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おいしい珈琲物語〜珈琲と共に読みたい短編小説集〜  作者: 地野千塩


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コーヒーネイキッドケーキ

 金曜日の夜、衝動的にケーキを焼いてしまった。コーヒー味のシフォンケーキを切り、適当にクリームを乗せ、トッピングはマーブルチョコ。デコレーションケーキのように、クリームを塗ったりはしない。ネイキッド(裸)ケーキだ。


 しかし、インスタントコーヒーで味付けしたおかふげで、シフォンケーキの色合いも綺麗だ。衝動的に焼いたケーキにはとても見えない。


「いいじゃない?」


 写真を撮り、SNSに上げるとポツポツと「いいね」がつく。これでも私、いわゆるバリキャリだ。SNSではマーケティングやビジネスに役立つ情報を発信していたりもしたが、今日は金曜日の夜だ。


 こんな風に衝動的にケーキを焼いたって悪くない。


「よし、コーヒーも淹れよう!」


 お湯を温め、インスタントコーヒーを作る。このコーヒーはカフェインレスじゃない。ケーキもそうだ。


「ま、金曜日の夜だしな。たまには夜更かししてもいいでしょう」


 そう呟き、コーヒーネイキッドケーキを切り分け食べる。ふわりとした生地は雲みたい。色も優しげなコーヒー色。コーヒーのいい匂いもしてきた。


 ふと、窓の外を見ると、満月が見えた。そう言えばお月見とか久しぶりだが、ゆっくりコーヒーとケーキを味わいながら、夜空見上げるのも悪くない。


 遠くには微かに虫の音もする。バイクの音も聞こえたが、次第にそれも消え、静かな夜の時間が始まる。


 思えば、今週は忙しかった。働きすぎた。こんな風に月を眺める時間があってもいい。


 今夜はカフェインのおかげで眠気がなかなかこないが。


「ま、たまにはゆっくりお月見しながら、夜更かししても悪くないでしょう」


 そう呟き、再びコーヒーを啜ると、夜空を見上げていた。

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