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提督系転生者(ぞく)  作者: ファイル
6/10

ゆめゆめ忘れることなかれ

06 じょうほう



「…朝だ」



凄く心地よく目が覚めた


タブレットで目覚ましかけたけど、それより少し前に目が覚めた


心地いい、気分は最高だ



ここ数日健康な日が続いていると言える…いや、正確にはこの世界に来る前よりか、だが


この調子で健康的な日常を過ごすのをひとつの目標にしよう



カーテンを開けて外を見る、あいにくいい天気とは言えない曇り空だったが


ステージによっては雨の地域もあった、そこでは火属性のキャラは弱体化するという効果があった


…こういうことは覚えているうちに書き出しておくか



扉をひとつ通るとそこは指揮官室だ

一応割り振られた部屋もある、だが私物が無いため正直に言うどこで寝ても変わらん

ベッドはどこも良いしな



せっかく早起きということで風呂にでも行こう、湯船は好きだ

手足を折り曲げないと入れないタイプとはハッキリと区別して、のびのびできるのは最高だ




そんなわけで大浴場だ

昨日から常に動かし続けるらしい

じっさい資材は減っている

まぁ微々たる量だが



「…この大浴場は魔力を含んだ湯船となってますので、一般の方は御遠慮ください」


なるほど……おれは?


ついでに混浴らしい



…まぁ、入ればわかるっしょ


セロが追い出したわけだ



お湯はどうやら泉の水と同等まで魔力濃度が高くされているらしく冒険者には癒しとなるが、一般人だと過剰の魔力で病気になるらしい



「すこしピリつくな」

炭酸風呂と思えばいい感じか?

肩まで浸かる、普通に心地いい


ちなみに他には誰もいない


…別に残念と思ってないが、ほんとにほんと、朝イチだし



特にこれといったことも無く普通に満喫して指揮官室に戻る



戻る途中でスピーカーから声が流れ始めた

時間もちょうどいいわけよ


「あ、あー、……こほん、そ、総員、起こしー!起きなさい、今日の活動を始めるわよ!」


エルヴィーラの声だ


秘書官ってこれがあるから早起き必須だよね





指揮官室にズラリと並ぶ第一部隊のメンバー


「では…今日はタートの森のこの区域を攻略する、魔物がいれば討伐し、この魔除の杭をなるべく一定になるように刺してきて欲しい」



今日から前線基地となり上層部から命令書も貰った


目標としてはタートの森よりも基地から離れた土地に逃げたであろうフードを討伐すること

多少の目星はあるがそこまでは距離があるため途中で中継基地も作られる予定だ


そのために、コツコツと進めていくのは支配地域を広げていくこと


魔物が発生しずらくなり、近寄らなくする杭で安全な土地を広げるのだ


ドスが少し言葉をもらしていたのは、それだけでお金が貰えていいのか?らしい


いいんだよ、冒険者ギルドの連中だと真っ直ぐ目星を付けた怪しいところを探しに行くんだろうけど



「クァトロは昨日訓練にいなかったため、今日は他のメンバーと連携が取れるようになるのも目標だ」


「分かりました」



「…あとは、トレスは基地内の様々な補佐に回って自分なりのできることを確認してくる感じで、やることに困ったらここに戻るように」

「は、はいっ」


正直、支配地域をひろげるのならトレスを連れてってもいいと思うけどね



フラッグはエルヴィーラに渡して出発していく

お昼も外で過ごす予定の一日がけだ



「で、ではトレスも行ってきますね」


「あぁ、期待してる」


「ひゃ、はひ!」


そそくさと部屋から出ていってしまった



コンコンっ


ノックがすぐにされる

トレスと入れ違いに入ってきたのはアカナだった



「ん、どうした」


「えっと、募集の方なんですけど、冒険者ギルドの方から連絡があって、前線基地になったのもあって色んな方面から冒険者が集ったみたいなんです、それでこちらに要望を出している人も多く


…選抜して欲しい、または条件を提示して欲しいと来ましたね」


「そ、そうか」


そういうこともあるか

要望者のリストを見るとたしかに多くの人がいるようだ


パッと見…


「訓練卒業生が多めか?」


「そうですね、訓練施設は他にすぐに用意は出来ませんが、かと言って冒険者街の大きさも足りないくらいに集まってますので


卒業生は内地の方に、使われていた建物を宿などに改装されます


…卒業生からしたら戦地が遠のくので手当り次第、というのもあると思います」


なるほど…現実的な問題だなぁ



「…情報的に知ってる名前はいくつか抜粋できるが、名前を知らないと言うだけで抜粋されないというのもどうだろうか」


ゲーム時代で見た事のある名前も多くある

だが引き抜き方が…


その、いやらしくないか?



