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提督系転生者(ぞく)  作者: ファイル
5/10

とりあえず

05 第一部隊


「入るわ……まぁ残してるから分かるとも思うけど全員採用よ」


「わ、私もいいんですか?」

声を上げたのはトレスだ


自信が無いような自己紹介をしていたらしいのでてっきり落とされると思っていたらしい


「あぁ、適正を見極めるのはこっちでやろう、指示は出すが意見は気軽に言ってくれ、不満も言ってもらって構わない」


全員を見渡す、何となくやる気がある、そういう雰囲気だ



「…では、改めて、みんな良く集まってくれた、君たちの指揮を取らせてもらう、自分も着任して間もないがよろしく」


四人の前で改めて挨拶をする

今は日が落ち始めた午後



「明日から作戦が開始となるので皆が良ければ動きの確認を重視した訓練を行いたいのだが」


「はぁ、早速か?」

ドスが呆れたように聞く


「まぁまぁ、急なのは分かってたでしょ」

セロが宥めるように声をかける


ウノとトレスは傍観、エルヴィーラとフウラはもとよりその気だ



「疲れてるならやめとくか?」


「あー、いや構わない、団体行動だもんな…」


ドスはなんだかんだと立ち上がり軽くほぐしている



「指揮として軽く指示をしておく、まぁ編成の状況、君たちの意見は尊重するから気軽に言ってくれ」


そして六人のフォーメーションを伝える


ウノは斥候職のため単独の行動を許す、主な仕事は周囲の警戒、特に進む道前方だ


道案内もできるように地図を渡しておく



まとまって行動するのは

前衛としてセロとドス

中衛にフウラとトレス

後衛にエルヴィーラだ



「フウラはドラム缶が届くならそれを担いで欲しい、風で重さを軽減させてもらって構わない」


「…はぇ、そうゆんのもしってはるん?」


…あれ、フウラの虎視眈々系、有名エピソードだからいいと判断したが


違うか、事前情報の一言に対して知りすぎていること、か?


とりあえず頷いとく


「また、トレスに戦闘能力は期待してない」


「はぅっ」


「はぁ?なんだそれ」


ドスが突っかかるように聞いてくる、まぁ最もではあるが


「先に言っておくがトレスが輝くのは補佐に回る時だ、それは断言しておこう…別に戦闘だけが冒険でもないだろう?」


「……まぁ、何となく言いたいことは分かるが、トレス?はそれでいいのか?」


「あ、はい、そう、なんです、戦闘能力は自分でも低いと思ってます…はい」


「トレスは地図と方位磁石、フラッグを持って行ってくれ、他にいるものがあれば言ってくれ……まぁ今回は間に合わないかもしれないが」


「あの、フラッグって?」


「編成の中心のマークみたいなもんだ、バッジだから適当につけてくれ、それがあると俺が指示を出せる」



みんな渋々納得、といったような顔だ自身のことではないにしろバッサリと戦力外通告するのは宜しくはない


分かってるが、下手に戦闘するより完全に補助に回った方が…うん



それともフラッグシップ、旗艦をトレスに任すことだろうか…どっちだ?わからん



「最後に、遠距離指揮となり戸惑うかもしれないが、まぁ訓練だ気軽に行こう、何かあるか?」



これは訓練と称した


委託遠征だ


念願の委託遠征、やー楽しみだ


ゲームでは着任して直ぐのキャラを行かせても怪我とかしないから最初のレベリングにもってこいでもある


現実との違いを見極めるのも大事だが



質問などは特になく、日が傾き始めているために早速の出発となった





フウラはドラム缶を受け取れたようだ



「助かる、アカナ、間に合ったんだな」


『間に合わせ感ありますけどね、あはは』


無線を使って軽く連絡を取り


指揮官室の椅子に座りタブレットを見た



改めてタブレットを見る

装飾は…裏にハートのネックレスが引っかかっているのに気がついた


他は特にはない


…他の人からはハートのネックレスどう見えてたんだ?



