基地
10 新設基地
建設工事はメイン施設を中心に行われたため、作戦再開までに二日とかからなかった
これを機に老朽化など古くなっていたところを作り替えたりと工事は随時行われていく予定となっている
作戦は再開、未開拓地域を安全地帯として広げていく作戦が再開された
しかしそれにスタートメンバー達は組み込まれなかった
彼女たちは後身の育成、指導する立場となっていた
その育成された部下たちが作戦をこなしている
人数がかなり増えたことにより効率が格段に良くなったらしい
…らしい、というのは自分がその作戦を指示している訳では無いからだ
アカナが主導となって進めており、自分には結果が届くだけ、大きな決定などは仰いだりスタメンの出動も視野に入れていると言っていたがまだその段階には至ってない
完全に自分の手から離れていた
では何をやっているのかというと
委託遠征…かな
さらにその待ち時間というと
……うん、誤魔化せないな、何もしていない、正確には検査とかチェックとかいう名目の雑談凸野郎となっていた
基地には元訓練生がほとんどで、そのデータはタブレットにも入っている
その更新や成長具合は話さないと、正確には近づかないとされないようだ
「あ!指揮官おはようございます!」
「おはようございます!」
「あぁ、おはよう」
可愛い子に挨拶されたな
…えっと、タブレットに詳細が出るはず
なるほどなるほど…
へぇ…でか…ふむふむ
「指揮官?何してるのかしら」
「秘書官よ」「カッコイイわ…」
「キリッとした表情…はうぅ…」
「ん?あぁ、おはようエルヴィーラ」
エルヴィーラが腰に手を当てて立っている
ちなみにエルヴィーラもアカナに仕事を持っていかれた口だ
指導する子も特にいないしな
「ここ、寮って分かってるのかしら」
「ん、そうだな」
寮、この基地にいるお抱え冒険者達、属している子達の住む場所だ
女性しかいない
そう、女性しかいないのだ
一応男性もいるが少数だからか基地の隅っこの建物にポイされている、可哀想
「クァトロの尋問でもすればいいじゃない」
「進展ないからなぁ…」
隔離されているクァトロ
基地を襲ったことなどを聞いてみるがどうも覚えてないとかとぼけるとかでは無くて、知らないと言う
タブレットが見えなくなっているのを確認してからは会いにすら行ってない
多分だけど、別人みたいなものと考えた方が良いとすら思っている
「指揮官さん、少数作戦の報告書をまとめたのですが見てくれませんか?」
エルヴィーラとの会話が止まったと見たのか一人の女の子が割って入ってきた
おや、この子は…
「センコ…だっけ」
ゲーム時代の人権っ娘
運と秘書官能力が高い娘だ
人権と言っても最高レアではないが
低レアおすすめ的な
「わぁ!私の名前覚えてくれてるんですね!嬉しい!」
パァと花が咲くように喜ぶと腕に絡んでくる
そのまま報告書を見せてくれる
視界の端でエルヴィーラの頬が膨らむのが見えた
顔もちょっと赤い、怒ってらっしゃる
…さて、この子は女の子好きじゃなかったかな
秘書官に好意を寄せるのと指揮官と秘書官の距離を離そうと色々する子だったはずだ
センコの目線は提案した資料ではなく資料の奥、エルヴィーラに向いているように思える
かなりめんどくさい子だが能力は高いし好きにさせておくだけで遺憾無く能力を発揮してくれるなら、それで良いだろう
資料の最後に別の紙が
ふむ…「後で話があります」と
知らないイベントだな
◇
「それで?」
場所は指揮官室の奥、自分が好きにしていい個室だ
トレスがサポートしやすいようにと置いていったものばかりだが
指揮官室ではアカナとトレスが作戦を回しているのだろう、タブレットもたまに反応を起こす
「そ、そんな…話があるとは言いましたが急に個室で二人きりなんて…変態!私をどうするつもりですか!」
口元笑いながら目線が冷たいのってどんな気分だよわかんねぇよ
「誰だ?エルヴィーラか?」
「ほ……」
くねくねしていたセンコの動きが止まる視線で殺されそう
「噂通りなんですね!私たちのことを調べ尽くしてるって」
