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2 久しぶりの外

 ***




 「行きたく…ないん、です、けど…?」


 「だーめ。お姉ちゃんも犯罪者になりたくないでしょ?だったら行くの!」


 「えぇぇ…」


 私は絶賛アリアに叱られ中だった。いやだって…絶対死ぬし。


 「というかステータスって何なの?お姉ちゃん知らないんだけど」


 「えー?あ、そっか…まあ知らないか。えーとね、まあごく簡単に言えば、『能力を表すもの』かなあ。―――あ、ちょっと待ってて」


 そう言って部屋を出ていくアリア。戻って来たその手には、紙とペンが握られていた。

 そのままベッド横の机について、何かを書き始めた。ふーむ…


 「よし!出来たよ、お姉ちゃん」



 

 ――――――――――

 

 アリア・ラスター 十一歳 女


 体力 9686 SSS

 精神力 3355 B

 魔力 6541 S+

 適応力 8769 SS+

 運 7342 SS


 スキル

 魔法強化Ⅳ 身体強化Ⅵ 言語理解Ⅳ 超適応Ⅶ 意志力Ⅶ 超回避Ⅳ 吸収Ⅴ その他23個

 

 魔法

魔法lvⅤ:325 魔法lvⅣ:365 魔法lvⅢ:132 魔法lvⅡ:102 魔法lvⅠ:33


 ――――――――――




 そう言ってアリアが見せてきたのは、何やら色々と書かれた紙。これは…分からんね。数字と文字の羅列なんだけど、意味がまるで分からない。


 「アリア、これは?」


 「私のステータスだよっ。どう?凄いでしょ?」


 「凄いね…全然分かんないけど」


 褒めて褒めて!という感じが全面に出ているので取り敢えず撫でて往なしつつ。

 ふーむ、SとかAとかあるが等級的な物だろうか。だとしたらSが悪くてAが良い…?いや、数字を見る限りそうじゃない。

 分かんないな…


 「ああ、それはランクですよ」


 「おおわぁっ!?」


 突如現れたカレラによって私の心臓がどきんとはねた。びっくりした…ホントそういうとこだぞ。

 カレラは私に構わず説明を続けた。


 「ランクっていうのは、個体におけるその項目の強さを表してるんです。で、Cから始まってB、A、S,S+…ってなってくんですけど、アリア様はその最上級であるSSSの項目を一つ有していますね」


 「…ふーん」


 「いや、ふーんて。凄いと思いませんか?」


 「凄いんだろうけど、相対的な強さを知りたいんだよね。例えば何人に一人、とかさ…」


 「ああ、ならば簡単です。SSS能力を有している人間は五千万人に一人も居ませんよ」


 「五千万んん!?」


 そりゃ凄いな。流石私の妹、可愛くて器量が良いだけじゃなくて戦うことまで出来るなんて最強じゃん。


 「アリア様、多分この人重大さ分かってませんよ」


 「だよね、見てあのだらけた顔。あの顔見るためだけに頑張れるんだけど」


 そこ、うるさい。

 

 「…でもさあ、何にせよ私は行きたくないんだけど」


 「ええ?まだ言うぅ?」


 アリアが呆れ交じりのガチトーンで私を見てきた。私には分かる、アリアのこの顔はそろそろ怠くなってきた、という証だ。

 いや、そう言われたって、なぁ…

 

 「え、だって私動けないじゃん」


 「車いすと、私がおぶってけば良いよ!というか寧ろお姉ちゃん犯罪者になりたいわけ!?私は嫌だよ!?」


 う…まあそうだなぁ…それを出されると弱いな。

 確かに犯罪者になりたいわけじゃないし、政務庁そのものに抵抗がある訳では無いのだが…外に出たら、普通に死ぬ気がするのは私だけ?

 …とは言え、これ以上アリアに反対するのは私が嫌だ。アリアが私に望むのなら、そうするか…


 「…分かったけど、ほんっとに頼むね?夏も差し掛かりなんだから、私は一層弱いよ?」


 「いや、そんなドヤ顔で言う事ではないですけど…まあこんな事だろうと思って昼の内に馬車を手配しておきましたので。アリア様のお手を煩わせる事はございませんよ」


 「…ふーん、あ、そう。あっそ…」


 おお、やっぱり仕事が早いなぁ…これで変な雰囲気を出すのさえ止めれば百点満点なんだけどな。

 …けどアリアちゃん?どうしたのその拳。すっごいミチミチ言ってますけど。

 

 「どうしたの、アリア」


 「お姉ちゃんをおぶりたかったー!ねえカレラ仕事早すぎだよー!」


 「えっ私が怒られるんですか?仕事早いだけで?」


 「あ、あはは…」


 カレラとアリアって仲良いなぁ。そういえばカレラはアリアが連れてきたんだっけ。だったら私も信用してあげるべきかなぁ…

 まあ、なるようになれ。




 ――――――――――




 「ぅ…あっちぃ…帰っていい?」


 「ミリア様、まだ出て一歩目です。しかもおぶわれてますし」


 「お姉ちゃん暑さ耐性も無いんだねぇ」


 「く…はいはい行きます行きます。はやく行こ?」


 全く、政府にも困ったものだ。何で私がこんなクソ暑い中外に出なくちゃいけないのか…

 というか外ってどんな風に…なって…?


 「ほら、お姉ちゃん。外だよ?何年ぶりだったっけ」


 


 吹き抜ける風、揺れる木々。小鳥の無く声が耳をくすぐり、花の匂いが私の鼻腔を通り抜ける。

 遠くに見える街は昔よりもより大きく、そして賑わっている。人々が慌ただしく動き、活発さが見て取れる。

 私達の住む山は、カグレウル山。その中腹にある一軒家が私の行動範囲だった。


 出て良かった。私の知る世界は、こんなにも広くて美しいのか…

 引きこもっていた私が馬鹿みたいだ。


 


 「四年ぶり、かな…ありがと、アリア」


 「どういたしまして、お姉ちゃん」


 


 美しい笑みを私に向けるアリア。

 …いや、アリアが一番綺麗ですねこれは。アリア大好き!




 ***

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