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おいしい珈琲物語〜珈琲と共に読みたい短編小説集〜  作者: 地野千塩


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クリスマスのブレンドコーヒー

 もうクリスマス。一年なんてあっという間だ。


 私は窓の外を眺めながら、ため息が出てきた。今年の秋、仕事を辞めた。マーケティングの仕事で見た目は華やかにも見えたが、上司のパワハラにあい、結局、適応障害で休職中。


 焦る。お金は傷病手当などでどうにかなっていたが、貯金額は増えない。ブランクが長引くことへの恐怖も消えず、今朝も一人、焦りながら転職サイトを見つめるが、余計に焦り、手のひらはじっとりと汗が出てきた。


「はぁ……」


 医者には焦らず休めと言われていたが、その方法はよくわからない。朝の散歩もいいと言われていたが……。


 正直、散歩のモチベーションは低いが、着替え、身支度すると外へ。風が冷たい。部屋の中から急に冷蔵庫の中へ入ったみたいだ。


 少し震えつつも、朝日を浴びながら歩く。近所の子供たちが登校中で騒がしいが、まあ、悪くない賑やかさ。少し余裕が出てきたところ、コンビニに寄ってみた。


 コンビニではクリスマスのチキンやケーキの予約が始まってる。他にもおせち料理や恵方巻きのチラシも置いてあり、時の流れの早さにまた、手のひらがじっとりとしてきたが、クリスマスのお菓子コーナーもできてた。華やかなパッケージのクッキー缶、シュトレン、ブーツ型もお菓子も並んでいたが、その中で、クリスマスマス限定のドリップバックコーヒーが売られていた。パッケージも赤と緑でかわいい。クリスマス限定の特別ブレンドらしい。


「へぇ……」


 思わず目を引き、ついついシュトレンと一緒に買ってしまう。


 家に帰り、暖房を入ると、お湯を沸かし、このコーヒー飲んでみた。


「わ、ちょっと香りが甘め?」


 味もほんのりと甘い。余韻は軽め。シュトレンともよく合う味わいだった。


「うん……」


 ちびちびと少しずつ飲むんでいくと、焦る気持ち、だいぶ落ち着いてきた。初めて休んでるっていう感覚がしてくる。指先も暖かい。


 コーヒーって不思議。見た目は黒い液体に見えるのに、不思議と落ち着いてくる。


 気づくともう昼前だ。コーヒーを飲み、シュトレンを食べてぼーっとしていたら、こんな時間になっていたが、気づくと、焦りは消えていた。


 深呼吸して窓の外を見る。もう通学途中の子供は見えない。犬を連れた老人がゆっくり歩いているだけだったが、再び呼吸を整えると、脱力してきた。


「うん……」


 クリスマスも近い。今は休むことと、クリスマスケーキの種類でも考えながら、過ごすのが一番な気がする。たまにはこんな風に過ごすのも悪くないはず。

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