『では第一部隊スタメン、出発します』


「あぁ、行ってこい」


タブレットの向こうからトレスの声が聞こえる


部隊名はスタメンで行くらしい



…スタミナラーメン

こほん、スターティングメンバー



『では私は先行します、メンバーバッジ?で緊急時は連絡しますので』


『おう、手筈通り』


メンバーバッジ、赤青白に発光させれるもので基地の初期装備として大量にある

緊急時はこっちから光らせることも出来たりとこの基地の所属を表すようなもの、と認識している


一応自分もつけているが部隊間の連動はさせてないため光ることは無いだろう


ちなみに白はライトとしても使える、有能



赤青でメッセージ性を持たせるらしい


まぁいい感じじゃないか



ウノが手早く探知して戻って教えて後の本隊で魔物を倒す


その流れが出来上がっていた


魔物はゴブリンが多い、日暮れ気味だからかスライムは少なくなるようだ



特に指揮する事もない


次第に彼女たちは雑談をするようになる

…聞こえてるよー





「にしても変な指揮官だな?」


「あ、それ私もおもった、急に採用なんて言われて」


「そーなの、アレ、面接だって言ってるのに途中で採用しちゃうんだから…面接の意味知ってるのかしら」


「私も自己紹介を取られました、彼は何者なんですか?」


「自己紹介をとられる?」


「はい、言おうとしてたこと、先に言われてしまったんです、まぁ理解があるといえばそうなので…楽ではありました、斥候に戻ります」


「あぁ、ウノ、助かる」



…なんだろう、共通の敵みたいな感じの扱いされてるや


あとウノちゃんのその喋り方ゲームを通しても初めて聞いたんだけど…最初限定とか?



「あ、でも、私が戦えないのはホントで…」


「でも支援魔法あるじゃんか、体が楽になるから長時間、獲物を触れそうだ」


「じっさいなぁ、あれ、色々知っててん、こわいわぁ」


「フウラのその風で楽するのって訓練生時代からやってた?」


「まぁエルちゃんでも気づいてなかったん…バレてる、というか見せたことないんなー」



「なんでアイツはそんなに知ってるんだ?ていうか知ってるなら私の素行のところも知っとけよっての」





「まぁ、危険はなさそうかな」


盤面も広げてはいるが特に使うことはなさそうだ



…指示は伝えようと思いながら喋ると伝わる

今の独り言はトレスに届いてはないだろう



仕様がご都合主義で溢れている


便利なウチは使うけども…



そんなこんなで彼女たちは泉にたどり着いた


「ちょうどいいから夜間に帰ってきてくれ、メンバーバッジのライトも使ってみて…意見はあるか?ないなら切るが」



イヤホンなどはしていない


だが指示のタイミングでザーっと音が小さくしている


向こうの声も耳に直接届くようなクリア感だ



…ご都合主義も便利魔法で片付けれない気味の悪さで対応してくれるね?




指示を切る、そう意識するとザーという音は切れる


少しリラックスして背を預けると


そのタイミングでドアがノックされた



コンコンっ



………アカナか?



「どうぞ」


「失礼します…えっと指揮官ですか?」


しらない女性…パッと見武器らしいものは無い

訓練生の制服、フウラやエルヴィーラのものと似ている服装だ


白い髪と黄色、黄土色?の目は優しい雰囲気を感じる


「あぁ、指揮官だな」


「よかった…あー、募集用紙を見てきたんですけど」


「なるほど、えー、ギルドカードを印刷したものとかあるか?」

「あ、こちらに」


持ってくる…ときに女性がなにかに躓いたのかバランスを崩す


「あっ…」


躓いた先が浮いたタブレットのところだったため刺さるとかブツとか思ったが…そういうことは無かった、見事にすり抜ける



「とと…失礼しました」


「大丈夫か?」


「あ、はい…」






「……えっと?」


ナゼ、見つめられているのか


あれか?恋に落ちたてきな…そんなマンガじゃないんだから


あとあれだぞ、そんなに見つめられるとこっちも勘違いするぞ、やめとけやめとけ、我モブ顔ぞ



「あ、し、失礼しました…えっと、こ、これ、お願いします」



渡された紙を見る


女性は…クァトロ


「…くぁ…」


「あ、こんな名前ですけどカトロでいいですよ、呼びにくいですよね…ごめんなさい」


「いや、謝ることは無い…」


とくに、犯罪のとことか白紙だし


「人手も不足しているから採用でいいか?」

「はい、よろしくお願いします、指揮官様」


「様?」

「あ、いえ、上司ですし…嫌、でしょうか…」


「そんなことはない…が」


言い方ずるない?


