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おいしい珈琲物語〜珈琲と共に読みたい短編小説集〜  作者: 地野千塩


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バターコーヒー

 高野悠の朝は早い。五時に起き、身支度を整えると、ストレッチをし、ビジネス書を読見ながら、バターコーヒーをいただく。


 作り方は簡単だ。熱々のコーヒーにバターの欠片を入れるだけ。ダイエットや集中力向上にもよく、コンサルタント会社でバリバリと出世していた悠にはピッタリな飲み物だった。


 正直、味は不思議な感じ。これといって言語化できないような。もったり感もあったが、努力に努力を重ねないと。このコーヒーも頑張って飲まないと。


 しかし人生は簡単ではなかった。疫病、地震、災害が相次ぎ、会社で得ていた地位も一気に蒸発した。尊敬していた上司もそうだった。絶望しかない。


 何とか避難所暮らしを終え、久々に自宅に戻ってきた。地震でめちゃくちゃになった家具を片付けた。会社で貰った賞状も紙屑と化し、捨てるしかない。


「あぁ、俺って何の為に頑張って来たんだろうな?」


 わからないが、日常生活は戻ってきた。朝五時に起き、ビジネス書を読みながら、バターコーヒーを啜る。


 意味もなく涙が出て来た。こんな日常は奇跡だったと気づいてしまったから。


 初めてバターコーヒーを美味しいと思った。


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