表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

後編

 本郷直樹さんの一周忌のイベントは池袋で開かれた。

 ぼくはピー子を連れて会場を訪れた。

 ピー子とはぼくの部屋にいる地縛霊で、新宿でヒッピーをしていた頃、デビュー前の本郷さんと知り合いだったという。

「奥野くんと言って、同い年で気が合ったわ」

「じゃ、ピー子はぼくよりずいぶん年上だったんだ」

「でも20代で死んだから、みぶ(にい)の方がアニキよ」

 彼女はぼくのことをみぶ兄と呼ぶ。

 もちろん、他の人には聞こえない会話だ。

 コース料理を食べながら、本郷さんのお弟子さん達の歌を聴く。

 弟子ではないが、平浩二さんも駆けつけて「バスストップ」を歌ってくれた。

 司会の天野あや子さんが

「それではここで大阪から来た俳優のみぶ真也さんに歌っていただきます」

といきなりぼくを紹介し、「燃える恋人」を歌うはめになった。

 マネージャーの仲代さんを見るとニヤニヤしている。

 歌い終えて席に戻ると、

「みぶ兄、良かった!奥野くんも横で一緒に歌ってたよ」

「ほんとに?」

「うん、見えた」

 閉会になり会場を出ようとすると、またピー子の声がした。

「奥野くんがね、ピー子いつまでもこっちにいちゃいけないって。あっちへ、一緒に連れてってくれるって。今までありがとう、さよなら」

 以来、彼女の声は聞こえなくなった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