「それでも構いませんよ、一人一人の詳細を詰めるのに時間もかかりますし、なので条件を提示して欲しいと言ってきた訳ですし


…一応二つ目の寮は建設中ですが直ぐにとは行きません


多くの人を受け入れても引越しや生活準備期間は必要ですし


まとめる人が必要になります、指揮官は一人なので皆と会うことは難しいです」



「…アカナ、優秀だな」


考えがそんなによく回るよ


「あ、えと、ありがとうございます


…誰もいない頃の基地の管理の名残でしょうね」


「ちなみに基地内運営をやる気は?」


「指揮官の頼みなら」


「ああうん、無いよ…うぇ?」


「え、無いんですか…?」



ちがう、ダメ元で聞いてみただけなんだって


「いや、ある、あるんだけど、ダメ元だったんだ…もちろん頼みたいが中間管理職みたいなやつだからそれはもう大変だぞ?」


「中間管理職…響きで何となく想像できますけど…まぁ指揮官に頼られるのは悪くないです」



なんか、デレてる、いや別に前はツンケンされていた、という訳でもないのだが


「おぉ…そう、そうか、必要、アカナは必要だ、キーパーツと言ってもいい」


「?」


「えっと、そう、だな、嫌なことをやってもらいたくはない


…ちょっと待ってくれ、今、基地で必要なところまとめるから」


「あれ、新規人材の…コントロール?じゃないんですか?住むところ、訓練、編成とかの」



「おお、おぉ、それ、すっごくめんどいやつだぞ?オニ鬼畜だぞ?正直さっきの募集リストみて目が回りそうだったんだぞ?」



「じゃあ尚更わたしが必要ですね、さすがに一人じゃ無理なので指揮官のその情報とやらは欲しいですけど、まぁ何とかしてみせますよ」



わぁ、何だこのいい女、かっこいい

「わぁ、なにこのいい女、惚れる…」



なんだか目頭が熱くなるようだ

「わわ、指揮官!?泣かないでくださいよ」


「おう、おぅ、アカナ、貸ししかない気もするが、困ったら言えよ、なんでもするからな…」


「もう、なんでもだなんて大袈裟ですって……なんでも、ですか…」


「なんかあるのか?」


「いえ、そのうち使わせてもらいます」


一応上からお金も貰えるらしいから、どうせ行くとしても冒険者街だから、アカナの欲しいもんも買えるぞ…



アカナは女神だったのか…





早速、人事顧問となったアカナを手伝うことに、エルヴィーラ達は聞き流してる感じ問題は無さそうだ



「…っと、以上が俺が情報を持ってる人だ」


「訓練生が多いですね…」


「まずった?」


「いえ、都合がいいです、寮は九十三人分しかなかったので、先程伝えた理由から訓練生を優先したとすれば反発も少ないでしょう、男性もいい塩梅で選ばれてますし、ほんと、指揮官の情報網はどうなってるんですか?」



「情報も使えなきゃ意味ないけどなぁ」


「ふふ、私が使いこなしてみせますよ」


「神か?」


「アカナです、指揮官はすぐに使える情報を資料にしてもらえると助かります……あと、こちらの机、私が使ってもいいですか?」


「もちろん、なんなら専用にしてもいいぞ」


フウラが面接の時に座ったくらいか、基本使う人もいない


「あ、ありがとうございます…」


嬉しそうに机を見ているアカナ


…愛着のあった机だったのだろうか?


チラリとこちらを見たアカナは目が潤んでてとても可愛らしく見えた



「…女性の顔をジロジロ見るものじゃないですよ」


なにを今更感はあるが…


「あぁ、すまん」


「あ、いえ…」


気まずい空気を察した自分はふと見た時計がお昼頃を指しているのに気がついた


「…飯、いくか」

「あ、はいっ」


ドキッとするじゃん




昼食後、指揮官室に戻りアカナと二人で事務作業をしていた


アカナは人事の件だが


自分は重要な書類を探し出してそれに対応する

そのほかの雑多な…雑多と一括りにするのも悪いが


多くの通知書などは軽く目を通すだけだ


なんでこんなに多いんだよ、嫌がらせされてるだろ…形式的で回りくどいアプローチばかりだ



緊急性のある物が埋もれるぞ?



