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第七十六話 変性(三)

「はぁああ!!」


 再び振り回される土塊を全身の身体強化を全力して受け止めるミレーア。受け止めた衝撃に足が地面を削り後ろに後退させられるがそれでも受け止めるきることが出来た。しかし、全力に身体強化の反動と土塊を受け止めた衝撃で体中のそこかしらが裂け血が流れた。


「かは!!」


 内臓も幾つか傷ついたのか口から血を吐いたミレーア。しかし、それも自分にかけている回復魔法によって直ぐに治った。そのまま力比べだと言わんばかりに抑え込もうとするミレーアだが、流石に重量差があるため完全に抑え込むことは出来ずズリズリを相手側へと引きずられはじめた。


「ミレーア、ナイス!!」


 ミレーアが土塊を抑えている間にリナが今までにない程の魔力を弓へと注ぎ込み、それによって作り上げた矢を放った。今までリナが込めたことのない量の魔力によって形成された矢は弓の機能で増幅されたことも相まって膨大な魔力を持っているのが一目で分かるものだ。当然ながらそれには相手も気づいている。


「噓でしょ!?」


 それが空いている方の腕を地面を叩きつけると魔法によって土で作られた壁が出来上がった。それの強度は糸で繋いで振り回している土塊並みなのか直撃にした魔力矢によって粉砕したもののその威力を大きき減衰させた。そのため直撃しても大してダメージを与えたようには見えなかった。


「どんどん使い方を学習してる?」


「不味いね。長引けば長引く程不利になる!!」


 このまま戦い相手が更なる学習をすればますまず手が付けられなくなる。そう覚った二人はどうずれば良いか考えるが解決策は何も思い当たらない。そもそも此処であっさり解決策が思い浮かぶのならミレートとリナの二人は苦戦などしていないだろう。


「一撃で広範囲に衝撃を与える方法。衝撃だけを全体に伝播させれば良い?」


「魔法なら兎も角、弓と徒手空拳じゃ無理じゃない?」


 リナの言う通りである。どう考えてもそれは二人の戦い方では不可能なのことだ。それが出来るのは広範囲に攻撃が出来る魔法のみだ。しかし、それでもミレーアは何かないかと考える。


「……私の回復魔法の根源は異獣が使うものとほぼ同じ。ならそれを回復魔法用ではなくて戦闘用に使えれば或いは?」


 今ある手札から出来ることを必死に探るミレーア。自身の力の源であり、マリアの例やアギトの話を信じるならそれは師の持つ力によって汚染されたことで手に入れたものである。そして、それはミレーアが元々持っていた回復魔法の力を増大させた。加えて師から教えてもらった木の実など変質させるポリューションもこれを基にしたものだろう。つまりはそれを使う下地は既にミレーアに出来ていると言っても良い。


「なら後は……」


 師から貰ったガントレットを装着したミレーアは拳を構えた。アギトから異獣の力は人の意志に大きな影響を受けると聞いている。迫る土塊に対して逃げずにミレーアは迎え撃つつもりだ。回避を選択し躱そうと思えば彼女は躱すことは出来た。しかし、そこで逃げてはマリアに届くことは決してないだろう。それでも不安になるのは迫る危機に対しての生物としての反応だろう。


「みゅあ!!」


 いつの間にかミレーアの足元にいるのはフューアがいた。まるで頑張れとでも言っているかのような言葉無き鳴き声にミレーアは不思議と最後の背中を押されたような気がした。拳に迷一杯の力を込めて振うミレーア。その一撃で土塊を粉砕がするが先程まであったような腕の痛みはまるでない。そのことに驚くことなく自然と前に足が出て相手に駆け寄るミレーア。それは接近してくるミレーアに対して近づけさせまいと土魔法によって杭や土壁を作り出し障害として置いた。


「はぁあああ!!」


 杭を拳で破壊し土壁を蹴破るミレーア。既にそれらは彼女にとって何の障害にもならなかった。疾駆する彼女をそれは追撃しようとするが魔法の発動及び動きが間に合わず容易に懐への侵入を許した。懐に侵入されたミレーアを追撃するために土で作られた体から杭が突如として飛び出すが彼女は最初からそれが分かっていたかのような動きで飛び出した杭を掴むそれを容易く圧し折った。


「そんなまる分かりな魔力で不意打ちしようなんて甘すぎる!!」


 圧し折った杭は直ぐに魔力強化に恩地が無くなり元の土へと戻った。手に残った土を手を振り地面に捨てるとミレーアは拳をグッと思いっきり握り込んだ。


「マリアに追いつくための実験台になってもらうよ!!」


 右腕から放たれたストレートパンチがそれの右足付け根部分を粉砕した。それによってそれはバランスト大きく崩し地面に倒れた。しかし、それだけではこれまでと同じであり再び体を再構築され立ち上がるだけだ。


「はぁあぁあああ!!」

 