そんな噂が…
知らない子もなかなかいるけど
「じゃあ私が指揮官を刺そうとしてるのも知ってますよね」
急に冷たい声を出しながらスカートの中からナイフを取り出すセンコ
知らないイベント
…というかセンコの好感度イベントを見たことないかも
スキップって便利だもんね…
「…それは知らなかったな」
「それは?では何を知っているのですか?」
センコについてか…
センコはナイフは取り出したもののそれをどうこうしようとする気が今は無いのか遊ぶように持ち、こちらを睨んでいる
「例えば…そうだな、書類整理が得意なこと、情報整理も同等に、風の魔法が得意で本の整頓ができることとか」
「気味悪いですよ、知りすぎなんです」
どうやら答えを謝ったらしい
ミスった
センコはナイフを投げた
そのナイフはダーツのように自分の顔目掛けて…
そして目の前で止まる
「指揮官、避けないと刺さるわよ?」
いつの間にか指揮官の机に妖艶に…座りながら投げられたナイフを指で挟んで止めていたエルヴィーラ
妖艶に、にはちょっとオーラが足りないかもしれない、こどもっぽい
言ったら止まったナイフが急発進する可能性があるので言わないが
「ひ、秘書官、ちが、これは…」
後ずさり、あわて始めるセンコ
目も泳ぎ手がワタワタしてる
ちなみに避けなかったのではない、避けれなかっただけだ
筋トレしても反応速度は変わらん
…違うトレーニングもするか?
今後の方針はどうでもいいんだ
今だ、今
「いつから見てた?」
「え…初めからだけど…」
ほう…
ほう、それはあれか、自分の知りすぎてるくだりも知ってるわけか
あぶな、スリーサイズとか言わなくてよかった
「相変わらずの知識量で私もドン引きよ…さて、センコと言ったかしら」
ドン引きかー
「いえ…違うんです、そいつが」
怯えたような様子で指をさしながら言い訳をしようとしている
風魔法でも使っているのか服も髪もバサバサと荒れている
「指揮官はどうでもいいけど、書類整理が得意なのよね?手伝ってくれる?」
どうでもいいの?
そっかー
「は、はい!おねえさま!」
「お…おねえさま!?」
エルヴィーラはおねえさま呼びされ驚いているが
その口元はニヤケている
嬉しそうだ
照れ隠しのように部屋を退室したエルヴィーラの後をルンルンとセンコがついて行った
あとを追いかけるのもなんだが、部屋から出るには結局は追う形になる
…ゲーム時代の知識を使っていろんな子に話しかけに行くのはありかもしれない
今回のようなケースは少ないだろう、多分
それぞれの得意なことを伸ばせるように示してやるというのも指揮官っぽいと思う
うん…
結局センコの話ってなんだったんだろう
◇
基地では多くの子達が訓練をしている
それらを指導しているのはスタメンのメンバーたちが主だ
セロとドスは近接戦闘について
マジメなセロと面倒見のいいドスなら問題は無さそうだ
ウノちゃんは斥候部隊を育てているらしい
聞いただけだ、なぜなら見かけないから
噂だとまるで忍者みたいな話になっている
斥候?
トレスはアカナのサポートをしながらメイドの育成をしていた
多分アカナになにか吹き込まれてる
多分…いや、絶対
なぜメイド
エルヴィーラはセンコを初めとした数人で集まっているようだ
何度かすれ違った感じだと生徒会みたいな役割とキャーキャー言われてたからアイドルみたいな立ち位置なんだと思う
そう思うと美人系が集まっているようにも思える
フウラは魔法使いを育てているようだが、やる気はないのかほとんど見かけない
まぁ魔法は学園時代にも勉強したのだろうし、才能を始めとしたそれぞれの能力がバラけるからな
…いや、冒険者としての勉強なのか?
魔法を学んだ訳では無いのか?
まぁいいや
アカナが基地運営と作戦進行を行っているため自分の役割はなくなってしまった
正確にはタブレットを使った個人情報の取り扱いはしているのだが
そんなこんなで作戦じたいは順調そうだ
何か起こるまではのんびりとした日が続くだろう。
続きません
いつか機会があれば、また
ありがとうございました