あと近ない?


なんか、なんかおかしくない?



「…さっそく、今は他のみんなは訓練をしている、盤面の見方は分かるか?」


「あ、はい」


クァトロが横に来る


…たしかに盤面は昨日のように中央の机で広げているのではなく、指揮官の机で広げていた

見るには近づくのが1番見やすいが、ち、近くないか?



「えっと、この駒が皆さんなんですね、それで、その浮いてるのが、視界ですか?」


「……浮いている?



………え?これ、見えてるの?」


その、浮いているやつ

そう、タブレットだ


「あ、はい、先程から…」



クァトロは……なんだ?

明らかに思考停止している


…まずは委託遠征、その後だ





日は完全に落ちた


第一部隊は特に何か起こるでもなく基地に帰投した


「アカナ、食堂の方に連絡してくれるか?みんなが帰った」


『分かりました、大浴場のほうも手配しますね』


「たのむ」


そうか、人数が増えるなら大浴場も稼働するのか


基地では共通のシャワールームが利用されてた、それに加えて大浴場も稼働するのなら希望もあったからいいことづくめと言える、かな



「指揮官、第一部隊スタメン、帰投しました」


ウノちゃんが指揮官室の扉を開けて入ってくる、その後ろからみんなもぞろぞろと入ってきて


最後に入ってきたエルヴィーラが固まる



「…えっと、誰?」


もちろんクァトロのことだろう


「クァトロ、彼女が秘書官のエルヴィーラだ」


「秘書官…分かりました、指揮官様」


そういうとクァトロはエルヴィーラの元に向かう


「秘書官さん、先程着任しましたクァトロと申します、よろしくお願いします」


「えぇ、よ、ろしく、エルヴィーラよ」



「さて、訓練はどうだった?なければ別に構わないが」


「あー、アタシ、いいか?」


「あぁ、ドス、なんでもいいぞ」


「たしかにトレスは実戦向きじゃない、補佐としてはありだが、明日からの作戦となると守りながら戦う人が必要になる、そう見ると、今は必要な時じゃない」


あぁ、そうだな、その通り

…というかその話し合いを帰り道にしているのを聞いていたので分かってはいたが



「トレスはそれで納得してるか?」


「は、はい」


「基地で必要な人材と思ってるから、そっち方面で活躍してくれ」


「わ、分かりました!」



「他には?」


聞いておいてなんだが帰り道にドスがみんなをまとめてこんな感じだったな、という話をしていたのを聞いていた


なるほど、面倒見がいい、たしかにその通りだ


エルヴィーラも見ているのは先程からクァトロばかり


「うん、じゃあ食堂で飯、大浴場も準備してもらっている、各自休むように、今日はこれで解散だ」


全体としてはこれで終わり、明日から、という感じだろう


すぐにエルヴィーラと目が合う



空気を読んだのかウノはさっさと指揮官室から出てドスもセロとトレスに声を掛けて出ていった



指揮官室に残ったのはクァトロ、フウラ、エルヴィーラ


「…ちなみにエルヴィーラ、これは何に見える?」


「なによ、突然…ペンかしら」


「フウラは?」


「ペン…うちもお風呂いってええ?」


言うとエルヴィーラがバッと振り向く


視線はクァトロに向ける


クァトロは首を振った



たしかに持っているのはペンだが

タブレットで隠しながら二人には見せたのだ


クァトロにペンは見えていない



…この違いは?