 倒れたそれにの腕をがっしりと掴んだミレーアは腕を力任せに捻り捥ぎ取った。捥ぎ取った腕は土へと戻り崩れるよりも速く肩口に迫ったミレーアはそこに拳を突き入れた。する突如としてそれの肩が爆発し爆ぜた。


「思ってたのは違うけど……肩にあった生体反応の集まりは今ので仕留めた!!」


「本当に!?」


 あれだけやって大した効果的な攻撃手段がなかった相手にミレーアは間違いなく有効打を与えたと言い切った。リナでは分からないが生体反応を追えていたミレーアが言うのだから間違いないだろうがそれでもその言葉を耳にして最初はリナは信じきれなかった。


「うん、()()()()の正体はこれ」


 ミレーアが地面から拾い上げたそれをリナに見せた。それは小さな虫であった。魔力の残滓があることから小型の魔蟲だろうということはリナにも一目で分かった。


「魔蟲か……となると胸部にいるのが女王?」


 社会性で群れで暮らす虫は基本的に一匹の女王を頂点とした生態をしている。女王だけが卵と産みそこから生まれた子が働き巣を維持と拡張を行う。それは魔蟲も変わらない。故にそう予想したのだがミレーアは複雑そうな表情を浮かべた。


「それなんだけど、こっちの魔蟲は今のと種類が違うんだ」


「……どういうこと?」


 ミレーアが見せた見せたもう一匹の魔蟲は先に見せた魔蟲とは明らかに別種だ。蟲には別の蟲と共生しているものもおり、これもそうした習性のある種と考えることも出来るが土塊を振り回す前に糸を放出したことからミレーアはリナに見せた二匹が糸を出すような魔蟲とは思えないこともあってまだ別の種がいる予想した。


「分からないけど……とりあえずあいつを倒してから考えよう」


「そうだね。先ずはあれを倒してからでも考えるのは遅くはないね」


 肩に集まっていた魔蟲の群体を破壊されたことで巨人の形態を維持出来なくなったのかそれは土で構成された体の再構築を始めた。総体が減少したことによる土の体を維持出来る大きさを取るため一回り小さくなり四足歩行へと変化した。変化すると同時に駆け出したそれはその巨体に見合わない俊敏さで駆け巡った。体の一部にブレードのようなものが生み出されていることから左右に逃げようすればすれ違いざまに相手を切り裂くつもりだろう。


「離れてリナ」


「分かった」


 ミレーアの言葉に従い彼女から距離を取るリナ。ミレーアの方は迫るそれをしっかりと見据えた。向こうも残されたミレーアを先に仕留めよとしているのか彼女に狙いを定めている。突撃してくるそれに対してしっかりと地面を踏みしめ受け止める態勢を見せたミレーア。突撃してくる相手を左右に逃げることなく受け止めたミレーアは衝撃で地面を足で大きく削りながら後ろに後退させられた。


「捕まえた!!」


 ガッシリと相手の顔を掴み抑え込んだミレーア。最初は力が拮抗しているように見えたが徐々にだがミレーアの方が押され始めている。彼女の体が今までに無い無茶な身体強化による体の破壊と回復魔法による再生を繰り返しているが襲い来る激痛までは防ぐことは出来ないため痛みに顔を顰めた。誰もが何でそんな無茶をとも思うだろうがミレーアにはマリアに追いつくにはこれしか思いつかなかった。


「ぐ……ぎぎ!!」


 歯を食いしばり必死に押し返そうとするミレーアだが彼女の全力の力は相手に押され始めている。先程までとは相手の攻撃の力強さがまるで違う。おそらくは体を縮小させたことで総体が減ったことによるデメリットを解消したようだが無駄に大きかった体を小さくしたことで逆に力が濃縮されてしまったようだ。おそらくは一番力を持っているのが司令塔になっている魔蟲であり、他の個体はそこまで力をないのだろう。最初の遭遇時はそこまで強く無かったのはまだ力をうまく使いこなせていなかったからだと思われる。


「まだ……まだ!! こんなところで負けない!!」


 更に身体強化の段階を上げるミレーア。高い回復能力を持つ彼女でさえ間に合わないだろう無茶な強化による体の損壊により体の肉が裂け腕や脚から血が噴き出し服も内側から血で滲んでいく。足りない。理想とする姿は自身を育て鍛えた師の姿。体の内側からボロボロになりながらもその背中に少し追いつきたいと強く願うミレーア。彼女に後方にいるリナが何かを言っているのをミレーアは聞き取っているが、彼女の頭にその内容は入ってこなかった。


「が……ぐ!!」


 しかし、無情にも体の限界が来たのか地面に膝をつきそうになるミレーア。それでも諦めることなく必死に抗おうとする彼女の肩に何かが飛び乗ってきた。


「みゅあ!!」


「フューア……どうして!?」


 驚くミレーアを他所にフューアの体が光に包まれていく。一体に何がと考える暇も無く光の粒子へと姿を変えたフューアが師から貰ったガントレットに吸収されるように消えた。状況が読めず混乱するミレーアだが変化は直ぐに現れたのだった。

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