ふふ……あはは……)


 その時


 (サクラ!!!)


 !?


 「は!?」

 目を覚ますとそこはベッドの上だった。

 少し体が冷えていて汗をかいていたのだろうか。


 「おい、サクラ………どうした?」

 近くに居たテンが声をかける。


 「いいえ、悪い夢を見ていたの。

 もう大丈夫だから」


 「そうか、ほら水だ」

 そう言いテンは水の入ったコップを差し出す。


 「ありがとう」


 

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