「くぁ…く…」


「カトロでいいですよ、秘書官さん」


「そっ、カトロ、あなた、どうやって指揮官室まで来たの?」


…?



「どうとは…普通に歩いて来ましたが」


「警備に止められなかったの?」



…エルヴィーラはどこか敵意をクァトロに向けているように思える


「あ、声はかけられましたが、募集を見たと、伝えましたら通してくださいました」



「…そう、なんだ、良かった、勝手に入ってきたかと思ったわ」


そう思いきやエルヴィーラの雰囲気が和らいだ


たしかに、あの瞬間、指揮官室にいたのは俺だけ、エルヴィーラは知能ある敵が基地内に入ってきたと疑ったのか


殺すのは容易だろう…こわ、でもアカナのほうが強そうだしな



「秘書官の居ない時に来たカトロは運が悪かったわね…アンタは私に連絡ひとつ入れても良かったわよ」


「まぁ委託遠征…じゃなくて訓練中に来たからな」


「ん?いつ頃?」


「みんなが泉から帰ろうとしてるタイミンクだ」


「……そうだったの、ん〜、でも良かったわ、トレスの変わりに部隊に入れそうね、フウラ」


「んぁ、そやねぇ、よろしゅうなクァトロさん」


「はい、えっとフウラさん、よろしくお願いしますね」


「私は報告書があるから二人は先に行っていいわよ」


「あ、報告書は大方書いてあります、訓練との事だったので、気づきの点を加えてもらえれば…」


「…あら、ふんふん、助かるわカトロ、…じゃあ私も行こうかしら」



「じゃあ業務は終わりだな、お疲れ様」



自分も報告書はクァトロと一緒に書いていた


食堂いって飯食って寝るかなぁ…





大浴場の方に行ったらセロが「今はみんなが使ってるから指揮官はダメだよー」と言われてしまった


まぁそりゃそうだわな


業務中の固い表情から柔らかい表情になっていたセロ

今更になって集まったのは女性ばかりでその指揮官となっている自分の立場を思い知る



先に風呂と思ったがこの調子だと今日は諦めた方がいいかもしれない


まぁシャワーでいいか


食堂でご飯を装ってくれたおばちゃんと軽く会話してから席に座り食べ始める


「よっ、指揮官、一緒いいか?」


「ん、ドスか、いい…ぞ」


「んぁ?あー、なんだ、惚れたか?」


風呂上がりなのだろうドス


「いや、黒ギャルだったか」


「あん?なんだそれ」


メイクで厳つそうなイメージだったようで今は雰囲気も柔らかい


「他だと女ってだけで舐められるからよー」


「なるほど」


姉御肌という言葉がよく似合いそうな人だ


「お、指揮官野菜ばっかじゃねーか、肉食え、肉!」


「今日は動かなかったからな、もとより食も細い」


「ガタイはいいほうじゃ?」


「男の体つきと言うやつだ」



「ふーん、筋トレとかしてんの?」


「してない」


「しといた方がいいよ〜筋肉は裏切らないってね」


ドスのうっすら見える筋肉の付き方は上手く筋トレしている、ということだろうか


上手くというかじっさい上手なのだろう



「まぁ…やっといた方がいいな」


時間が出来たらやることにしよう


思い出したのはフウラに捕まって豪風で移動したやつだ


あの強引な開拓の道を今回は使ったが…たしかにあの時振り落とされていたら護りで怪我はないとはいえロスは生まれただろう



「おうおう、それでこそ男子ってやつだ」


バシバシと肩を叩きながら美味しそうに食事をするドス


ドスと酒を飲みに行くのは楽しいかもしれないな




軽くシャワーを利用して、あとは寝るだけとなる


気分としては少し早いため基地内を軽くぶらつく


工房などはもう止めており静けさが漂っていた


「あれ、指揮官?」


「アカナかどした」


「指揮官こそどうしたんですか?明日から攻略作戦ですよ?」


「寝るにはまだ早いと思ってな」


「えー、充分遅いですって、大人しく寝といてくださーい」


「あぁ、分かった分かった」



大人しく寝ときますか…

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