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出発準備 その2

本日二本目

 第三特別資料室に戻ると、俺はすぐにリーンへ指示を出した。

「荷馬車はアンチマジックシールドがはめ込まれたものを使うからすぐに手配してくれ」

「はあ……」

「それから、エクストラヒールのスクロールを3本、高出力範囲魔法のスクロールは5本……、いや、10本申請するんだ」

「やりますけど、通らないと思いますよ。最近の資材部は特にケチですから」

 どちらも貴重な備品なので、よほどのことがない限り支給はされない。

「やるだけやってみてくれ。もちろん、口頭でレギア枢機卿の特別任務だと言い添えるんだぞ」

 リーンが首をひねって俺の方を見つめている。

「なんか急にやる気になっていません?」

「そ、そんなことはない。俺はいつだって任務遂行には全力で当たっている……」

「よく言いますね。先日も仕事はだいっきらいだぁ! って喚いていたくせに」

「嫌いでも、いつだって任務は遂行しているんだよ」

「まあ、そうですけど……」

 おかげで出世して、とんでもない部署に入れられているのだ。

「……原因は女ですね」

「なんのことだ?」

「聖百合十字騎士団に好みのタイプの女騎士がいたんでしょ!?」

 完全に外れた読みではないが、彼女が考えているようなものじゃない。

「誤解だ」

「いーえ、絶対に女です。それでやる気を出しているんだ。そうに違いない!」

 勘が良いのだか、悪いのだか……。これはプライベートなことなので、リーンにもミリアとの関係は内緒にしておこう。

「私には手を出さないくせに、聖騎士団の騎士に恋をするなんて! キーッ、この浮気者!」

 リーンには手を出していないんだから浮気じゃないだろうに。

「バカなことを言ってないで手続きを頼むぞ」

「あ、ちょっと、まだ話は終わっていませんよ! どこに行くんですか?」

「俺はシルバーシップの貸し出し許可を取ってくる」

「シルバーシップって、あの天馬(ペガサス)ですかぁ!?」

「あいつなら役に立つからな」

「あんなわがまま馬をどうしろっていうんです? まあ、クロードさんにだけは懐いていますけど……」

 シルバーシップは神殿所有の超有能な天馬だが、命令に従わないことでも有名だ。誰も利用しないから、貸し出し許可はすんなりと降りるだろう。それに俺とは仲がいい。馬だけにウマが合うというやつだ。

 そもそも他の奴らは間違っている。シルバーに命令は禁物なのだ。丁寧にお願いすれば、あいつはいうことを聞いてくれる。たまにヘソを曲げて、絶対に譲らないこともあるのだが。

「シルバーシップまで使うだなんて、本当にどうしちゃったんですか? こんなにやる気のクロードさんを見るのは久しぶりです」

「そんなことないぞ……。あ〜だるいなぁ……」

 俺はやる気のない演技をしながら、申請届を出しに部屋をでた。


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