「し、指揮官!トレスですっ」


「おー、空いてるぞー」


そんな時にトレスが戻ってきた


「てか、ノックもいらんよ…いや、あえて禁止にしよう、もちろん客人がいれば別だが」


ノックされた時はそのことを知らない人、つまり外部の人間ということになる


「あとでエルヴィーラに相談だな…それで、トレス、決めたか?」


「えっと、厨房の方が指揮官の専属になると助かると言ってました」


「専属だと助かるのか?」


「いいですか?」


「いいぞ」


アカナが小さく手を上げる、ビクリとトレスがかしこまるのが見えた


「ここは基地を全体的に見て中心ですよね」


指揮官室は基地の構造的に見た時にだいたい中心にある


何処も同じくらいの距離であり、一番近く一番遠い

アクセスとしてはどこに行くのも楽だが、距離があるのには変わらない


「なので例えば昼食、指揮官が手が離せない時はこちらに用意させた方が効率的です


…そういう時に専属の料理人がいれば私の後ろの部屋で用意できるんですよ」


なんと小さいながらもキッチンがある部屋らしい


ちなみに反対の秘書官室はエルヴィーラに入るなと言われた

乙女の部屋だからね、仕方ないね



「広くはありませんが仮眠…というか二段ベッドもありますし普通に過ごせます」


色々と詰め込まれた部屋らしい


「ゴタゴタしてるので指揮官は入らないでくださいね」


「あぇ、あ、はい」


秘密基地感を想像してたからサクッと拒絶されて少しショック


…トレスが寝泊まりしてる時に呼びに行くという体で入るか、よし、それで行こう


「えっと、じゃあ、私は専属のお世話係…という訳ですか?」


「お世話係?」


「おせ…え?料理人じゃないんですか?」



「あ、はい、厨房の人が色々と付き添ってくれたんですよ、今日は手が空いてるからと、それで色々と回った結果、専属のお世話係が向いてる…と


か、かわいいし、しきかんもきにいると…」


最後はごにょごにょ言ってて聞こえなかった


だがまぁ、確かにここで色々と済ませるように設計されてるし、指揮官が指揮官室におらずにどうするという話もあるだろう



「ん、じゃあトレスに専属お世話係…指揮官補佐を任命する」


「ほ、補佐ですかっ」


目をキラキラとさせるトレス、気に入ってくれたなら良かった


…お世話係は、なんか違う

響きが、響きが違うよ



「おせ、わ……そっちがありましたか…いえ、むしろトレスさんのお手伝いとして一緒に…」


なんかアカナが呟いてる


「アカナも補佐してやってくれ、肩書き立場を抜きにするとこの基地で一番偉いぞ」


「ふぁ、ふぁい!」


「おぁ、いやいやっ、指揮官、それは言い過ぎですよっ、わた、私がなんなら補佐する側ですから!」



その後トレスも書類の処理を手伝ってくれた


アカナとの間のところに一人用の机を持ってきた様はどこかほっこりとした気分になり、能率が上がったように思う


「な、なんでおふたりとも…というか皆さん私を見て優しい笑顔をするんですか?」


ついでに自覚なし、そのままの君でいて





日が完全に落ちきるだろうところで第一部隊は帰ってきた


基地の敷地に入り建物に入る辺りでエルヴィーラに解散をよしとした


報告書を書きにエルヴィーラは戻ってきたが、あとクァトロも



「あれ、トレスじゃない…なんでそんなところでつったんってんのよ」


「あ、えと、従者として……なんでしたっけ」


「当然の振る舞い…ですよ、トレスちゃん」


「わ、分かりましたアカナさん!」



トレスはアカナのおもちゃになっていた、二人が楽しそうだから止めないが



「…あぁ、そう、アカナはどうしたの?」


「人事顧問となりました、卒業した訓練生を寮ギリギリ、九十三人うけいれる必要がありましたので」


「きゅっ!?」


大量の人数に驚くエルヴィーラ…

それを手で制するアカナ


「訓練メニューなども私が組みますからエルヴィーラさんに迷惑はかけないように努力しますよ」


「あ、ありがとう…それでその山の資料をそこで処理してるのね…助かるわ…」


ちなみに資料はまだ半分も完成してなかったり

一人に対する情報量の多さもあるし、必要不必要かどうかも自分が判断してるから処理が遅いのよ、頭の処理能力が



「…とりあえず報告書を書くわ、タートの森の地図はあるかしら」


「あ、こちらにあります」


「トレスありがとう、…クァトロ?突っ立ってないで、アンタの地図を写すんだから」



そうやって二人で報告書をまとめ始めた


自分も個人ずつに情報を作り上げていく



運用コストとかがどうなるのか分からないが、人によっては性能相性のいい人と巡り合わせれるようにメモ書きしたり、後々のことを考えたオススメ訓練メニューも残す




ふと気がつくと横にトレスがたっていた


決して背は高くない、どちらかと言うと少女で、少なくとも第一部隊では最年少に見える


「…指揮官の情報を多少拝見しましたが、どなたも年齢身長体重などは記載なさらないんですね、女性が多いですし、あっ、いえ、情報を持っている前提で話しましたけど、それはそれで、という意見が出る話でしたね、忘れてください」


「あー…」


トレスとしてはつい言ったみたいな感じだが


確かにプライベート情報も容赦なく知っている状態ではある

なにぶんゲーム内プロフィールの感覚だったために軽視していた


しかしキャラ設定のプロフィールを見ていた…という程ではない

あくまでキャラクターを駒とした場合の把握の仕方


性格も好みも知らないキャラも多くいる

キャラによっては名前がうろ覚えだったりするレベルだ



それでも何かしら紐付けて頭に残っているのだが

マル秘ファイルとかその類いだな、これは



「まぁ訓練生は卒業タイミングの情報は流出しがちですし」


そんなもんですよね、なんて笑うトレス


そんなもんなのか…



そんなつぶやきを助言として受け取っておこう

データのように扱うのではなく

これらは本当に会うことができる人達の個人情報なのだと



ゆめゆめわするることなかれ


ふんわりとした何かが、よぎったような気がした



…タブレットでその場で個人情報見れちゃうんだけどね


トレスを見るとその身長、体重、スリー……うん


やめておこう


いわゆる、台無しである

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